南方熊楠記念館｜開館60周年記念事業に向けてご寄付を

　昨年、９月から約２ヶ月にわたって実施した南方熊楠記念館のクラウドファンディングにおいては、全国の皆さま方から温かいご声援やご支援をいただきましたこと心から感謝を申し上げます。

　

　クラウドファンディングを実施して、改めて全国の皆さま方から南方熊楠が愛され、また、当館の運営も支えられていることを強く実感させられました。

　

　今回のクラウドファンディングは令和７年に迎える南方熊楠記念館開館６０周年記念事業として、長年の懸案事項であった、熊楠が昭和天皇にご進講の際、着用したフロックコートの修復や書簡・ 資料等のレプリカ作成、６０周年記念事業で開催する特別展示に向けた標本整理のためスタートしました。

　

　このプロジェクトでは全国の熊楠ファンの方々から予想を上回るご支援をいただき、目標額を超えたご支援については、市場に流れていた熊楠書簡の購入や収蔵資料の保存整備、展示環境の整備、菌類・変形菌類（粘菌類）模型、図録作成等を新たなプロジェクトとして加えさせていただきました。

　

　当初は令和４年３月末にプロジェクトを完了する予定としていましたが、ご支援によりプロジェクトを大きく拡大させたため、期間を延長し令和４年１２月末を完了を目標に取組をすすめました。

　

　現在、このプロジェクトの一部において、発注・委託は完了していますが完成に時間がかかるため、まだ納入がされていないものを除き、今回のプロジェクトが完了したことをご報告させていただきます。

　

　令和５年２月１１日から３月２６日の間で、特別展「（仮称）クラウドファンディングの成果展」を開催する予定で、修復したフロックコートやレプリカを作成した資料、購入の熊楠書簡等、皆さま方のご支援により実現できた成果を展示します。

　

　また、特別展開催中の令和５年３月（予定）には、フロックコート等の調査、修復に関わった公益財団法人元興寺文化財研究所の方々をお招きし、熊楠が遺したフロックコート等の修復作業や今後の保全について、ご講演をいただけることになっています。

　

　講演会の日程等、詳細が決まりましたら当館のホームページやブログ、SNS、当館クラウドファンディングプロジェクトページの新着情報でお知らせしたいと考えています。

　

　令和７年には南方熊楠記念館開館６０周年を迎えることになりますが、引き続き記念の年に向けて取組を継続させ充実させたいと考えています。

　

　重ねてご支援いただいた皆さま方へお礼を申し上げ、プロジェクト完了のご報告をさせていただきます。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　   公益財団法人　南方熊楠記念館

 館長　髙　垣　　誠      

　

【プロジェクトの内容】

 

（１）フロックコートの修復

     

 　修復についてはフロックコート、ズボン、ベストの３点についておこない、縫製のほつれ、生地の裂けの修理、繊維の劣化修復、生地の補強、金属ボタンの錆落とし、防錆作業を行いました。

 

（２）レプリカの作成

　

　＊土宜法龍宛て熊楠書簡「小生の事の学」

　　

　土宜法龍宛にあてた熊楠の書簡で、「心」と「物」が触れ合うことで生じる「事」の世界を探求していきたいという抱負を語っている書簡。

　　　　　　　　　　　　

　孫文が熊楠に贈呈した資料。

　現在、世界中で現存しているのは南方熊楠記念館の一点のみの貴重な資料。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

 

　　　　

　イギリスを去る孫文が熊楠に残したサイン。

　「知音」とは、琴の名手伯牙が、友人鍾子の死に、自分の琴の音を理解する者は、もはやないと嘆き、琴の弦を切って二度と弾かなかったという中国の故事に由来し、「真価を理解してくれる友人」を意味する。

　　　　　　　　　　

　＊和漢三才図会熊楠模写資料

　熊楠が８歳の頃から筆写を始め、１４歳までに１０５巻を写しとった「和漢三才図会」の模写資料。

　　

　＊フロックコート

　

　現在製作中で令和５年１月に納入予定です。

 

　　 

（３）収蔵品保存や標本整理に関わる用具・書籍の購入

　　　　　　　

　熊楠の収集した標本・資料を保存する収納ケース、収納袋、標本分類整理のための図鑑等の書籍を購入させていただきました。

　令和７年の南方熊楠記念館開館６０周年記念事業の特別展においては、熊楠の研究を支えた北島脩一郎の植物標本を展示予定しています。

　

　　　　

（４）熊楠資料の保存状況調査

 

　長年の展示で退色してきた、熊楠資料「ロンドン抜書」の万年筆インクの文字について、公益財団法人元興寺文化財研究所に科学分析を依頼し、保存・展示について検討をしました。

 

　　　　　　

（５）南方熊楠書簡８通、草稿１通の購入　　

 

 

 　　　　　　　　　　　　　　　　

 　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　

（６）収蔵品の図録作成

　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　

（７）展示ケースの購入

 

 

（８）菌類・粘菌類模型標本の作製

　　　　　　　　　　　　　　

（９）展示室、収蔵庫のガス燻蒸処理等施設の整備

 　　　

　常設展示室、特別展示室、収蔵庫等の害虫調査を行い燻蒸処理を行いました。

 

（10）体験学習用光学顕微鏡の購入

　粘菌（変形菌）観察会で、購入した光学顕微鏡を活用しました。

 

　 以上、

     修復費、資料取得費、委託費、什器備品購入費として　　　　　　　 

                13,202,308円

    他に通信運搬費、返礼品費、クラウドファンディング手数料等として

                   5,142,692円

   (合計）18,345,000円