プロジェクト概要

熱中症による死亡事故の実に23倍!入浴中の死亡事故を0にしたい!

 

こんにちは!山形県酒田市で活動する酒田福祉住環境を考える会(通称さかふく)です。平成11年に設立した当団体は、高齢者や障害を抱える人たちが「元気に過ごしやすい環境は何か」を研究し、そこで分かったことを伝える研修会を行ったり、パンフレットを配布することで啓蒙活動を行ってきました。

 

そのなかで山形県庄内地域の保健所と共同で事業を行う機会があり、「入浴中の死亡事故」が熱中症による死亡事故の、実に23倍と非常に多いということを知りました。また、その事故の解決に向けた団体はほぼなく、この問題は半ば放置されている状態です。

 

私たちも保健所さんと協力してチラシを配ったり、講演会を行うなどしてきましたが、そこで、そもそもこの事故の危険性自体が知られていないことを感じました。この課題を解決するべく、私たちは啓発ツールをつくり、それらを酒田市及び庄内地域の高齢者利用施設に無料配布しようと考えています。もちろん、この問題は全国で起こっている問題ですので、今回ご支援をいただけた方々にも完成ツールをお送りいたします。

 

決して他人事ではない、「入浴中の死亡事故」を1人でも減らしたい!

皆さんのご理解、ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

 

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入浴中の死亡事故の現状


厚生労働省の調査によれば、入浴中の事故によって、年間19,000人もの方が全国で亡くなっていると推計されています。これは、よく取りだたされる「熱中症」による死亡事故の実に23倍、交通事故と比べても5倍以上です。

 

私たちの活動拠点である山形県庄内地域の保健所では、この数字が出る以前からその状況を把握しており、平成21年10月から3年以上の長期にわたる、全国的にも類を見ない精緻な実態調査を行っています。その結果、厚生労働省の調査と同様に件数が非常に多く、3年間における入浴事故による救急搬送事例は700人、うち4人に1人にあたる174人が死亡していました。これは同時期の交通事故によるの4倍を超えます。特に寒い時期(4期分の合算)に限ると、交通事故死亡者の9倍を超えました。ここから、山形県全体の入浴事故による死亡は年間200人以上と推測されました。

 

特徴的なのは、入浴事故による死亡者のうち65歳以上の割合が9割を超えていたことです。これは、高齢者にとって入浴行為自体がリスクを伴うものであることを物語っています。

 

山形県庄内保健所「平成25年度 入浴事故実態調査報告書【最終版】」

 

 

 

そもそも、入浴中の事故とは?


*「病気がなければ死なないでしょ?」
→死亡者の9割は65歳以上の高齢者です。高齢者ですので、何らかの持病があるのはやむを得ません。でも実は、亡くなった方の4人に1人は持病はありません。

*「お酒を飲んだ後だったんでしょ?」
→お酒を飲んで入浴すると、浴槽の中で眠ってしまうなど、リスクは高まります。でも実は、亡くなった方の90%は飲酒していません。

 

*「入浴中の事故って、転倒による外傷でしょ?」

→事故の9割は外傷ではなく、浴槽内での意識障害や失神による溺水です。これは高温浴による熱中症や、急激な血圧変動により引き起こされると言われています。


たまたまお風呂場が死に場所になってしまうのではありません。高齢者にとって入浴する行為は、死亡リスクがあるのです。誰にでもその危険性はあります。「裸で死ぬ」ことを防ぐ意識を、多くの方に知って欲しいと思います。

 

 

多くの方に、無料で啓発ツールを提供したい

 

高齢者に「自分ごと」と認識してもらえるようにお知らせするには、講話と対話が有効です。当会や庄内保健所では啓発を実施していきます。しかしそのことだけですべての対象者に伝えることは限界があります。そこで、多くの協力者を募り、啓発を図ることを考えました。


例えば、地域コミュニティや、高齢者の健康づくりをサポートしている団体、あるいは在宅支援を行っている福祉従事者、誰でも簡単に啓発してもらえるように、できるだけ簡単に、かつ効率的な方法が必要です。私たちは、いただいたご支援を元に、以下の3つのツールを作成し、まずは山形県酒田市及び庄内地域を中心に無料で提供し、活用していただきたいと考えています。そして、この取組みが上手くいけば、将来的には他地域への波及も考えています。


○ツール1「啓発マニュアル」
 誰でも協力者として啓発していただけるように、マニュアルを作成します。協力者からは、適宜意見をもらいながら、随時分かりやすい内容に更新していきたいと考えています。

○ツール2「啓発動画」
 啓発する動画を撮影、編集して作成します。これは、高齢者に対する講話や対話の際に、啓発していただく協力者の負担を軽減するため、動画を再生することにより事故の認知と自ら予防する方法を知ってもらうものです。実は、庄内保健所ではテーマ別に複数の動画をYouTubeで公開しており、そのうち数本の制作については当団体も協力しました。今回作成する動画は、これらのエッセンスを一本にまとめて、実際の啓発現場で使いやすいものにします。

○ツール3「啓発リーフレット」
 協力者に啓発してもらうだけでは、なかなか予防行動に移してもらえません。より継続的な実践をしてもらう観点から、ひとり暮らし等の高齢者世帯を主な対象としたリーフレットを作成、印刷して協力者に提供します。高齢者には脱衣室等に貼ってもらうことで、常に入浴中の事故に対する意識を持ってもらいたいと考えています。

 

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リーフレットイメージ図


 

まずはこの現状を知っていただき、その意識を変えていきたい


入浴事故から死亡に至る原因は、発見の遅れによるところが大きいです。つまり、ひとり暮らしの高齢者や、高齢者夫婦のみで暮らしている方は、死亡のリスクが高いと言えます。その方々に重点を置いた啓発に向けて、一層のプロモーション活動が必要です。意識を変えるための啓発を継続し、将来的には他地域への普及も図っていく必要があります。


この課題の最大のポイントは、自分の健康に自信のある高齢者が危険である点です。デイサービス等により介助入浴をされている方は、入浴中の事故が発生しても早期の救助が可能であるため、重篤化を免れることができます。


入浴中の事故は、予防医療の課題であり、地域福祉の課題であり、健康住宅の課題であり、危機管理の課題です。多くの方が啓発できるにもかかわらず、未だ効果的な取組みがなされていません。

 

私たちは、地方からこの課題に真正面から取組み、成果を上げて全国に波及させていきたいと考えています。皆様のご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

 


※本プロジェクトにおけるデータは、以下を参照しています。
・厚生労働省「入浴関連事故の実態把握及び予防対策に関する研究 平成25年度 総括・分担研究報告書」
・警視庁交通局交通企画課「平成28年中の交通事故死者数について」
・厚生労働省「人口動態統計月報(概数)(平成27年9月分)(参考:6~9月の熱中症による死亡者数)」
・山形県庄内保健所「平成25年度 入浴事故実態調査報告書【最終版】」


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