美容師の挑戦！貧困や環境により、できなかった成人式をもう1度

 

 

一生に一度の特別な日を過ごせなかった人へ
「成人式を無料で提供したい」

 

はじめまして！表参道の美容室「LIM」スタイリストの木原理恵子です。プロジェクトに関心を持っていただきありがとうございます。

私にとって美容室は、小さな頃から特別な場所でした。髪を切る前は、着ていく服を1週間前から悩み、切った後は嬉しくてまわり道をして帰る。美容室はいつも、“私自身が特別だ”と感じさせてくれる場所でした。

そのときの想いを忘れられず、今では同じ場所で美容師として働き、8年が経とうとしています。

 

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美容師になって8年目。楽しい日々のなかにも、どこか自分のなかに破れない殻があると感じ、他に居場所がないか探していたように思います。何にも1番になれない自分に焦りながらも、「私らしく社会のために出来ることはないか」をずっと考えてきました。

 

そして、ようやく私が見つけたものがこのプロジェクトです。経済的問題や家庭環境など、自身の意にそぐわぬやむを得ない事情により、美容にまつわる事柄を諦めてしまった方々に、もう一度できるというチャンスを提案する。その第一弾として、「成人式撮影会」を計画しています。

 

私は毎年、働いている美容室で成人式の運営を任されています。髪をセットし、華やかなメイクと、振袖の着付けをし、写真撮影を行います。いつもよりそわそわしたお客様と、それを見守るご家族。美容師のやりがいを感じる一日です。

 

そんな特別な日を今年もはりきって迎え、多くのお客様を送り出しました。嬉しそうなお客様の顔を見ながら、ふと、「成人式が出来なかった人はいるのかな」と思い立ちました。

 

その後調べていくうちに、児童養護施設など社会的養護のもとで育った子どもたちや、思わぬ環境の変化で、経済的な余裕がないために成人式を諦めた子どもたちがいることを知りました。中には親に祝福されないのであれば意味がない、と成人式を諦めてしまった方も。

 

しかし成人の日という特別な日に、好きなように着飾り、なりたい自分になることは、「自尊心」に繋がるとても大切なことだと思います。好きな振袖や好きな髪型を選ぶ。たくさんある選択肢の中から、自分の一番好きなものを選ぶ。その当たり前の自由は、すべての人が平等に保証されるべき権利だと考えます。

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当たり前の自由の中で、自分らしくあれることを、私は全力で応援したいと思いました。

ふと思い立ったその日から少しずつ、美容師として、私自身として、出来ることのイメージが湧いてきました。誰にとっても特別な日であれるように、そうでなくてもせめて、「出来る」という選択肢を用意できるように、「もう一度、成人式撮影会を提供したい」。

 

今回のプロジェクトでは、皆様からいただいたご支援で、個性豊かなさまざまな振袖を購入させていただきます。皆さまのあたたかなご支援をどうぞよろしくお願いします。

 

 

 

誰もが美容を楽しみ、
そして自分らしくいられるような社会へ

髪を切ったりセットしたりすることは、生死に大きく関わるような行為でありません。しかし、自分を整えること、新しい自分になること、そうして得る「自尊心」は、生きるための大きな力になります。美容師は、その心を生みだす手助けができる仕事です。

特に成人式などの特別な行事においては、旧友たちとの再会があったり、記念撮影をしたりなどするため、髪型や着るものを通してハタチの自分を最大にアピールできるチャンスでもあります。

しかし、それが当たり前ではない場合もあります。

 

第一に大きな壁になるのがお金です。私の働く美容室では、その日だけで着付けやヘアセットなど合わせて、5万円ほどかかります。振袖を用意するにも、少なくとも3万円、こだわって探せば10万、20万といくらでも高くなっていきます。

 

日本の子どもの7人に1人が貧困（*1）にあたり、その多くは母子家庭で育つ子どもたちであり、そしてその貧困はなかなか抜け出せることなく次の代へと引き継がれることも珍しくありません。

 

また、親との死別、家族からの虐待などの理由で児童養護施設などで暮らすことを余儀なくされた子どもたちは、はやくて中学卒業後、遅くとも高校卒業後に施設を卒業します。多くの子どもたちはその後、ひとり暮らしを始め、生活費や学費などを自分自身で賄わなければなりません。

 

そういった生活の中で、成人式の費用はとても大きなハードルになるのではないでしょうか。

 

 

第二に「自尊心」の問題です。自尊心はありのままの自分を受け入れ、尊重するということ。児童養護施設への入所理由の1位が親からの虐待（*2）であり、平成30年度の虐待対応相談件数は年間で過去最多の約16万件（*3）にものぼります。幼い頃から虐待を受けてきた子どもたちは、そんな生活の中でこの自尊心を削がれていってしまうことも多いと聞きます。自分自身をどうでもいいと感じてしまえば、晴れの日に着飾ることなども諦めてしまうのではないでしょうか。

 

そして、日常が当たり前でなくなる、ということは誰にでも起こりうることでもあります。

 

2011年の震災時、美容は食べることや暖を取ることなどに比べ、後回しになりました。電力や資源の大量消費の自粛も広まる中、電気や水を多く使う美容室は、全国的にも厳しい経営状況になりました。それは、いつもの当たり前が当たり前ではなくなる感覚を、肌で感じた経験でした。美容業界に限らず、日本中の多くの人が同じことを感じたのではないでしょうか。

 

晴れの日に着飾ること。そしてそれを祝福してくれる人がいること。多くの人が当たり前に経験していること。それらをやむを得ない事態によって失われてしまった彼らの選択肢を、私は今まで培ってきた技術で取り戻したいと考えています。

 

成人式は、小さな村で“戦後の暗い雰囲気をどうにか明るくしたい”そんな想いで始まり、すぐに全国に広まったと言われています。

 

それから数十年たった今でも、多くの人が振袖や袴を着て写真を撮り、式に出かけて昔馴染みの友達と会い、親戚からお祝いを貰う。いつもとは違う、特別な日として認識しているのではないでしょうか。

晴れの日に着飾る。美容を楽しむ。そうして自尊心が生まれ、生きる原動力となる。その力をお客様に感じていただけることは、私たち美容師の自尊心も育み、そしてまた次のお客様へと繋がっていきます。

 

私が美容室に行った際、嬉しかった思い出として、今も覚えているのが、ヘアスタイルづくりに私も参加できたことです。当たり前のように思えるかもしれませんが、私の担当の美容師は、私の希望を耳で聞き、手や心で感じて、お互いにセッションしているかのような感覚でいつもカットをしてくれました。

 

2人でつくりあげていくことがとても楽しく、そして特別感がありました。今回のプロジェクトでも、利用してくださる方、スタッフもみんなで楽しめるようにできたら良いなと思います。

楽しんでもらっていると実感できることで、私たちは自分の仕事に誇りを持ち、活動の選択肢を広げていくことができます。そうやって幸せが連鎖していくことで、少しずつ世界が変わっていくと信じています。

 

 

 

 

いつかは結婚式や卒業式、七五三も

 

今回の挑戦は、私のできることを最大限に発揮できる場所だとも思っています。自分らしく生きる、というシンプルで最高な気持ち良さを、この挑戦を通して提案していきたいです。

 

現在は、早速プロジェクトを利用してくださる方とのカウンセリングを始めております。どんなヘアメイクにするか、どんな振袖を着るかなどを話し合い、今から撮影会の実現を、私も利用される方も、とても楽しみにしています。

 

今後はこの活動を成人式撮影会に限らず、結婚式、卒業式、七五三の撮影や当日の施術も行っていきたいです。

 

そして、ヘアカットなどの月々の美容に関してもサポートできるように、値段を選べたり、物々交換が可能なサロンをつくりたいです。さらには、ネイルスクールや職業体験などの職業支援についても考えています。

 

誰もが環境や肩書に捉われることなく、自分らしくあれるために。ぜひ皆さまのお力を貸してください。どうぞよろしくお願いします。

 

 

最後にプロジェクトメンバーをご紹介

 

＊ 木原理恵子（代表）／ヘアメイク担当

どんな服を着てどんな髪型にするか、私自身も楽しみながら一緒に考えています。何も諦めることなく、一番好きなものを選べるように。そして出来るだけ多くの選択肢のなかから提案できるように、私ももっと技術を磨いていきたいと思います。

 

 

＊ 西尾風香／ヘアメイク・メイク担当

私は美容を通して誰かを幸せにできることは、美容室に足を運んでくださる方に対してだけではないと思いました。このプロジェクトについての話を聞いたとき、美容室以外でも誰かを幸せにすることがでできると思い、すぐに、やりたい！と思いました。

 

人生1回しかない大切な式を、ひとりでも多くの方が、良い思い出になったと思ってもらえるようなものを、一緒につくっていきたいです。

 

 

＊ 小野かえで／ヘアメイク・着付担当

活動の原動力は、常に新しいことにチャレンジしてわくわくすることです。美容を通して自分にできることで誰かに喜んでもらいたいと思います！このプロジェクトを通してたくさんの出会いを楽しみにしています！一緒にステキな思い出をつくりましょう。

 

 

＊ 竹田京夏／ヘアメイク・メイク担当

美容で誰かを幸せにできることは、美容師にとってもとても幸せなことです。私はまだ美容師1年目ですが、美容で幸せになってくれる方を、1人でも増やしたいと強く望んでおり、それが私の原動力です。お互いが楽しく、笑顔が溢れる活動になれば良いなと思っています。