オストメイト女性に自信を。「第二のランジェリー」ストマカバー

 

 

はじめまして。松田久乃と申します。私は「慢性特発性偽性腸閉塞」という難病のため、4年前に手術をしてストマ（人工肛門）を造設しオストメイト（人工肛門や人工膀胱を造設した人）になりました。

 

腸管不全といって、腸の神経がなくなっていくもので、治療法も薬も現在まだありません。手術をする前はお腹がガスでパンパンに張って妊婦さんのようでした。本当は嫌でしたが、毎日苦しくて辛くてどうしようもなく、ガス減圧のためにオストメイトになる道を選びました。

 

 

 

ストマは、お腹に機械がついているわけではなく、手術をすることで自分の腸や尿管をお腹の外に出している状態になっています。ストマには筋肉がないので、排泄を自分の意思でコントロールすることはできません。そのため、便や尿を受け止めるためのストマパウチがストマの上につけられます。

 

このストマパウチは透明のビニール製のカバーであるため、ストマやストマパウチの中身が丸見えになってしまいます。そのため上からそれを隠すためのカバーをつけるわけですが、当然普通のファッショングッズとは違い、販売されているものの選択肢は多くありません。あくまで医療品のような扱いで、かわいいデザインから自分の好きなものを選ぶ、というのは難しい現状があります。

 

ストマであるために、排泄物が勝手に流れ出たり、ガスも出てしまったり。恥ずかしいと思うことがすごくたくさんあります。祖父が直腸癌でオストメイトであったこともあり、他の人よりもオストメイトを身近に感じてはいました。

 

しかしやはりストマを造設したことで周りの目が気になったり、生活する中でオストメイトへの理解が進んでいないと感じることも多く、「私にはもう恋愛も結婚も無理だ」と諦めていました。

 

 

しかし、患者会の活動や同じオストメイトの女性と交流する中で、同じように恋愛や結婚を諦めている方が多く、こんな状況を少しでも変えられないかと思うようになりました。オストメイトは決して汚くなんかない、オストメイトであることは恥ずかしくなんかない。オストメイトの女性が自信を持って、前を向けるようなアイテムがつくれたらと思い、ストマパウチ用のおしゃれでかわいいカバーを作ろうと思い立ちました。

 

オストメイトの方にとって使いやすいのはもちろん、いろんなデザインでファッションの一部として楽しめる、気分が上がるものにしたい。そのために、たくさんのオストメイトの方とつながって、アイデアや意見をいただきながら、多くの人のニーズに応えられるストマカバーの商品化を実現したい。また、このストマカバーづくりを通じて、より多くの方にオストメイトの存在やストマのことを知っていただくことができたらと思い、クラウドファンディングに挑戦することを決めました。

 

温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

病気のためにあまりごはんが食べられず、点滴を打っての生活ですが、ストマにしたことで仕事と食べることを完全に諦めずに済みました。現在は腸疾患・在宅点滴の方同士がが繋がる患者会を立ち上げ、代表として活動したり、女性オストメイトのための会「ブーケ会」にも入会し、同じ立場の方との交流が心の支えになっています。

 

オストメイトになってから、日常生活は大きく変わりました。自分では制御できない排泄やお腹のガスのために、街中で不安になったり、恥ずかしい思いをしたりということも多くあります。また、他のオストメイトの方とお話をしていても、心ない言葉を投げかけられた経験をされたことがある方も多く、あまりオストメイトの認知は進んでいないと感じます。

 

 

例えば、オストメイトはストマパウチの洗浄をするために多目的トイレを使う必要がありますが、「なんであなたが使ってるの？」と言われたことがありました。また、ストマだと脱水症状になりやすく、立っていられないくらいのめまいがしてしまうことも多いのですが、優先席に座っていると「優先席はお前のためにあるんじゃない！」と怒鳴られてしまったこともありました。

 

オストメイトのお子さんがいらっしゃるお母さんは、お店でレジに並んでいてお子さんを抱っこしようとした時に服がめくれ、そこで見えたストマパウチを見て後ろに並んでいた人から「汚い…」と言われてしまったことがあったそうです。ストマパウチが見えてしまうのでみんなの前でオムツ替えができないとお話されていました。

 

「パウチが見えてしまわないか」「臭わないか」「知られたらどんな風に思われるか」そんな不安を抱えながら生活しているオストメイトがたくさんいます。女性はなおさら、おしゃれをしたり、お出かけしたり、デートしたり…そんな当たり前のことに前向きになれなかったり、一歩踏み出せない方も多いです。

 

 

そんな時、ストマパウチを覆うおしゃれでかわいいストマカバーがあったら、そんなオストメイトの女性の背中を少しでも押すことができるのではないか。その日の気分と服に合わせて、ストマカバーでもおしゃれを楽しんで、前向きな気持ちになってもらえたら。そんな思いを込めて、ストマカバー製作に取りかかりました。

 

オストメイトが輪のように繋がることができたら、理解の輪を広めることができたらという思いを込めて、「Ring」というブランド名にしました。(公式ページはこちら）

 

 

 

 

 

 

カバー裏地はオーガニックコットン100%の生地を使い、お肌の弱い方にも安心して使っていただけるようにしたいと考えています。

 

 

私の中ではストマカバーは「第2のランジェリー」をコンセプトに製作したいと思っています。ストマであることを恥ずかしいと思ってほしくない。つけてお出かけするのが楽しみになるようなカバーをつくることで、オストメイトの方が少しでも前向きな気持ちになれるきっかけになればと思っています。このカバーを通じて、「それかわいいね」「綺麗だね」と周りの方にもオストメイトへの理解を深めていただけたら、本当に嬉しく思います。

 

 

 

 

このカバーやクラウドファンディングを通じて、まだまだ認知の低いストマ・オストメイトへの理解が広まり、ストマであることが恥ずかしいと思ったり、ストマであるために悲しい思いをしたりする方を少しでも減らし、おしゃれを楽しみ、自信を持って街へお出かけしていただけたらと思います。

 

 

また、今回は主に女性・お子さん向けのデザインで作る予定ですが、今後男性向けのデザインもつくっていきたいと考えています。また、臭いが気にならない素材を使ったり、中身の音を抑えるようなカバーなど、機能面でも改変を重ね、いろんなご要望にお応えできるものをつくり、たくさんの選択肢の中から選んでいただけるようにしていく予定です。

 

オストメイトの方の背中を押すことができるようなストマカバーを、これからたくさんの方と一緒につくり上げることができたらと思っています。ストマであることを、自信を持って周りに話すきっかけになったり、普段の生活を明るく快適なものにするのに、このストマカバーを役立てていただけたら本当に嬉しいです。温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。