「もういちど、会いたい…」北朝鮮政府を訴える史上初の裁判へご支援を

「もういちど、会いたい…」北朝鮮政府を訴える史上初の裁判へご支援を

支援総額

3,088,000

目標金額 3,000,000円

支援者
139人
募集終了日
2021年12月10日

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プロジェクト本文

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English Page

 

命懸けで脱北した私たちは、

史上初の裁判に挑みます。

 

かつて、北朝鮮が「地上の楽園」と呼ばれていたのをご存知でしょうか。

 

私たち5人は、今から約60年前に「北朝鮮帰国事業」のもと、「北朝鮮では豊かな暮らしができる」という謳い文句を信じて、日本から渡北。そこで壮絶な差別や迫害を数十年間にわたって受け続け、その後命懸けで脱北しました。

 

「帰国事業」により、北朝鮮に渡った在日コリアンと日本人は約93,000人います。

 

私たちは、騙されたのです。

 

北朝鮮帰国事業裁判原告団は、北朝鮮に残した家族と再会するために、北朝鮮政府を訴える初めての訴訟を起こし、今年10月、ようやく裁判が開かれることになりました。

 

北朝鮮に残された家族との再会のため、日本から北朝鮮に渡り、今なお苦しんでいる人たちやその子孫たちのため、この裁判をなんとかやりとげたいのです。

 

私たちは今こそ、多くの皆さまに「北朝鮮帰国事業」により起きた悲劇を知っていただき、この裁判を支援していただきたいと考え、クラウドファンディングを立ち上げるに至りました。

 

北朝鮮帰国事業裁判では、北朝鮮政府に訴訟を提起し、その責任を問うとともに、北朝鮮に今も閉じ込められている「帰国者」とその子孫たちの一日も早い救済を、日本社会、日本政府、国際社会に訴えます。

■資金使途:

1.  訴訟費用に充てさせていただきます。

2.  日本内外に「帰国者」の実態を知らせ、今も北朝鮮に閉じ込められている「帰国者」とその子孫の救済を訴えるための費用に充てさせていただきます。

 

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index

 -「北朝鮮帰国事業」とは

 - 史上初、北朝鮮政府を訴える裁判

 - 訴訟の概要

 - 北朝鮮での惨状を伝え、世界中の民意を動かしたい

 - 原告:私たちの思い

 - 北朝鮮帰国事業・訴訟の経緯

 - 応援者からのメッセージ

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「北朝鮮帰国事業」とは

 

「北朝鮮帰国事業」は、1959年から1984年にかけて行われた事業です。

 

北朝鮮政府が、労働力の補填や社会主義の優位を国際社会に示すことを目的に、ほとんどが朝鮮半島南部(現在の韓国相当地域)出身者である在日コリアンやその家族を北朝鮮に呼び寄せるべく行ったものです。

 

北朝鮮政府は自国を「物質的に豊かで、一切の権利や自由が保障された『地上の楽園』である」と宣伝。日本政府もこの事業を閣議決定によって支持しました。

 

当時、日朝両国間に外交関係はなかったため、主に両国の赤十字が事業を推進し、赤十字国際委員会が支援。在日コリアンに「地上の楽園」と大規模な宣伝・勧誘を行ったのは、北朝鮮政府の意を受けた在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)でした。

 

こうして、在日コリアンと日本人、約93,000人が北朝鮮に渡りました。

 

 

 

帰国事業の嘘

 

北朝鮮が「地上の楽園」とは全く違うことは皆さんご存じのとおりです。

 

私たちは新潟港から船で北朝鮮に渡りました。北朝鮮の港に入った私たちを出迎えたのは、あまりにみすぼらしい身なりの人々。そこで目にした貧しい街並みに、皆が大変なショックを受けました。

 

「地上の楽園」というのは全くの嘘で、騙されたとわかりました。しかし、北朝鮮から引き返すことは許されなかったのです。

 

 

 

差別、迫害、拷問…。命を懸けた脱北。

 

帰国事業によって北朝鮮に渡った人々は、日本からの「帰国者」であることを理由に差別を受け、経済的にも苦しい生活を送りました。

 

北朝鮮では、職業や住居を自由に決めることは許されず、思想、信教の自由は否定されています。北朝鮮政府への不満をほのめかすような言動は処罰対象で、拷問され、収容所に収監されました。

 

北朝鮮には、出国の自由はありません。私たち原告は、数十年の北朝鮮での苦しい生活を経て、もう我慢ができないと、命を危険にさらしながら脱北しました。

 

私たちは、奇跡的に脱北に成功した5人なのです。

 

今回の「北朝鮮帰国事業」訴訟では、北朝鮮政府を、虚偽の宣伝で北朝鮮への渡航を勧誘・実現させ、移動の自由を否定し、出国を許さなかったという不法行為で訴えています。

 

私たちが真に実現したいのは、今も北朝鮮に残る帰国事業の被害者の救出・帰国です。しかし、それを直接裁判所が命じることはできないので、損害賠償という形で訴訟を起こしたのです。

 

この裁判を遂行し勝訴することを通じて、北朝鮮の惨状を訴え、多くの人に知っていただきたい。

 

そして、日本政府や世界中の政府に、私たちの声を届けていきたいと考えています。

 

記者会見で世界に「北朝鮮帰国事業」の今も続く悲劇と被害者の救済を訴える原告の川崎栄子さん

 

 

史上初、北朝鮮政府を訴える裁判

 

私たちは、悲壮な決意でこの裁判を起こしました。

 

脱北者はその多くが声を上げられません。ましてや北朝鮮政府を訴えるなど論外です。

 

なぜかというと、提訴することによって、北朝鮮に残る親族に対して、北朝鮮政府が危害を加えるのではないかと大変恐れているからです。

 

しかし、今、提訴しなければ、北朝鮮の恐怖政治は永遠に変わりません。

 

私たちが悲壮な覚悟と決意を持って、この裁判を訴えるに至った理由は以下の2つです。

 

 

1. 北朝鮮に残された家族と再会したい

 

第一に、私たちはこの裁判の勝訴判決を追い風にして、北朝鮮に残された家族と再会したいと考えています。

 

私たちの多くは、今も北朝鮮に家族を残しています。北朝鮮には移動の自由はなく、出国の自由もありません。脱北は反逆行為であり、その家族も責任を追及されることがあります。

 

私たちが、北朝鮮に残してきた家族と生きているうちに再会するためには、日本政府や国際社会からの圧力によって、北朝鮮政府が、私たちの家族の出国を許す必要があります。

 

この訴訟に勝訴すれば、日本政府そして世界中の政府が、「帰国事業」の存在とその非人道性に気が付いてくれると信じています。

 

 

2. 閉じ込められている「帰国者」と子孫を助けたい

 

第二に、私たちは、この裁判に勝訴することを通じて、北朝鮮に今も閉じ込められている「帰国者」とその子孫たちを助けたいのです。

 

子孫も含めれば数十万人にもなろうという人々が、北朝鮮の中に囚われたままの状態です。人々は、いつか日本に戻りたい、いつか日本政府が助けに来てくれるのではないかという希望をつなぐごとでなんとか生きています。

 

北朝鮮では多くの人々が飢餓で命を落としています。

 

政府に都合が悪いとみなされた者は政治犯として収容所や拘留施設で拷問を受け、人間として扱われることなく命を落としていきます。脱北者はその場で射殺されるか、逮捕されたのちに処罰されます。

 

有り得ないようなことが当たり前に起こっているのが、北朝鮮という国なのです。日本からの帰国者やその子孫は、資本主義国から来た人間ということで、特に差別されています。

 

北朝鮮に残る帰国事業の被害者を助けるためには、日本政府そして国際社会の力強い後押しが必要です。今は日本社会でさえ、帰国事業のことを忘れています。北朝鮮で苦しむ被害者のことを思い出す人もいません。

 

この裁判に勝訴し、日本政府そして世界中の政府が立ち上がってくれることを期待しています。

 

騙されて北朝鮮で暮らした40年。その間心配ばかりかけた母は、原告の齋藤博子さんが脱北して帰国した時には帰らぬ人となっていた。

墓前で母にあやまる原告の齋藤さん(2014年)

 

 

訴訟の概要

 

今回の裁判は、帰国事業は北朝鮮政府による国家的不法行為であると訴えるものです。

 

虚偽の宣伝で北朝鮮への渡航を勧誘・実現させたうえ、移動の自由を否定し出国を許さず、北朝鮮に閉じ込めたからです。

 

2021年8月16日に北朝鮮政府に訴状を送る「公示送達」が実施され、10月14日に初めて裁判(口頭弁論)が開かれるところまでたどり着きました。

 

初めて裁判が開かれるまでに、3年を費やしました。なぜかというと、以下の論点表の通り、通常の日本の訴訟には見られない、多くの難解な手続き的論点があるからです。こうした論点を突破して裁判を開くまでに、裁判所と弁護団の協議も6回を数えました。

 

また、そもそも日本の裁判所が、外国の北朝鮮政府を被告にした裁判を日本の裁判所で行う権限があるのか(主権免除、国際裁判管轄)という大きな論点があります。

 

弁護団はまず、日本の裁判所で裁判を行えるということを裁判所に示すために、さまざまな検討や主張などを行わざるをえませんでした。そして今回とうとう、弁護団の尽力により、3年越しの裁判開廷にこぎ着けました。原告の私たちはやっとスタートにたてたことに感激し、今、気持ちを奮い立たせています。

 

【訴訟の内容】

 

■ 原告:5名の脱北者(川崎栄子さん、榊原洋子さん、高政美さん、齋藤博子さん、石川学さん)

 

■ 被告:北朝鮮政府

 

■ 訴えの内容:虚偽の宣伝で北朝鮮への渡航を勧誘・実現させ、移動の自由を否定し出国を許さなかった国家誘拐行為

 

■ 請求内容:北朝鮮政府の損害賠償

2021年10月14日(木) 午前10時〜

第一回口頭弁論期日 当事者尋問・証人尋問

参照HP:https://nklawsuit.hatenablog.com/

 


 

■日本政府や朝鮮総連などが被告でないのはなぜか:

北朝鮮政府を被告とした理由は、第一に、北朝鮮政府こそがこの事業を計画・遂行した最も責任ある主体だからです。他の団体の関与は、あくまで北朝鮮政府が計画した事業を前提とする副次的なものです。

 

北朝鮮政府以外を被告にしなかった理由として、第二に、時効・除斥期間という法律上の問題が挙げられます。過去、帰国事業に関しては、朝鮮総連を被告として、2件の裁判が提起されましたが、いずれも時効ないし除斥期間により敗訴しています。

 

日本政府や朝鮮総連、赤十字諸機関など、北朝鮮政府以外の主体の不法行為は、いずれも1950年代末から1980年代にかけて行われた在日コリアンに対する虚偽に基づく勧誘への関与ですが、当時の日本の民法では、行為から20年経過すると不法行為に基づく請求権が消滅するとされていました。日本政府等を被告とすれば、時効・除斥期間の経過により敗訴が免れないという現実があります。

 

一方、北朝鮮政府の関与、すなわち原告を北朝鮮に渡航させ日本への帰還を許さなかったという行為は、各原告が脱北した時点まで続いており、20年という除斥期間にかからないと考えています。 今回は司法の場での「訴訟」という手段をとったために、以上の理由で、北朝鮮政府だけが被告となっています。

 

しかし、原告らとして、北朝鮮政府以外には責任がないと考えているわけではありません。「帰国事業」に直接かかわった他の5者(日本政府、朝鮮総連、日本赤十字社、北朝鮮赤十字会、赤十字国際委員会)にも、程度の差はありますが、責任があると考えています。

 

原告5人は2015年、北朝鮮政府を含めた6者の行為について、日本弁護士連合会に対し「人権救済申立」を行っており、この申し立ては今も調査中となっています。

 

※このほか、よくいただくご質問についてはこちらのページにまとめております。

 

脱北者である私たちが北朝鮮政府を相手取るという異例の裁判は、非常に複雑かつ難易度が高いものです。大まかな論点は下記の内容です。

 

 

崔 (チェ) 宏基弁護士(大阪弁護士会所属)と打ち合わせをする原告の齋藤博子さんと榊原洋子さん

 

 

北朝鮮での惨状を伝え、世界中の民意を動かしたい

 

この裁判により、初めて司法の場で北朝鮮政府の責任が問われます。国際的にも、帰国事業が間違っていたということを法的に示す場となり、日本で開かれることに大きな意義があると感じています。

 

弁護団は、この極めて難解な裁判を一円の支払いもないまま、完全な手弁当、弁護士個人や支援者の持ち出しによって工面し、これまで闘ってきてくれました。

 

この度、日本に裁判管轄権があるという裁判所の判断を背景に、10月14日から本格的な裁判開始となったため、裁判のためのご支援をクラウドファンディングで募ることにいたしました。

 

今、クラウドファンディングに挑戦することで、多くの皆さまに「北朝鮮帰国事業」により起きた悲劇を知っていただくとともに、私たちの「もういちど、家族に会いたい…」という願いへの応援を呼びかけたいと考えました。

 

まずは、この裁判をやりとげて、日本の皆さまに北朝鮮帰国事業により起きた悲劇を知っていただく必要があります。日本の皆さま、そして世界中の心ある人々の協力がなくては、北朝鮮政府を変えることはできません。

 

その先にこそ、今も、北朝鮮で暮らしている人たちの日本への帰国実現があります。厳しい状況に置かれている彼ら彼女ら、その子孫たちの人間性が回復できることを望んでいます。

 

どうか皆さまのお力をお貸しください。

 

■ご支援金の使いみち:

1.  訴訟費用
・原告・弁護団・証人の宿泊交通費
・印刷費
・文献費
・翻訳費
・学者意見費用
・弁護士着手金  など

 

2.  日本内外に「帰国者」の実態を知らせ、今も北朝鮮に閉じ込められている「帰国者」とその子孫の救済を訴えるための費用
・イベント開催費
・広報費
・調査・研究費
・翻訳費
・宿泊交通費
・スタッフ人件費  など

 

3. READYFORサービス利用・決済利用手数料

 

※今回のプロジェクトでいただいたご支援は、北朝鮮帰国事業裁判原告団が有する「北朝鮮帰国事業裁判支援基金」口座にて受領いたします。

※本プロジェクトは、ご支援総額が期日までに目標金額に届かなかった場合でも、経費の節約及び自己資金での填補を行ったうえで実行致します。

 

 

原告:私たちの思い

 

川崎 栄子

  

当時17歳だった私は、「北朝鮮では自由で豊かな暮らしができる」という言葉を信じて、家族より先に一人で北朝鮮に渡りました。しかし、到着してすぐに、その言葉は嘘であったと気づきました。迎えた人々の頬は痩せこけ、顔色も悪く、着ているものもみすぼらしかったのです。

 

日本からの帰国者は、最も低い社会的身分として差別を受けました。希望した大学への進学は断られ、夫の母からは執拗な嫌がらせを受けました。夫は、帰国者である私と結婚したために出世できなかったからです。経済的にも厳しい生活を送り、子どもたちには穴や継ぎ接ぎだらけの服を着て、水ばかりの粥を食べさせるしかありませんでした。

 

1994年頃からの大飢饉では、痩せこけた身体に劣化した着衣を纏う遺体を多く目にしました。食べるために殺人や強盗を厭わない者もいたため、中には殴られてあざだらけの遺体、脚が切断された遺体も多くありました。

 

北朝鮮で過ごした43年間は、自由の許されない厳しいものでした。でも自殺もできませんでした。自殺は体制への反逆とみなされ、その家族は連れ去られて行方不明になる様子も見たからです。

 

私の子ども4名、孫5名は未だ北朝鮮に残っています。

 

監視が厳しくなるにつれて手紙や電話でのやりとりも封じられ、昨年から今まで、一切の連絡が取れていません。家族に再会したい、それが私の最後の望みです。

 


著書:韓錫圭(2007)『日本から「北」に帰った人の物語』新幹社 (家族への報復を恐れ、2007年当時ペンネームで書いた著書)

 

榊原 洋子

 

私の家は経済的余裕がなかったため、朝鮮総聯の「地上の楽園」という執拗な宣伝と説得を信じ、一家での帰国を決意しました。帰国船で出された、小さくて赤くない虫が食ったみすぼらしいりんごや、薄汚い建物が並ぶ灰色の都市を見て、その宣伝は嘘であったのだとわかりました。

 

港には、日本にいた時に近所だったお母さんが迎えに来ていたものの、頬がげっそりと痩せこけ、体全体が痩せ細り、元々色白だったのに日焼けで真っ黒になっていました。
 

現地での歓迎会で、党幹部が「祖国の温かいふところに抱かれた感想はどうですか?」と聞いたのに対して、一緒に配置された女学生が「お世辞にも良いとは言えません」と答えたところ、その学生の家族全員がいなくなりました。
 

私たちの家族に割り当てられたのは、6畳弱の部屋を改装した狭い空間で、他人の家の居候だったため便所は共同で、風呂はなく、行水をするほかありませんでした。

 

肉、魚、野菜は供給量が少なく、1年に2-3回食べられれば良い方でした。殻がついたまま引いた黒っぽい小麦粉にじゃがいもを加えてお粥にしたものを食べざるをえず、下痢に苦しみました。
 

帰国前には本人の希望や能力に応じて職業を配置されると聞いていましたが、実際には一方的に職種を指定され、異議を唱えれば粛清されました。父は、農業を割り当てられ、過酷な仕事に苦しみ10ヶ月で精神を病んで精神病院に送られ、そのまま、戻ってくることはありませんでした。

 

高 政美

 

私は3歳の頃、朝鮮総聯から説得を受けて帰国を決断した母に連れられて北朝鮮へ帰国しました。兄は、着いた港で日本に帰りたいと訴えたところ、精神病院とは名ばかりの山奥の収容所にそのまま送られました。

 

4年後には、兄は、四つん這いでボロボロの服を纏い、髪の毛は伸び放題、頭が垂れ下がり、目は虚で表情がなく、動物のようで、話をすることができない獣のような姿になっていました。
 

その後、父も、突然行方不明になり、「煉瓦工場」と称する収容所に送られ、連日、拷問を受け、半年後に、白髪の老人になり、痩せこけて、拷問による障害で仰向けに寝ることもできず、しらみとノミだらけの姿で帰ってきました。
 

日本の小・中学校にあたる人民学校では、日本からの帰国者であることを理由に「チョッパリ」(日本人の蔑称)などと言われ、服を脱がされ、破られ、下着だけにされるなどいじめを受けました。
 

私が大学講師の職に就いていたころには、金を貸していた男性が北朝鮮政府の処罰対象となったことで、連座制が適用され、職を解かれて農村部への追放処分を受けました。当局の監視対象となったため、全ての自由が奪われ、いつでも収容所送りにするぞと脅されながら,日々を過ごしていました。
 

私は2003年に第1回の脱北に失敗し、拘禁されました。私の体力が回復してきたことがわかると拷問を開始し、気絶するまで殴る、蹴るなどさまざまな暴力を加えました。栄養失調に陥り、拷問により肛門が開き、舌が伸びた状態となったところで、病院に移送され釈放されましたが、その間も断続的に拷問を受けました。

 

齋藤 博子

  

私は17歳の時、在日朝鮮人の男性と恋愛をし、婚姻しました。その後、朝鮮総聯の者が北朝鮮への帰国を勧めるようになり、「日本人妻は3年経ったら日本に戻ることができる」という言葉や体の弱い夫のために病院代がかからないなどの説明を信じ、朝鮮人の夫とともに帰国することを決意しました。

 

日本では在日朝鮮人は差別の対象であり、日本人に比べて生活も苦しかったので、北朝鮮では差別がないという言葉は非常に魅力的でした。
 

ところが、北朝鮮に 着いた時に、出迎えの人たちがみんな黒くて、痩せ細り、子どもたちが上半身だけ服を着てパンツを履いていない姿なのを見て、騙されたのだと悟りました。
 

その後、日本への里帰りは許されず、割り当てられたアパートは便器や排水設備もなく、アパートの近くの川で水を汲み、自宅まで運び上げ、また捨てに行かなくてはなりませんでした。食べ物も十分になく、衣食住に困窮するようになりました。風呂はなく、次第に体を洗わなくても平気になりました。

 

冬には、燃料の薪を割るのに追われました。公開処刑に連れ出され、鉄道敷設をはじめとした強制労働にも駆り出されました。夫は、重労働の挙句、結核で死にました。
 

夫が死んでから、国全体が飢餓状態となりました。私は、会社の機械を勝手に分解して流通していた銅線の闇商売をしたり、市場で自作の靴やイモを売ったり、アパートの住民たちみんなで米やトウモロコシを盗んだり、ありとあらゆることをして生き延びました。

 


著書:齋藤博子(2010)『北朝鮮に嫁いで四十年 ある脱北日本人妻の手記』草思社

 

石川 学

 

(撮影 森本毅篤)

私は日本の朝鮮学校に通い、北朝鮮は素晴らしい国だという教育を受けていました。北朝鮮では差別されずに皆が平等だということを信じ、兄と姉と一緒に中学生の時に北朝鮮へ渡りました。

 

北朝鮮では、冬はマイナス45℃にもなるような極寒の地に配置され、栄養失調になるような食料の配給で生活せざるを得ませんでした。今でも栄養失調による後遺症や凍傷の後遺症が残っています。大飢饉の頃には、街に餓死者の遺体がゴロゴロしており、その処理もさせられました。このままでは子どもたちも飢え死にさせてしまうと思い、脱北を決意しました。

 

 

北朝鮮帰国事業・訴訟の経緯

 

 

 

応援者からのメッセージ

 

土井 香苗

国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ  日本代表

国連は2014年、北朝鮮政府は、その犯した人権侵害の「重大性、規模、本質において、現代世界において他の比類ない国家」であると断定しました。

 

“The gravity, scale and nature of these violations reveal a State that does not have any parallel in the contemporary world”

 

そこで苦しむ人々のために日本司法が光となってほしい。皆さまのご支援をお願いします。

 

清水 ハン 栄治

映画『トゥルーノース』監督

「自業自得!自由意志で帰還事業に参加したんでしょ。」ごもっともかも知れません。でも、私はアニメ映画の企画で帰還した在日の人々について調べていくにつれて、そう簡単には割り切れない背景を知ることになりました。

 

あの当時「地上の楽園」は、今で言うところの巧妙なフェイクニュース。教育と医療が無料だ、すぐに帰ってこれるよ、同志達と平等で繁栄ある国を作っていこう。そのプロパガンダは圧倒的に魅力的でした。私の親族の友人や近所の方々も多く帰還し、その後、音信が途絶えています。そして北朝鮮に渡った9万3千人のうち2〜3割はスパイ容疑で政治犯強制収容所に収監されたとも言われています。

 

この裁判が、帰還事業の真実が総括されることを強く望みます。

 

 山田 文明

大阪経済大学経営学部元教授/特定非営利活動法人「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」元理事長

勇気をだして原告となった5人は、ご自身の被害を通して、すべての北朝鮮帰国者の激しい怒り、そして、その人たちを「人質」にされた日本の親族の胸の内を代弁している人たちです。

 

嘘でかためた「帰国事業」を計画・実行した張本人・北朝鮮政府を始めて法廷で被告席に立たせ、その責任を追及しています。5人の原告と弁護団の努力を応援します。

 

人生を破壊された被害者は、日本の親族を含めれば、数十万人にのぼります。光が当てられずにきたこの問題は、大きな日本の社会問題です。すでに多くの人が救済を待てずになくなっています。

 

皆さまの大きなご支援をどうかお願いいたします。

 

佐伯 浩明

産経新聞元政治部編集委員/特定非営利活動法人「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」理事長

北朝鮮帰国事業で北朝鮮に渡った9万3,000人の在日朝鮮人帰国者家族は、その子どもや孫などを含め、今や約30万人ともいわれています。30万人の人々が今も北朝鮮で苦しんでいます。日本政府に助けてもらいたいと望んでいます。


金正恩党総書記に、今回の裁判結果に耳を貸し、国連の『北朝鮮人権報告書』で指摘された「自由と人権」の回復こそ、自国を真に豊かにする道だと気づいて欲しいのです―それが私たちの究極の願望です。


どうか、このクラウドファンディングを通じて、多くの皆様にこの裁判の意義を知っていただき、北朝鮮の人権侵害で苦しむ人々を救う行動に加わっていただければと思います。

 

小川 晴久

東京大学名誉教授/特定非営利活動法人「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」理事/NOFENCE代表

私は、1960年代に日本から北朝鮮に渡った人々(帰国者)の家族から、北朝鮮の山の中に恐ろしい強制収容所があること、帰国者が大量に収容所に捕らわれていることを知らされて驚愕し、1994年2月20日「北朝鮮帰国者の生命(いのち)と人権を守る会」の創設に参加。

 

今回5人の原告と9人の弁護士たちが、北朝鮮当局(金正恩委員長)を被告として損害賠償訴訟(民事)を起こし、北朝鮮と日本が国交を結んでいないため、北朝鮮政府が「主権免除」を享受できず、裁判が成立しました。

 

9人の弁護士たちは手弁当でこの裁判にあたって下さっています。日本の裁判所で北朝鮮帰国事業が初めて審議される画期的なものです。原告勝訴のため、皆さんのご支援をお願いします。

 

三浦小太郎

評論家

北朝鮮帰還事業は、まさに「地獄への道は善意で敷き詰められている」という言葉をそのまま体現するものでした。朝鮮総連が北朝鮮を「地上の楽園」と虚偽宣伝した帰還事業は、当時、自民党から共産党まで、朝日新聞から産経新聞までが支持し「人道事業」として行われました。

 

しかし、9万数千人の帰国者たちの渡った北朝鮮の実態は「飢餓と抑圧の収容所共和国」でした。帰国者の中には「日本のスパイ」と決めつけられて強制収容所に送られた人も数多く存在します。

 

その地獄から生還してきた歴史の証言者たちが、今、北朝鮮体制に立ち向かっています。ぜひ皆様の応援をお願いします。

 

■ 加藤 博

北朝鮮救援基金  理事長

誰にでも幸せに生きる権利がある。政党、民間、メディアを含めて 社会全体が後押しをして「地上の楽園」への帰還運動を推進した。日本 人配偶者を含め9万3千人が北朝鮮に移住した。 しかし、待っていたのは真逆の現実だった。

 

貧困、飢餓、餓死、収容所を体験した後に日本に戻る許可はなかった。強い意志、健康な体、強 運の持ち主が苦難の旅の末に日本に戻ることができた。移動の自由、居 住地選択の自由を認めず、職業選択の自由もない国で、不十分な食料に 耐え、老齢を重ねなければならない運命は悲惨である。

 

5人の原告の勇気を後押しし、日本への帰国を希望する人々の願いを 実らせる多くの人の声を集めたい。

 

フレッド・ワームビア/シンディ・ワームビア

(北朝鮮で拘束され拷問の末亡くなった米国人学生オットー・ワームビア氏の両親)

Fred & Cindy Warmbier

(Parents of Otto Warmbier, then-student constrained and tortured in the north korea)

金正恩が、私たちの息子であるオットーを殺害したことは明白です。北朝鮮政権による残虐行為は、世界中で目撃されていますが、依然として、世界の人々は、恐怖と静寂の中で傍観しています。

 

各国やメディアは、金正恩を偶像化しているように見えます。金正恩が聖人かのように白馬にまたがった姿を見せ、彼に対話を求めて自分たちのようになることを望んでいます。これは、およそ理解できないことですが、現在も続いています。


幸運なことに、アメリカや日本のような民主国家では、市民が、金正恩のような圧政者に立ち向かうことができます。私たちの国の司法制度には、私たちの悲嘆を訴えるための現実的な手段があります。私たちは、金正恩の政治体制に対峙する強さと勇気を持った川崎栄子さんや他の被害者の方々を大変誇りに思います。私たちは、彼女らを支持します。

 

"Kim’s murder of our son Otto is not obscure. The regimes’ atrocities are witnessed all too often on a global stage, yet the world watches in horror and stillness.

Governments and the media seem to idolize Kim, they show pictures of him riding on a white horse, as if he were a saint, and beg him to engage, and be like us. This is madness and it continues. Thankfully with great countries, like the United States and Japan, individuals have the ability to stand up to tyrants like Kim. The judicial systems of our countries provide a viable way to voice our grief. We are incredibly proud of Eiko and the other victims, who have the strength and courage to challenge the Kim regime. We stand with you."

 


参照:CNN 「帰国時から死の床に」、北朝鮮で拘束の米学生 両親語る最期https://www.cnn.co.jp/world/35107851.html (2017.09.27)

 

■ 横田 早紀江

(北朝鮮による拉致被害者、横田めぐみさんの母)

めぐみが13歳で北朝鮮に拉致されてから早44年が経ちました。実に多くの同胞が拉致されて帰国がかなわぬままです。

 

そればかりか、60年ほど前に始まった北朝鮮帰還事業で9万3千人の在日朝鮮の人々が北に渡り、餓死や収容所送りにされるなど悲惨な境遇に置かれています。

 

どうかこの北朝鮮帰国事業裁判にも注目し、一刻も早く全ての苦しむ人々が解放され、自由の身となれます様、心からの御支援をよろしくお願い申し上げます。

 

 


プロジェクトに関するご留意事項

 

・本プロジェクトは目標金額の達成有無にかかわらず、支援をした時点で申し込みが確定し、その後のキャンセルはできませんのでご注意ください。

・ご支援に関するご質問は、こちらをご覧ください。

プロジェクト実行責任者:
北朝鮮帰国事業裁判原告団
プロジェクト実施完了日:
2023年10月31日

プロジェクト概要と集めた資金の使途

北朝鮮は「地上の楽園」と騙されて「帰国事業」により日本から北朝鮮に渡ってしまった約9万3千人。原告はそのうち奇跡的に脱北に成功した5人です。北朝鮮帰国事業裁判では、北朝鮮政府に訴訟を提起し、その責任を問うとともに、北朝鮮に今も閉じ込められている「帰国者」とその子孫たちの一日も早い救済を、日本社会、日本政府、国際社会に訴えます。 1.訴訟費用(原告・弁護団・証人の宿泊交通費・印刷費・文献費・翻訳費・学者意見費用・弁護士着手金など) 2.日本内外に「帰国者」の実態を知らせ、今も北朝鮮に閉じ込められている「帰国者」とその子孫の救済を訴えるための費用(イベント開催費・広報費・調査・研究費・翻訳費・宿泊交通費・スタッフ人件費など) 3.READYFORサービス・決済利用手数料

リスク&チャレンジ

プロジェクトに必要な金額と目標金額の差額について
必要金額と目標金額の差額は、経費の節約及び自己資金の填補を行います。

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プロフィール

2018年8月に東京地裁に提訴した北朝鮮帰国事業裁判の原告5人、そして支援者のグループです。原告5人は、1959年から1984年に行われた「北朝鮮帰国事業」で、当時「地上の楽園」とうたわれた北朝鮮にわたり、宣伝と全く違う現実に打ちのめされ苦しみぬいたうえで、命がけで脱北をして幸運にも日本にたどり着いた川崎栄子、榊原洋子、高政美、齋藤博子、石川学です。北朝鮮政府の責任を問い、そして北朝鮮に残された「帰国者」そしてその子孫たちをなんとか救いたいと願い、人生をかけてこの裁判を起こしました。

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リターン

3,000


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3000円支援

■心からのお礼のメール
■活動報告メール

支援者
35人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年12月

5,000


alt

5000円支援

■心からのお礼のメール
■活動報告メール

支援者
25人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年12月

10,000


alt

10,000円支援

■心からのお礼のメール
■活動報告メール

支援者
48人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年12月

30,000


alt

30,000円支援

■心からのお礼のメール
■活動報告メール

支援者
11人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年12月

50,000


alt

50,000円支援

■心からのお礼のメール
■活動報告メール

支援者
8人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年12月

100,000


alt

100,000円支援

■心からのお礼のメール
■活動報告メール

支援者
9人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年12月

300,000


alt

300,000円支援

■心からのお礼のメール
■活動報告メール

支援者
2人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年12月

500,000


alt

500,000円支援

■心からのお礼のメール
■活動報告メール

支援者
0人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年12月

1,000,000


alt

1,000,000円支援

■心からのお礼のメール
■活動報告メール

支援者
0人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年12月

3,000


alt

3,000 Yen | For supporters from overseas

JPY 3,000 Yen (approximately USD27.00)

===

- A thank you email

支援者
1人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年12月

5,000


alt

5,000 Yen | For supporters from overseas

JPY 5,000 Yen(approximately USD44.00)

===

- A thank you email

支援者
1人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年12月

10,000


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10,000 Yen | For supporters from overseas

JPY 10,000 Yen(approximately USD90.00)

===

- A thank you email

支援者
0人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年12月

30,000


alt

30,000 Yen | For supporters from overseas

JPY 30,000 Yen(approximately USD270.00)

===

- A thank you email

支援者
0人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年12月

50,000


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50,000 Yen | For supporters from overseas

JPY 50,000 Yen(approximately USD445.00)

===

- A thank you email

支援者
0人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年12月

100,000


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100,000 Yen | For supporters from overseas

JPY 100,000 Yen(approximately USD890.00)

===

- A thank you email

支援者
0人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年12月

プロフィール

2018年8月に東京地裁に提訴した北朝鮮帰国事業裁判の原告5人、そして支援者のグループです。原告5人は、1959年から1984年に行われた「北朝鮮帰国事業」で、当時「地上の楽園」とうたわれた北朝鮮にわたり、宣伝と全く違う現実に打ちのめされ苦しみぬいたうえで、命がけで脱北をして幸運にも日本にたどり着いた川崎栄子、榊原洋子、高政美、齋藤博子、石川学です。北朝鮮政府の責任を問い、そして北朝鮮に残された「帰国者」そしてその子孫たちをなんとか救いたいと願い、人生をかけてこの裁判を起こしました。

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