EP16「愚者の夢はわがまま」

 

 

「愚者」はタロットカードのために描いた一枚で、

タイトルの通り「愚か者」「馬鹿」という意味ですが、

「冒険」「旅立ち」「チャレンジ」という意味もあります。

今の私の心を形にするならば、

この作品「愚者」がしっくりきます。

 

歌を始めてから私の毎日が一変しました。

歌に本気になって、より変わりました。

二兎を追う者は一兎をも得ずということわざがあるように、

歌を追うことで絵描きを得られなくなる。

そんなご意見を昔から私を知っている方々からいただきました。

当然のことです。私自身も悩みましたもん。

 

実際に現在、お仕事のための絵を描くことはあっても、

なかなかオリジナルの絵を描く時間が取れなくなりました。

現在は歌の方に比重を置いた形になっています。

ここが歌以前に比べて変わった点です。

 

こんなふうに私は思っているんです。

 

絵は年齢を重ねても描ける。

でも歌はどうでしょう。

自分の体を楽器にするわけですから、

体が老いた時には使えない楽器になることが考えられます。

歌うことはスポーツと同じ、

終止符をうつ時期が絵描きよりも早い。

 

また、こんなことも思っています。

 

実は私、絵を描くことはどちらかというと苦手なんです。

面倒だな、難しいなと思っているんです、けれど、

絵を描く表現は私にとって、とても大切なものです。

大切だからこそ、愛おしいからこそ、
距離を置く時間があっても良いんじゃないかと。

そんな時間にいます、今。

 

このプロジェクトを始めたことで、

「あなたには絵で花開いてほしい」という声と、

「歌で花開いてほしい」という声をいただきます。

ありがたい。ほんとうにありがたいです。

 

最近、よく私は思うのです。

器用貧乏の見本のような私の夢は

「あなたが笑顔でいてくれたら、それでいい」

そんな優しい人たちに支えらていることを
けして忘れてはいけない、と。

 

「愚者」の たわ言です。

 

 

りんご

 

 

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