すっかり秋らしくなってまいりましたが、皆様お変わりなくお過ごしのことと思います。

現在、「晩春」はニューヨークで修復作業の真っ最中です。

 

本日は、「晩春」の修復を担当するシネリック社の協力により、フィルム修復の道のりを写真に沿ってご紹介します。

 

修復の流れは大きく分けてスキャニング→パラ消し→グレーディングという工程を経て作業されるのですが、今回は第一回目として、スキャニングについてご案内させていただきます。


晩春のネガフィルムです。フィルムは本来、適切に保管しないとゆがみが発生したり、(カラー作品の場合)退色したりしますが、現在のテレビ放送されている映像(ハイビジョン映像)よりも豊富な情報量が収められています。

 


スキャニングの前に“ライトボックス”の上でフィルムを移動させ1コマ1コマ、傷の有無、歪み、つなぎ目の状態等、原版フィルムに存在する物理的な問題の点検をし、問題があれば補修します。
スキャニングの作業中にフィルムが切れたりする事故を防ぐためにも重要な作業のひとつです。
ここでフィルムと一緒に写っている古いフィルム缶の写真をご覧ください。この缶が過ごしてきた長い年月を思わせる、大変貴重な1ショットです。
 


こちらがフィルムをデジタル化するための4Kスキャナーです。
シネリック社は世界ではじめて長編白黒フィルム(「博士の異常な愛情」スタンリー・キューブリック監督)の4K修復を行った会社です。

 

通常は非公開ですが、特別に写真を送ってもらいました。この作業はコンピューターで自動化されている部分もありますが、熟練のオペレーターが1コマずつ、画像のすみずみまで目視でチェックしながら行います。このスキャニングはシネリック社が独自に開発した4Kのリキッドゲート方式※にて行われます。映画のフィルムは、1秒間24コマあるので、「晩春」の場合、約150,000コマ以上になります。気の遠くなるような作業です。

※リキッドゲート方式とは:フィルムを通す枠に液体を流しながらスキャンする方法。フィルムを痛めることなく、液体がフィルムを覆うことで細かな傷やゴミを消した状態でデジタル化することができます。
 

次回は、変換されたデジタルデータがどのような道のりを経て修復されていくか、ご案内させていただきます。

 

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