どんなアニメーションを制作するのか？ 第一幕の修正

学生に知ってほしい痴漢の真実 : アニメーション制作プロジェクトで、アニメーションの制作を担当しているウゴモーションの小野です。

 

今回の新着情報では、クラウドファンディング開始後に支援者などからいただいた意見や要望をもとに、第一幕の修正を行ったので、それについて紹介したいと思います。

 

 

ナレーション第一幕 : 痴漢の定義（修正版）

1. どんな人にも、触れてはいけない身体の領域があります。
2. 家族でも、大人でも、同性でも、あなたが同意していないのに触れてくる場合には、はっきり拒否してください。
3. ところが、痴漢はあなたの意思に関係なく、偶然っぽく二度、三度、触ってきて、腰を押し付けてきたり、動かしたりします。
4. なので、私たちは痴漢から自分を守ることが必要です。
5. 社会には、痴漢の被害者に問題があるという人がいますが、それは残念ながら勘違いです。
6. 痴漢が100%悪いのであって、あなたは悪くありません。

 

 

修正内容の解説

 

上で紹介しているナレーション原稿で、文字背景が黄色になっているところが、加筆修正をした箇所になります。

 

1と2では、触れるのに同意が必要であるという表現から、同意していないのに触ってくる人には、はっきり拒否してくださいという表現に変えました。これは、痴漢にあう人の立場から今回のテーマを考えた時に、はっきり拒否することの重要性をもっと前面に出すことが重要だと判断したからです。

 

5と6では、痴漢被害にあう人は決して悪くない、という明確なメッセージを打ち出すことにしました。

 

これは、責任ある立場の大人の中には、痴漢被害者が悪いと言ってしまっている人がいることを踏まえています。責任ある立場の大人にしてほしいのは、痴漢被害者を守りケアすることであって、非難するときにその方向を間違わないでほしい、というチームからのメッセージです。
 

 

 

絵コンテ第一幕 : 痴漢の定義（修正版）

 

ここでは、修正したところだけ紹介することもできるのですが、それだと流れが理解しづらくなるので、第一幕（修正版）の絵コンテをすべて紹介することにします。

 

ちなみに、絵コンテの番号の背景が黄色になっているところが、ナレーションに合わせて修正した絵コンテになります。

 

 

 

絵コンテ S-01-01

 

アニメーションのオープニングになる予定です。

 

 

 

絵コンテ S-01-02

 

ナレーション : どんな人にも、触れては...

まず女子学生、次に男子学生が、歩きながら画面に入ってくる。

 

 

 

絵コンテ S-01-03

 

ナレーション : いけない身体の領域があります。

歩いているアニメーションの女子学生と男子学生の周囲を囲むように、領域が現れる。

 

 

 

絵コンテ S-01-04

 

ナレーション : 家族でも、大人でも、同性でも...

場面が変わり、3人の人物が画面の下から次々と現れる。

3人の人物は、今にも触りたそうに両手をずっと動かしている。

 

 

 

絵コンテ S-01-05

 

ナレーション : あなたが同意していない...

場面が変わり、中央にいる男子学生と女子学生が、「同意しません」というプラカードを出してアピールする。

 

 

 

絵コンテ S-01-06

 

画面全体がいくらか下へ動いて、S-01-04に登場した3人の両手が、画面の上側の縁をつかむ。そして、画面全体を下へ引きずり下ろす。

 

 

 

絵コンテ S-01-07

 

ナレーション : のに...

画面を下へ引きずり下ろして、3人の触りたくてしかたがない人物が、再び姿を現す。

 

 

 

絵コンテ S-01-08

 

ナレーション : 触れてくる場合には...

3人が不気味に手を動かしながら、画面の手前へ近づいてくる。

 

 

 

絵コンテ S-01-09

 

ナレーション : はっきり拒否...

画面中央に巨大な吹き出しが現れて、拒否のテキストが現れる。

 

 

 

絵コンテ S-01-10

 

ナレーション : してください。

拒否の吹き出しが小さくなり、画面の左右に男子学生と女子学生が現れて、バツ・マークを作る。

 

 

 

絵コンテ S-01-11

 

電車が画面に入ってきて、場面転換します。

 

 

 

絵コンテ S-01-12

 

電車の中は満員で、女子学生が立っています。

 

 

 

絵コンテ S-01-13

 

ナレーション : ところが、痴漢は...

女子学生の姿が、領域のシルエットに変わります。

 

 

 

絵コンテ S-01-14

 

ナレーション : あなたの意思に関係なく...

画面の周囲から痴漢の手が、複数伸びてくる。

 

 

 

絵コンテ S-01-15

 

ナレーション : 偶然っぽく、二度、三度、触ってきて...

痴漢の手が、女子学生の領域の中に入ってきて、手を動かし始める。

 

 

 

絵コンテ S-01-16

 

ナレーション : 腰を押し付けてきたり...

痴漢の手が消えて、女子学生の領域の背後に1人の男性が現れて、腰を押し付ける。

 

 

 

絵コンテ S-01-17

 

ナレーション : 動かしたりします。

 

 

 

絵コンテ S-01-18

 

画面が近づき、女子学生が正面を向く。

 

 

 

絵コンテ S-01-19

 

 

ナレーション : なので...

背景に、痴漢の無数の手が現れて、不気味に動きつづける。

痴漢の無数の手は、S-01-28までずっと続く。

 

 

 

絵コンテ S-01-20

 

光線が女子学生に落ちてきて、脳内で弾ける。

 

 

 

絵コンテ S-01-21

 

ナレーション : 私たちは...
女子学生の頭部から、無数の光線が発せられる。

 

 

 

絵コンテ S-01-22

 

カメラが引いて、女子学生の全身が画面に入る。

 

 

 

絵コンテ S-01-23

 

盾と剣が現れて、女子学生がつかむ。
絵コンテでは盾と剣がシルエットになっているが、盾と剣はグラフィクのまま。

 

 

 

絵コンテ S-01-24

 

 

ナレーション : 痴漢から...

ここでは、女子学生が詳しく描かれているが、場面転換があるまで女子学生は領域のシルエット。

 

 

 

絵コンテ S-01-25

 

ナレーション : 自分を守ることが...

 

 

 

絵コンテ S-01-26

 

女子学生がジャンプして、剣をまっすぐ振り下ろす。

 

 

 

絵コンテ S-01-27

 

 

振り下ろされた剣に合わせて、稲妻が走る。

絵コンテでは描いていないけれど、稲妻の背後には女子学生の姿がある。

 

 

 

絵コンテ S-01-28

 

ナレーション : 必要です！
稲妻が左右にどんどん広がっていき、場面転換が起こる。

 

 

 

絵コンテ S-01-29

 

稲妻の光が左右へ広がっていき、満員電車内の光景が現れる。

 

 

 

絵コンテ S-01-30

 

女子学生が、普通に満員電車内に立っている。
絵コンテが修正になったので、イラスト内の矢印は無視する。

 

 

 

絵コンテ S-01-31

 

ナレーション : 社会には...

場面が変わり、画面の下から複数のビルのシルエットが現れて、続いて、3人の人物が現れる。

 

 

 

絵コンテ S-01-32

 

ナレーション : 痴漢の被害者に問題がある...

画面がY軸方向にいくらか回転して、女子学生が画面の右側から歩いてくる。

女子学生は泣きながら震えていて、3人の人物が怒っているみたいに女子学生を指差す。

 

 

 

絵コンテ S-01-33

 

ナレーション : という人がいますが、それは

画面の右側から、1人の痴漢が歩いてきて、女子学生に触ろうとする。

3人の人物がそれに気づいて、驚く。

 

 

 

絵コンテ S-01-34

 

ナレーション : 残念ながら勘違いです。

痴漢が、女子学生を触りはじめる。

3人の人物が指していた手を上へ向けて、あれこれ考えはじめる。

 

 

 

絵コンテ S-01-35

 

ナレーション : 痴漢が100%悪いのであって...

女子学生が泣きながら、画面の左側へ走り去る。

痴漢が追いかけようとした瞬間、3人の人物が力強く痴漢を指差して、100%の吹き出しが出る。

 

 

 

絵コンテ S-01-36

 

ナレーション : あなたは悪くありません。

泣いている女子学生に、母親が肩に手を置いて、タオルを差し出す。

このイラストでは、父親の両手が母親と女子学生に触れているけれど、アニメーションでは、触れないようにして守っている感じにする。

 

 

 

絵コンテ S-01-37

 

場面が変わり、電車が左から右へ走っている。

 

 

 

絵コンテ S-01-38

 

後方の車両が画面に入ってきて、第二幕へ展開する。

 

 

 

以上が「学生に知ってほしい痴漢の真実」アニメーションの第一幕（修正版）の絵コンテとなります。

 

第一幕の絵コンテの修正に関しては、チーム内でも意見が紛糾しました。

 

なにを描くべきで、なにを描かざるべきか？

どこからどこまでを描くか？

内容に対して、どんな表現がふさわしいのか？

コンセプトに対して、内容や表現が合っているのか？

 

ナレーションや絵コンテを読んでくれた人の中には、それでは内容が不十分なのではないかとか、表現がおかしいなどの考えを持つこともあるかもしれません。

 

そんな時は、ぜひ次のように考えてみてください。

 

このナレーション原稿や絵コンテを考えたチームの人たちは、議論に議論を重ねてこれを準備したのであり、すべての文章や言葉、イラストや構図には、必ずそれがふさわしいだけの理由があると。

 

第二幕と第四幕については、議論の結果、ほとんど修正点はありませんでした。

 

クラウドファンディングの最終週となる次の木曜日には、第三幕の修正点について紹介したいと思います。

 

私たちは「学生に知ってほしい痴漢の真実 : アニメーション制作プロジェクト」を、1人でも多くの支援者とともに成功させたいと考えています！

ですので、1人でも多くの人への紹介、さらなる支援、よろしくお願いします。

 

 

 

2020.11.12 ウゴモーション : 小野 直人

 

 

 

アニメーションの制作についての他ページ

 

● どんなアニメーションを制作するのか？  ナレーション編

 

● どんなアニメーションを制作するのか？ 絵コンテ第一幕

 

● どんなアニメーションを制作するのか？ 絵コンテ第二幕

 

● どんなアニメーションを制作するのか？ 絵コンテ第三幕

 

● どんなアニメーションを制作するのか？ 絵コンテ第四幕