東京五輪の開催が決定し、山谷や谷根千界隈ではやたらと工事が増えている。
ドヤの解体もここ最近増えている様だ。
 
 
深夜二時手前、山谷も静寂に包まれる。時々行き交うタクシーと酔っぱらいの戯言が聞こえるくらい。昨日は、いつもは持って行かない三脚を用意してきた。なんせ取り壊しで電気もないドヤの中を撮るのに、三脚があってもどうなるか怪しいところなのだ。
 
 
山谷でも古株のある大きなドヤが解体されるという知らせを入手したのが二週間程前。これは記録せねばならないと思い、撮影許可を貰おうとするも門前払い。山谷へ行く度に取り壊しの準備は着々と進んでいるの見て、焦燥感を覚える。
 
 
深夜になるまで待つ。正面玄関はもちろん閉まっていたが、幸いにもある窓の鍵が空いていた。ひとまず懐中電灯をもって中に人がいないか調べる。路上生活者が多いエリアだから中に人が居ない方がおかしいようなものだ。かなり長細いドヤなので、目が慣れても何も見えない。幸い誰もいないようであった。いきなり猫が飛び出して来た時はさすがに驚いたが。
 
安全を確認してからカメラをもって再び中へ。
 
長時間露光でどうのこうのなる明るさではない。
そうだ、とiPhoneをライト代わりにして撮影することにした。カメラのシャッターを開けっ放しにしたまま、LEDのライトで壁を光で塗って行く。結果として予想以上によく撮れた。
 
長年、入れ替わり幾人もの肉体労働者の方々が泊まったであろう部屋の壁には、なんともいえぬ汚れが、まるで消し去られた悲しみの歴史を訴えるかのように染み付いていた。しかし、その声も解体されてしまえば、何もなくなってしまうのだ。そこに写真の力があると、私は信じている。
 
 
 
 
 
 
追記
 
最近、せっかく山谷に対する知識があるので、山谷を知らない人へ少しでも興味をもってもらおうと、ややフランクにウェブマガジン「山谷NOW」を書き始めました。
 
是非ご覧ください。
なにか感想などあれば書き込んでいただけばと存じます。
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