電動車いすレンタル支援事業
電動車いすレンタル支援事業をご支援いただいている皆様
昨年3月に実施した「電動車いすレンタル支援事業」に関するクラウドファンディングを通じて目標の200万円を超える寄付(2,632,000円）をお寄せいただいた皆様に改めてお礼申し上げます。具体的に患者やその家族を支える取組みとして、私ども財団で最初に実行に踏み切ったプロジェクトとなりました。ALS（筋萎縮性側索硬化症）と認定され絶望のどん底に突き落とされそうになっている患者を何とか街に連れ出し、暮らしと人生を再生するお手伝いの一環として位置づけることができればと考えて活動をスタートさせることができました。
＜ここまでの結果のご報告＞
昨年5月にReadyForから手数料(405,328円）を引いて2,226,672
円の入金をいただき、早速候補者探しを始めました。以来、現在に至るまで９人の方々からお問い合わせ
をいただき、ご相談をスタート、うち６人の患者様に申請手続きに入っていただき詳細なお打ち合わせをさせていただきました。お問い合わせいただいた９名のうち詳細手続きに至らなかった３名の方々は、①購入を考えていた、②現在特にALSはじめ難病であるわけではなく、将来のことを考えて試してみたかった、③すでにかなり麻痺が進行しており車いすの操作が患者一人では難しい、などの理由が判明したため詳細な打合せに進めませんでした。残り６名のうち、現在のところ１名の方と成約に至り（昨年9月使用開始、本年１月使用終了）、さらに現在もう１名の方と実施のタイミング（本年6月頃）について最終調整中です。詳細打合せに入ったものの、これまでのところ成約に至らなかった４名については、いずれも住宅事情により今回のプロジェクトの対象器具であるペルモビール社製電動車いすが物理的な理由（重量、サイズ）により使用できないことが判明しました。なお、第一号となったAさんですが、昨年末以降急速に症状が進み、電動車いすに乗るための座位すら維持できなくなったとのご連絡をいただき本年１月末を持って活用を終了していただかざるを得なくなりました。限られた期間ではありましたが、Aさんには本件プロジェクトをご活用いただき、そして電動車いす活用のメリットや快適さなどをご報告いただき、Aさんご自身やご家族にとっても、また弊財団にとっても大変意義深い経験をさせていただく結果となりましたことをこの場をお借りしてご報告申し上げます。
弊財団として初めての試みとなる「電動車いすレンタル事業支援プロジェクト」ですが、今回の試みを通じて様々なことを学びつつあります。弊財団としては、今回の学びをもとにさらにプロジェクトを改善し、患者様やそのご家族にとって意義のある活用を実現すべく、継続的に続けてまいろうと思いを新たにしています。多くの学びの中からとりわけ以下について、今後対処策の検討を含め対応能力を高めていきたいと考えています。
- 潜在的なニーズは高い一方、電動車いすに対する理解不足が少なくない
- 患者様の症状や住宅事情など個別事情を十分に理解し、個別対応を一層心がける
- 本件プロジェクト後の電動車いす利用に関し、担当のケアマネさんらとの連携を深めていく必要がある
- 患者様によっては症状の進行が速いケースが少なくないため、手続きの簡素化ならびに迅速化を一層図る必要がある
- ALSの患者様のみならず、本件プロジェクトを通じて介護全般に対するひとつの対策として電動車いす活用を位置付けていく必要がある
- 患者様一人一人の事情に出来るだけ沿うよう努力する一方、家具居られた予算の中でより多くの患者様に電動車いすの良さを理解していただくためにある程度試用期間を限定（１～３か月）した運用を心がける
＜Aさんからのご報告＞
成約いただいた患者様には、原則として定期的に電動車いす活用のご様子を報告していただいています。第一号の患者様として、都内にお住いのA様には昨年９月からペルモビール社製M３という機種の電動車いすを活用いただくことになりました。Aさんは、２０２２年１２月にALSと診断され、以後闘病生活をしておられます。思いのほか麻痺の進行が早く、４歳のお嬢様と散歩に出かけたいという強い思いをお持ちでした。比較的お若い年齢でのALS発症であったことからなかなか各種制度の適用を受けられず中、本件プロジェクトのことを知りお申し込みをいただきました。以下、Aさんからのご報告を掲載します。
＜ここまでの収支報告＞
皆さまからご支援頂いた資金は、総額2,632,000円でした。そのうち、ReadyForへの手数料が405,328円、Aさんのレンタルフィーとしてペルモビール社に638,280円、交通費59,029円（車いすリフト付きレンタカー代33,700円、高速代8,580円、ガソリン代6,749円）に使用させて頂きました。
＜今後について＞
本件プロジェクトは現在も継続中です。自宅に引きこもりがちになってしまう患者さんを介助される方々の負担をできる限り軽減しつつ外に連れ出し、気分転換を図るのみならず、社会復帰や職場復帰の一助として電動車いすの良さを知っていただき、そして操作に慣れていただきたいという私たちの願いはこの一年を通じてますます強くなりました。この一年間に学んだ数々の教訓を活かしつつ継続して実施していきたいと考えています。
皆さまのますますのご支援、ご声援をお願いします。
