もふもふのチカラ

ロボットペットなどまで出てくる昨今、それでも表面の素材はツルッとしているより肌触りのいい毛があるかのようなスムーズな触り心地のものが好まれるようです。子ども達が抱きかかえるぬいぐるみをみても、柔らかくてあたたかみのある感触は人に安心感を与え、愛情が湧きやすいようです。

ごく限られた犬種を除き、犬には短毛長毛の違いはあれど毛が生えていることが多いです。今日はそんな毛の話。

某番組で保護された犬のシャンプートリミングを某タレントさんが上手にやっていらっしゃいますが、レーベンでは現場から直接犬が来る場合に、そういった場面に対応しています。それはそれは快適ではない状態だから、なるべく早く衛生的に楽にしてあげたい。裏を返せば、不衛生な状態で長く置いておくわけがない。だからレーベンにはあまりトリミングに呼ぶ犬はいない笑

身体に直接、自分より高い位置から知り合いじゃない人間の手が触れるということは、警戒心が特別強くなくても不安なことでしょう。捕獲で突然触られたり、虐待や不適切なお世話で人の手がそもそもかなり怖い犬もいる。武器をもたない動物がそれに対してどう反応するかといえば、うなる、吠える、噛みつこうとする、ということは容易に想像してもらえると思います。でもそんな抵抗をする元気や素を出せる余裕のない犬が多い印象もあります。

だからまず、近寄って触ってもよろしいでしょうか?多分綺麗にされた方があなたにとって良いと思うんですよ、いやそんな人間の理屈わけわからんですよね。そりゃそうです。でーもーねー、という具合にあまり目を覗き込まず、犬のペースや距離の取り方に配慮しながらお伺いを立てる。のが普通なのですが。

全く置き物のように無反応でされるがままとか、助けてと言わんばかりに身を預けてくる犬もいる。それはそれである意味おかしなレベルということで心が痛みます。でも手早くしないと体力に負担がかかる。

お湯や風、触れるタオルや器具などの感触や音に気をつけて、無理をし過ぎずシャンプーやトリミングをします。絡んだ毛や皮膚病で不快な全身、いったいいつからこんな状態に耐えてきたのか、足裏の毛が伸びたり爪が肉球に当たっていたりで危ないこともある。ブラシなんてかけられたことがないとか、目が塞がって前が見えないとか、そもそも状態の確認すらされていないとか。病院の健康診断に最低限行けるレベルくらいにはしないと。

落ち着いてきた前後で移動中の空腹や渇きを解消するように飲食、それも怖がって見てないところで食べたい事もある。ノミダニなどが寄生していて、もう少し綺麗にしないと他の犬と一緒には過ごせない事も。多数を同時に保護すれば、この作業が10時間とか、ノンストップで続いたりもします。現場対応が多い団体さんへの感謝の気持ちです。（そこを経由してからレーベンに飛行機で来る子もいる。それはそれで乗り物酔いとかビビり排泄を清めるためにシャンプーもしますが）

毛刈りで素肌を確認しなければいけない子もいますが、水に濡らす事も含めてボディラインがあらわになると、こんなに痩せてたのか、傷が多いのか、と驚く事も多いです。毛があるとお薬が届きにくい事もある。

息遣いや心拍が近くで触れる事でよりわかり、もう大丈夫だよ、これから元気になっていこうね、とどうしても話しかけてしまう。こちらの手のぬくもり、意味はわからなくても話しかけられ、笑顔を向けられる事で感じるものがある。手当て、という言葉があるように、直接肌と肌がふれあうことの効果は確実にあると感じています。

長毛の種類とか、季節の換毛期の生え変わりとは別に、伸び続ける犬種もいます。迎える犬を選ぶときは、そのお世話の手間や時間、費用も自分のライフスタイルに合うか、考える必要がありますね。

初日のあの様子を越えて、今レーベンで暮らすあの子もこの子ものんびり。みんな私達が想像もできないほどの辛い思いをしてきたはず。環境が悪過ぎてその後も毛が生えてこない、といった子もいました。今は少し生えてきてるとか！愛がお医者さまの見立てを超えた奇跡です。

そして、食べる物が変わると毛艶や肌の状態がとても変わる。口に入る物で身体はできているんだ、と当たり前のことを再確認します。