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今回は、演劇におけるポスター表現に強いこだわりを持っていた寺山修司氏の劇団「演劇実験室◎天井棧敷」について紹介いたします。寺山修司と天井棧敷に関するポスター展は、ポスターハリスのギャラリーでも何度か行っています。

 

2013年『寺山修司と天井棧敷◎ポスター展』(寺山修司記念館)フライヤー

 

1960年代に始まり、現在に至るまでの日本演劇の重要な流れのひとつが「小劇場演劇」です。寺山修司、唐十郎、鈴木忠志、佐藤信、串田和美らは、その第一世代として、それまでの主流であった新劇とは異なる、独自の表現や思想を模索した実験的な舞台を繰り広げました。現在でいうところのアングラ演劇です。これら60年代アングラ演劇のポスターは、他に類がないほど異彩を放っており、弊社編集の「ジャパン・アヴァンギャルド」でもこれらを取り上げました。

 

寺山修司率いる「演劇実験室◎天井棧敷」は、1967年に結成。寺山修司が中心となり、東由多加、横尾忠則、九條映子らによって立ち上げられました。

第一回公演「青森県のせむし男」では美輪明宏の起用や、「見世物の復権」を宣言したセンセーショナルな舞台で話題を呼び、その後も、時代意識を強く打ち出した「時代はサーカスの象に乗って」、街そのものを演劇化してしまう「市街劇」、現代思想を反映した「奴婢訓」「レミング」「百年の孤独」等々、スタイルをめまぐるしく変えながら、傑作を次々と発表しました。

 

横尾忠則、粟津潔、宇野亞喜良、金子國義、林静一、井上洋介、及川正通、榎本了壱、花輪和一、合田佐和子、戸田ツトムなど、多くのアーティストがそのポスターを手がけました。

 

天井棧敷のビジュアル表現の数々。

 

寺山は、まずポスター作りから演劇を始めたといいます。寺山自身がその話術をもって、自分の作ろうとしている実験的な芝居を徹底してデザイナーに伝え、個々のデザイナーは、それを各々の視覚言語に変換して、ポスターに定着させる。この時点では台本もできておらず、明らかにポスターは芝居全体の最初の一歩として、公演を先導する役割を担っていました。

また、説明や告知という宣伝媒体としての機能に留まらず、これらのポスター自体が「作品」として現在も輝きを放っています。

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