現場からのレポート 現場の風景 その1

皆さまこんにちは。カイロの発掘現場にいる黒河内です。

このレポートでは何枚かの写真を使って、皆さまに実際に現場を訪れたような気分を味わっていただきたいと思います。今回は「その1」、では早速参りましょう。ここはカイロ郊外にある、エジプトで最も有名な遺跡の一つ、ギザのピラミッド地区です。

 

現場の全景

 この写真は発掘現場の全体を少し離れたところから撮影したものです。左側にある石の壁のように見えるのが、クフ王のピラミッドです。太陽の船の現場は本当に、クフ王ピラミッドの真下にあります。

 

現場の入り口に立つ看板

 現場の入り口に立つ看板です。「workers only、関係者以外立ち入り禁止」ですが、皆さまには中に入っていただきましょう。

 

現場にそびえる、かまぼこのような形をした「大テント」

 皆さまをまず最初にご案内するのは、長さ40メートル、幅20メートル、高さ10メートルの大きなテント倉庫です。私たちはこれを「大テント」と呼んでいます。船の部材が収納されているピットを、強い日差しや砂を巻き上げる風から保護するための建物です。建ててから8年がたちますが、びくともしていません。外務省から援助をいただいて購入し、エジプトに輸入した日本製のテント倉庫です(太陽工業株式会社製)。

 実はこの「大テント」、これほど大きい建物にもかかわらず、岩盤の上にただ置かれているだけで、跡形もなく撤去できるようになっています。ピラミッドは周りの建物と一体になってはじめて意味をなすもので、岩盤といえどもそれは4500年前の人々が整地したピラミッドの一部。そこに穴を掘ってコンクリートの基礎を流し込むなんて、到底許されないのです。

 

ピットを覆う「小テント」の内部
船の部材を乾燥から守る加湿機と空調機

 その「大テント」を入ると、その中に二つの建物が入れ子状に建っているのが見えます。一つは私たちが「小テント」と呼んでいるもので、ピットの上を覆う建物です。

 ピットの中は実はとても湿っていて、湿度は日本の梅雨時の平均湿度よりはるかに高い85%もあります。ここに乾燥した砂漠の空気が入ると、中にある船の部材が急激な環境変化で傷んでしまいます。

 そこで私たちはこの「小テント」を作り、発掘の作業中は中を加湿した空気で満たして、部材を守ろうと考えたのです。空調機はこれも日本製を輸入しました。砂まみれになりながらも8年間、故障一つなく動いているのは驚きです(木村工機株式会社製)。

ピットの中の様子

 これがピットの中の様子です。もともとは1枚平均約10トン前後の蓋石が40枚ほど並び、ピットを封印していました。私たちはそれを取り上げ、このようにピットを開封したのです。ピットの中には分解された船の部材が収められていました。その総数は、第1の船の場合と同じであれば、約1200点と思われます。

 

~この続きは来月にご紹介します~

 

NPO法人太陽の船復原研究所・東日本国際大学客員教授

黒河内宏昌

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