プロジェクト概要

1991年から2002年まで続いた内戦、そして2014年にはエボラ出血熱が流行した西アフリカのシエラレオネ。2017年のユニセフの世界子供白書の報告(http://www.unicef.or.jp/sowc/pdf/01.pdf)によると、平均寿命は52歳、約8人に1人の子どもが5歳までに亡くなっています。内戦や感染症が流行すると、海外からの支援は途絶えます。将来を担っていく子どもたちが、食と栄養の大切さを知り、自らの手で持続した栄養改善を行っていけるような活動の第一歩を目指します。

 

ご覧頂きまして、ありがとうございます。保健医療の仕組みづくりと人づくりをケニア、パプア・ニューギニアなどで行っていますNPO法人HANDS(ハンズ Health and Development Service)の藤井千江美と申します。私自身はアフリカと関わって28年、「大好きなアフリカで保健医療活動に従事したい!」と40歳で看護師免許を取得し、その後ボツワナとシエラレオネで5年間保健医療活動に従事してきました。そしてブルキナファソでは、2013年から村の方々と一緒に、モリンガの木を栽培して商品化することで、特に女性たちに働く場を提供できるような活動を行ってきました。2017年9月からは、NPO法人HANDSの理事として、ブルキナファソとシエラレオネの本プロジェクトを担当させて頂いています。

 

ブルキナファソのモリンガ農園で働く女性たち

 

今回、私が2008年から3年間保健医療活動に従事していましたシエラレオネのカンビア県で、小学校の校庭に子どもたちが野菜と一緒にモリンガの木を栽培する「モリンガ・スクールガーデン」を作り、そこで収穫できた野菜とモリンガの葉を学校給食に加えることで子どもたちの栄養を改善していこうとするプロジェクトを立ち上げました。まずは、1年間5ヶ所の小学校を対象にプロジェクトを開始します。その最初のステップ「モリンガ・スクールガーデンの設立と運営」に伴う費用920,000円が不足しています。

 

支援に頼らず子どもたちが自ら校庭に畑を作り、そこで収穫した野菜とモリンガの葉を給食に加え栄養を改善していく活動を通して、将来担っていく子どもたちに食と栄養の大切さを知ってもらい次世代へと繋げていくことも目指しています。

皆さまのご支援をどうぞよろしくお願い致します。

 

▼プロジェクトを立ち上げたきっかけ

 

「世界で一番いのちが短い国」と言われたシエラレオネ

シエラレオネは、人口・面積ともに北海道の約0.8倍で、大西洋に面した西アフリカに位置する国です。映画「ブラッド・ダイヤモンド」にも描かれています10年間続いた内戦により、国家の経済、社会、保健、教育開発は大きな打撃を被り、平均寿命が30歳代という時もありました。

 

今回プロジェクトを開始しますカンビア県は人口約30万人で、首都から約200Km離れており隣国ギニアとの国境に接しています。シエラレオネの国の中でも僻地の一つと言われています。私が滞在していました2008年~2011年は、県全体に電気・水道の供給設備が全くなく、自家発電機と井戸水で生活をしていました。また舗装された道路もなく、首都までの200Kmを6時間かけて移動していました。2016年の訪問時には県庁所在地は電気・共同の水道設備が整備され始めていましたが、一歩離れると、そこには村から一番近い診療所や小学校まで数Km歩き、雨季には歩くことも困難な道となる人々の変わらない暮らしがありました。村にある診療所では、看護師1~2人で村人約3,000人の健康管理を担当し、血圧計すらない診療所もありました。

 

村に行く道の様子(雨季)
 
最寄りの診療所まで遠く、村人たちが家を提供してできた診療所。ピンクの服の方が看護師さん

 

子どもたちの栄養改善の大切さ

このように日常生活は厳しく、衛生状態も悪く、食事・栄養が十分に取れない環境の中で、特に農村に住む人々は暮らしています。また病気に罹っても、診療所までの道路状態と交通手段がなくアクセス困難、貧困、診療所の不十分な設備や器具、スタッフの不足などから十分な治療を受けることが難しい状況です。そこで病気に罹りにくい、罹っても悪化を防げる健康な身体が大切になり、日々の食事が重要になってきます。

しかし貧困だけでなく、気候的にも乾季の半年間はほとんど雨が降らない環境の為、多様な食物摂取が困難な子どもたちにとって特に不足している栄養素は、鉄、ビタミンA、ヨードなどビタミン・ミネラルの微量栄養素と言われるものです。その中でも貧血を改善する鉄、免疫力を強化し感染症を予防するビタミンAは子どもにとって特に大切です。

 

近くに小学校がなく、村で読み書きできる男性が教えていた青空教室

 

学校給食制度の現状と自立に向けての活動

子どもたちの栄養改善と就学率の向上を目的に、2108年から国連の世界食糧計画(WFP)が、シエラレオネの小学校を対象に、米、豆類、ベジタブル油、塩を配給し、地域住民がそれ以外の野菜などの食材と調理する女性を提供する学校給食制度の導入を検討しています。すでにブルキナファソでも導入されていますが、地域住民も野菜など販売目的で栽培しているため、なかなか提供されない現状がありました。

 

ブルキナファソの小学校で、女性2人が給食準備。野菜・肉類など全く入っておらず。

 

そこで、子どもたちが校庭で自ら栽培し収穫した野菜やモリンガの葉を学校給食に加えることで栄養を強化していき、更には近年アフリカでもIT産業に憧れる子どもたちが増加していますが、将来を担う子どもたちに食と栄養の大切さを知ってもらい、そして農業に少しでも関心を持ってもらうことも目的としています。

 

▼プロジェクトの内容

 

校庭で野菜と一緒に育てるモリンガとは?

モリンガの木は、シエラレオネでは「ミラクル・ツリー(奇跡の木)」、ブルキナファソでは現地の言葉で「アルザン・ティガ(天国の木)」と呼ばれており、種を撒いてから約半年で3メートル以上に成長します。

 

種まきから10ヶ月後のモリンガ(ブルキナファソのモリンガ農園にて)

 

そしてモリンガの葉には、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンC、カルシウム、鉄、カリウム、たんぱく質などの栄養成分が多く含まれており、特にビタミンやミネラルの微量栄養素が豊富です(表1)

 

表1. ブルキナファソのモリンガ乾燥葉の栄養成分(日本食品分析センター)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

またモリンガは、樹木間で農作物を栽培したり、家畜を飼育したりする農林業に効果があり、野菜の増産に影響を与えると言われています

そこで、ブルキナファソでもモリンガと野菜(なすび、トマト、きゅうり、とうもろこし、キャベツ、インゲン豆、ピーマンなど)を共に栽培し、野菜の増産を試みており、シエラレオネの本プロジェクトでもこの方法を取り入れます。

 

キャベツとモリンガ(ブルキナファソのモリンガ農園にて)

 

プロジェクトの進め方

プロジェクトのステップは、大きく分けて6つになります。

1)事前調査で対象となる小学校5ヶ所を選出(2019年3月中旬~下旬) 

2)モリンガ・スクールガーデン設立のベース作り(4月)

3)モリンガ・スクールガーデン運営管理への毎月の指導支援(4月~9月)

4)栄養指導と収穫した野菜・モリンガ葉を給食に導入するベース作り(9月~10月) 

5)モリンガ・スクールガーデンの運営管理と給食への野菜・モリンガ葉の提供状況を毎月確

  認し指導支援(10月~2020年3月)

6)プロジェクトの1年間の評価・見直し(2020年3月)

 

私は、プロジェクト立ち上げの4月(雨季が始まる前に種まきなど開始する必要があるため、各種トレーニングや種・農耕具の配布などを行います)、新学期が始まりそしてモリンガが成長し葉を給食に提供できる9月~10月(スクールガーデンの運営管理状態を確認し、学校給食への導入に向けて栄養指導などを行います)、そしてプロジェクト実施が1年経過した2020年3月(1年間のプロジェクト実施評価と見直しを行います)にシエラレオネを訪問する予定です。その間の各学校での毎月のスクールガーデンの運営管理の指導支援は、地元NGOのCAWeCが行います。

 

対象となる5ヶ所の小学校は、学校給食制の導入が検討されている小学校の中から、学校敷地内にスクールガーデンを作る土の有無、土壌の状態、井戸の有無、校長先生や教師の関心度と意欲そしてスクールガーデンや農業の経験の有無、地域住民(特に村長や長老たち)のサポート体制と関心度などを総合して選びます。

 

そしてモリンガ・スクールガーデン設立に向けて、対象とする各小学校で、モリンガ・スクールガーデン担当教師2名と生徒の中からスクール・ヘルスクラブメンバーとして12名を選びます。そしてまずは担当教師にモリンガ、モリンガと野菜の育て方、正しい農業のやり方についてのトレーニングを行います。続いて、担当教師からスクール・ヘルスクラブメンバー12名に、同様のトレーニングを行ってもらいます。そして、担当教師の指導・監督のもとでヘルスクラブメンバーの生徒が主になって、他生徒と共にモリンガ・スクールガーデンを設立・運営管理をしていきます。

 

現地で一緒にプロジェクトを行うNGOの紹介

地元で私たちと一緒に活動しますNGOのCAWeC (Community Action for the Welfare of Children)は、シエラレオネの大学の農学部を卒業され長年教師をされていたMr Sankoh (サンコーさん)が2007年に設立されました。「全ての子どもたちが健康に成長していくのに必要な権利を平等に得られる社会」の実現に向けて、現在有給スタッフ83名と共に、シエラレオネの主にカンビア県で活動をされています。国連機関であるユニセフや国連食糧計画の子どもたちの栄養改善や学校での衛生環境改善のプロジェクトを実施し、またグローバルファンドのマラリア撲滅プロジェクトにも関わってきました。そしてエボラ出血熱で孤児となった子どもたちや回復した若者たち対象に、イギリスのNGOクリスチャン・エイドと協力して、職業訓練を行ったり、地域住民を巻き込んで差別偏見を失くす活動を行っています。

 

CAWeCのスタッフたちと事務所前で

 

本プロジェクト実施に向けた地元NGOとの歩み

2008年から3年間カンビア県で保健プロジェクトに従事していた時に、まだNGOを設立して1年目のサンコーさんと出会いました。サンコーさんは、県で行う保健活動、行事、研修などに積極的に参加し熱心に取り組まれ、私の任期終了後も毎年CAWeCの年間事業報告書を送付し関係を継続してきました。2014年に大学院の調査研究でシエラレオネを訪れた際に、ブルキナファソで始めたモリンガと取組む地域産業おこしと子どもたちの栄養改善の活動について話をしたところ、シエラレオネでも普及し始めているモリンガを活用して、低栄養の多い子どもたちの栄養改善を実施したいという強い希望がありました。その後プロジェクト内容をメールベースで検討し、またエボラ出血熱が終息しました2016年4月に私がシエラレオネを訪問し、1ヶ月間カンビア県の小学校計15校を訪れて現地調査を行った結果、プロジェクト実施に向けての本格的な話し合いが始まりました。

 

▼支援をお願いする資金の使い途

 

5ヶ所の小学校を対象に、上記のプロジェクトのステップ2)モリンガ・スクールガーデン設立のベース作り、3)モリンガ・スクールガーデン運営管理への毎月の指導支援、そして4)栄養指導と収穫した野菜・モリンガ葉を給食に導入するベース作りの3つの段階で実施する活動に使わせて頂きます。

 

資金の内訳

*野菜4種とモリンガの種購入:70,000円

*農耕具(くわ、鋤、シャベル、一輪車など)購入費と運搬費:130,000円

*スクール・ガーデン担当教師への2日間トレーニングに伴う費用:20,000円

*各学校でのヘルスクラブメンバーへの2日間実地トレーニングに伴う費用:67,000円

*NGO CAWeCと県関係者30名へのモリンガに関するトレーニングに伴う費用:30,000円

*トレーニングと実地指導の講師のブルキナファソからの旅費と謝金:160,000円

*NGO CAWeCによるスクールガーデン運営管理への毎月の指導支援:64,000円  

  (12ヶ月分のうち6ヶ月分)

*県関係者30名へのプロジェクト進捗説明会議(9月)に伴う費用:36,000円

*各学校30人対象に、栄養士による食と栄養についてのトレーニング(9月):95,000円

*プロジェクト運営に伴う事務費(通信費、自家発電の燃料費、プリント費など):120,000円

  (2万円x12ヶ月のうち6ヶ月分)

尚、各トレーニングには、会場レンタル、参加者の旅費、トレーニング中の参加者への食事、トレーニング実施をサポートするスタッフへのお礼が含まれています。

 

プロジェクト対象となる村の小学校

 

▼最終的に目指していること

 

ブルキナファソの地域雇用に向けてモリンガ農園を運営管理しているカウンターパートは、国連食糧農業機関(FAO)が主催するモリンガに関するトレーニングをブルキナファソで行っており、今回も「モリンガ・スクールガーデン」設立・運営に向けてのトレーニングをお願いしています。そしてカンビア県の各関係者(県議会、保健衛生省、教育省、農業省)と本プロジェクトの進捗を共有していくことで、本プロジェクトの今後の拡大に向けて連携を進めていきます。このように地元の方々も協力し合って連携していくことで、最終的には地元の方々だけで自立して継続されていくことを目指しています。

 

▼現地で活動を行う上で、大切にしていること

 

2013年から関わってきましたブルキナファソでの活動において、常に最終的には地元の方々だけで代々引き継がれていく産業作りを念頭に置いて共に関わってきました。そして5年経過した2018年からは、酋長長男が主になって地元の方々だけで継続してモリンガ農園を運営し、モリンガ商品の製造も地元の女性たちだけでできるようになりました。

 

地元の方々の「やりたい!」という気持ちをまずは大切にし、お互いの考えを出し合い、そして話し合い、地元の方々が主役で一緒に協力して作り上げていく。時間はかかりますが、そうすることで最終的には地元の方々だけで引き継がれていくものができていくと信じています。「私たちがいなくなっても続けられるのだろうか?」と自問しながら、本プロジェクトもやっていきたいと思っています。

 

村長、長老、学校教師を含めてスクール・ガーデンについての話し合い

 

▼お礼について

 

ご支援下さいました皆さまには、感謝の気持ちとして、少しですがお礼をお送りさせて頂きます。

 

お送りします「アフリカの布で作りましたポーチ・バッグ」は、エボラ出血熱で親を亡くした青少年たちの自立に向けた職業訓練の一環として、CAWeCが行っています職業訓練校で縫製してもらいます。

 

ポーチ・バッグの一例

 

モリンガ茶・モリンガパウダーは、地域雇用促進に向けて取組んでいますブルキナファソで育てましたモリンガの葉を購入し、日本で加工・販売して頂いています商品をお届けします。ブルキナファソの雇用促進にも役立たせて頂きます!

 

ブルキナファソのモリンガ農園で働くスタッフたち

 

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・プロジェクトの終了要項

*2019年4月5日から2019年10月15日まで、NPO法人HANDSと地元NGOのCAWeCが、シエラレオネのカンビア県にある小学校5ヶ所で、子どもたちが校庭で栽培し収穫した野菜とモリンガの葉を学校給食に加えるためのモリンガ・スクール・ガーデン設立運営への支援活動を行ったことをもって、プロジェクトを終了とする。 
*渡航先でのスケジュールについて 
(全てシエラレオネのカンビア県で実施) 
1)藤井が現地に滞在する4月5日から18日 
2019年4月5-8日:種・農耕具購入 
2019年4月6日:CAWeCと県関係者に1日トレーニング実施 
2019年4月7-8日:担当教師に2日間トレーニング実施 
2019年4月9-18日:各学校に種・農耕具配布しヘルスクラブメンバーに2日間実地トレーニング実施 
2)2019年4月から9月は、毎月1回(30日又は31日)CAWeCによるスクールガーデン運営管理などの指導支援実施(2020年3月まで実施予定) 
3)藤井が渡航滞在予定の2019年9月15日から10月15日 
2019年9月20日:県関係者へのプロジェクト進捗説明会議開催 
2019年9月24-25日:栄養士による食と栄養のトレーニング実施

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