平均年齢オーバー70。世界メゾンからオファーがくる絶滅寸前の職人技

達成の御礼とネクストゴールについて

2月15日よりスタートした本クラウドファンディングですが、本日3月9日に77人の方からのご支援で目標金額である100万円を達成しました。

ご支援してくださいました皆さまに、心より感謝申し上げます。

クラウドファンディングの挑戦は、達成しなければ全額支援者様に返金される形をとっていたので、達成するかも不安でした。しかし、皆さまからのたくさんのご支援、拡散、応援のおかげで達成し、温かいお言葉や、コメントをいただく度に、たくさんの方に支えられて今、目標に向かって取り組めていることを改めて実感しています。本当にありがとうございます。そして、ネクストゴールを設置させていただくことといたしました。

次の目標金額は300万円です。

【資金の使い道】を見て頂いたらわかるように作るのに300万円はかかってくるのが現状です。いただいたご支援は、オリジナルブランド立ち上げ費用・商品製造のための資材調達費用として大切に使わせていただきます。また、先日展示会に出して賞賛頂いた壁紙のカラーバリエーション展開と、柄の展開のための費用にも使用させていただく予定です。仮に、ネクストゴールの金額を達成できなかった場合も、自己資金を元に実施はさせていただく予定ですが、皆様からの多くのご支援いただけますと幸いです。私たちはこの会社の再建を必ずしてみせます。

皆さまからの想いを無駄にしないよう努めてまいりますので、残りの期間、引き続きのご支援のご協力、そして、拡散・広報のご協力のほどどうぞよろしくお願いいたします。姉妹のInstagramも毎日更新中です。ぜひ見てください。また、クラファンの登録の仕方がわからない方は担当小倉理枝（メールアドレス：rietamutamu@gmail.com）まで、ご連絡をお願い致します。

令和5年3月9日追記
小倉織物の姉妹の小倉理枝、有紀

インターネットでのご支援が難しい方はこちら

ーご挨拶ー 

2021年の初め、父から家業の状況を聞き、伝統工芸の取り巻く環境の厳しさについて初めて知りました。

私たちは125年続く機屋の5代目の姉妹です。

シルクジャカード生地、ドビー生地の生産を得意としています。鞄や洋服などの最終商品を作っているわけではないので知らない人が多いですが、小倉織物では国内外のハイブランドのテキスタイルを織っています。絹織物のなかでも特に繊細で高度な技術を必要とする後染め洋装のシルクジャカードを織れる機屋は、今ではほとんど確認できません。

幼いころから祖父が早朝から出社して会社を掃除し、神棚に手を合わせ、一度帰宅し、出社する、そういう姿を見ながら育ちました。「かっこいいな」と、子供ながら漠然と憧れていたことを覚えています。　

全盛期には200人いた社員も今では10人以下の規模になっており、従業員の年齢が50代以上となっています。父が毎日早朝から深夜まで経理・営業・総務・運搬など何もかもを一人で背負って奔走していること・職人の高齢化や絹の高騰・中国の台頭・撚糸工場や通糸工場が次々と廃業に追い込まれていることを知りました。『とにかく力になりたい・・』そして私達は立ち上がりました。　

父や職人さんたちへインタビューをするうち私達の中でも「想いを、技術を後世に繋げたい。多くの人に知ってほしい。私達が今やらないと・・」と強く思うようになりました。世界中の人にMade in Japanの価値を知ってほしい。1人でも多くの人にとにかく触れてほしい。そんな熱い思いがわき立ち、「BtoCの自社ブランドを立ち上げたい」という決意をしました。

公式instagram：https://www.instagram.com/ogura1895/

姉妹アカウント：https://www.instagram.com/ogurafact

twitter：https://twitter.com/ogura1895

明治30年　創業

大正09年　設立

昭和26年　米国絹業協会理事ウェルター・ストラス・バーガー氏来社

昭和28年　現・上皇陛下が皇太子の居りエリザベス女王の載冠式にご参列の際、贈与品として英国王室に謹製納入※謹製 

昭和29年　高松宮殿下ご来臨

昭和32年　三笠宮殿下ご来臨

昭和44年　勲五等旭日章を受賞

昭和48年　高松宮より蚕糸功績賞を授与

平成09年　繊維100年賞を受賞

平成19年　デザイン・エクセレント・カンパニー賞を受賞

平成29年　Mame Kurogouchi生地提供 パリコレ出展

令和03年　TOKYO2020オリンピック公式スカーフを製作

令和04年　ヨウジヤマモト×鬼滅の刃 コラボ商品製作

令和04年　蚕糸功労賞受賞　ウズベキスタン大使ご来社

生地の上に印刷を施したプリント生地とは違い、デザイン自体が生地に織り込まれている織物のことを言います。模様を直接編み込んでいくため、自然な立体感と高級感が特徴です。また、経糸（たていと）と緯糸（よこいと）の糸種を変えることもできるため、無限のデザインの幅と自由度があり、質感や見え方に奥行きが生まれます。複雑な柄を再現すればするほど高級感は増すとともに、プリント生地のように色褪せ・色落ちの心配もないのも特徴のひとつです。

そして『シルク』とは、天然の蚕からとれる動物性たんぱく質で構成される繭玉から作られた天然繊維です。保湿性が高くなめらかな肌ざわり、軽くて薄くて高級品。というところまでは皆様ご存じのことと思いますが、他にも紫外線を通しにくい・静電気が起きにくい・シワになりにくい・夏は涼しく冬は暖かいなど、特有の魅力をたくさん持っています。　

このスカーフの生地からうきあがってみえるこの生地がジャカード織りです。（上の写真は英語文字）このジャカードがはいることにより、普通のシルクの生地より光沢、ツヤ、高級感がまします。また触っていただけないのが残念なのですが、手触りは繊細でなめらかで、触り心地がよく日本人の繊細さが生地にも表れています。

シルクで、ジャカードを織ることの何が大変かというと、7つある工程の全てで熟練の職人の技が必要な点です。

伝統工芸＝守るべきものこれは誰もがどこかで一度は目にしたことのあるキャッチコピーではないでしょうか。では何故、守るべきなのか？今回、客観的な視点を意識し会社を見つめ直してみると、どうも先代たちは「守るべき」の義務感で仕事をしてきたわけではなさそうなのです。

産業革命のその先を読みいち早く海外へ飛び立ち絹織物を学んで帰った二代目は常に社会が何を求めているかを探求し、それに応えられるよう技術を開発し磨き続け、難しいオーダーに出会うたび試行錯誤とイノベーションを繰り返し、固有の存在意義を持っていたのではないかと思います。　

また、今日の日本の洋服の98%が海外製品を占めています。有事のときに自国で作れないと大打撃を受けることは、止まらない円安で痛感している方も多くいらっしゃることでしょう。

made in japanを

簡単に絶やしてはいけない

これこそが、衣食住の「衣」を支え続けてきた小倉織物の、そしてその後継者である私達の使命だと考えております。伝統とは、全て守るのなんて不可能で時代にそぐわないものが淘汰され消えていくのが世の常です。なくなってほしくないと思う人が多ければ自然と残るし、残って磨かれて価値が高まるほどに、なくなってほしくないという人々の思いも高まり、そうして自然と受け継がれていくものを伝統と呼ぶのでしょう。

国産シルクジャカードが消えてほしくないと思ってもらえる理由はきっと、美しさを追求する人間の本能だと解釈しています。 そして令和の今、必需品から芸術に昇華して生み出され残ったのがシルクジャカードだということに気づきました。

絹織物の再興を図るべく、私達なりに考え、今までのやり方だけでは存続は難しく、新しく売上の柱をもう一本増やし再構築を図ろうと思い、今回創立以来初めてとなる『BtoCのブランド』を立ち上げたいと考えています。

ブランド立ち上げ予定は春頃（4月頃〜）、詳細については追ってHPにて記載していきます。

・オリジナルブランド立ち上げ費用

・商品製造のための資材調達費用

　【資材内訳】

ブランド立ち上げ必要金額　3,000,000円

クラウドファンディング目標金額　1,000,000円

※差額は自己資金で補填予定（万が一補填が難しい場合は、規模を縮小して実行予定）

※ネクスト目標は2,000,000円を目指します

（3/9追記：ネクストゴールでは、必要総額の300万円を目指すことにしました。）

京都の和傘工房「日吉屋」の石山暁です。小倉織物の小倉理枝さんは、今年7月、飛び込みで弊社をお訪ねくださいました。突然のご訪問には驚きましたが、ご実家のビジネスをご自身なりに支えたいという、強い熱意と深いお考えが背景にありました。弊社は5代続く京和傘工房ですが、和傘の需要の落ち込みが激しかった10数年前から、和傘の素材と構造を利用した照明器具の制作を始め、現在では国内外のたくさんのホテルやレストラン、店舗、個人邸などとお取引ができるようになりました。自社再建の経緯を記した西堀耕太郎（日吉屋5代目）の著書「伝統の技を世界で売る方法」を、小倉さんがお読み下さり、弊社にお越し下さいました。伝統工芸の技は守られなければならない、という言葉をよく耳にします。

しかし8年ほど日吉屋で働いてきた私には、この言葉に違和感を覚えます。伝統工芸と呼ばれる産業に携わっている方々は、守りに入っている方はほとんどおらず、攻めの姿勢・挑戦する意欲を持っている方ばかりです。時代の流行とともに変化する社会に適応し、社会から求められる商品や技術が、長く残り、いつか伝統の●●と呼ばれるだけです。小倉織物さんには、国内外ファッションブランドからも絶大な信頼を寄せられる、特殊な技術と職人さん達がいらっしゃいます。しかし小倉織物の名前は表に出ませんし、その技術名や作られている素材の特殊性も、一般の人々には知られていません。ものづくりの分野では分業化が進み、技術の特殊性・習熟度の高さが求められた時代は過去のものとなり、自社で素材調達〜製造・販売・発信まで一貫して行えなければならない時代になりました。

小倉さんご姉妹が自社製品を自分たちの名前で世に出したいと思うのは、自然な流れだと思います。お二人には強い信念と、歴史に縛られない柔軟さ、そして職人さん達との信頼関係があります。伝統工芸に携わる会社が新しい取り組みをするにはとても大切な要素です。有紀さん、理枝さんが、自分たちの次の世代にも紡いでいけるよう、まずはこのはじめの一歩、クラウドファンディングの成功を心からお祈りしています！