BABYMETALと刺繍が響き合う、世界に一匹の蝶

 “世界に一匹”の蝶、もうすぐ完成です。**

前回お知らせした、船橋市の特産「小松菜」と「人参」をモチーフにした新作蝶の制作が進んでおります。

小松菜の上羽が仕上がり、現在は人参をイメージした下羽の制作中。

綿の刺繍糸よりもさらに細い糸を一本取りで使い、表だけを刺すと裏も同じように仕上がる独自の「両面立体刺繍技法」で、一針ずつ命を吹き込むように、刺しています。

人参は一色ではなく、断面の色合いや葉のグリーンも加え、小松菜との調和を大切に。

色の重なりや陰影にもこだわりながら、丁寧に刺し進めています。

刺繍を始めるとき、私がまず行うのは、BABYMETALの音楽を流すこと。

「ジャ、ジャーン」というあの力強い音で、心と手が一斉に動き出します。

音楽が鳴っている間は、まるで無の世界に入り込み、頭の中では「どのように刺そうか」「この色を重ねてみようか」と、構想が静かに広がっていきます。私の刺すリズムと、BABYMETALのビートがぴったりと重なり合い、左右対称の羽を同時進行で刺し進めていきます。

「ギミチョコ！！」「メギツネ」「イジメ、ダメ、ゼッタイ」が流れると、ふっと意識が現実に戻り、曲に合わせて座ったまま足を動かし、ちょっとした気分転換も。

今回の“小松菜と人参”をモチーフにした蝶も、そんなBABYMETALの音楽とともに、命を吹き込んでいます。

リウマチを抱えて30年。字を書くことも難しい日々の中、それでも針を持ち続け、自ら編み出した両面立体刺繍技法で、今日も一針ずつ作品を生み出しています。

通常の刺繍の何倍もの力が指や手首にかかりますが、それでも続けてこられたのは、刺繍が、私にとっての喜びだから。音楽を聴きながら、ふと思います。

「なんて面白い人生なんだろう」と。

刺繍ができる日々に、心から感謝しています。

完成の瞬間を、どうぞ楽しみにお待ちください。