首都圏電車区で3701号車を保存する意味 〜戦後・首都圏の通勤電車の発展・進歩を後世に伝える場へ〜

この度、3701号車（京王3000系・北陸鉄道浅野川線8811号）の首都圏への帰還と保存を目指すクラウドファンディングは、開始から2週間が経過しました。
おかげさまで、223万円を超えるご支援を全国の皆様からいただいております。心より御礼申し上げます。
もうすぐご支援者様が100名突破目前ですので、引き続きのご支援お願いします。

昨日、本プロジェクトにおいて、車両を保存する場所である、「首都圏電車区」(茨城県土浦市)について紹介させていただきました。

首都圏の通勤電車の発展・進歩を後世に伝える場を作りたい

首都圏電車区は、私設の鉄道車両保管・修復・展示スペースとして2023年に開設されました。

現在、首都圏電車区には、すでに以下の車両が搬入・留置されています。

日本の高性能電車（新性能電車）時代の先駆けとなった代表的車両。
MM’方式2両ユニット構造(電車を動かすために必要な電気機器を2両に分けて搭載する構造)を持つ初めての量産通勤型電車。
2両ユニットで残る最後の現存ユニット。(2211号はポッポの丘で公開展示中。)

銀座線・丸ノ内線で活躍し、戦後の首都圏の地下鉄網の発展を支えた車両。
日本の通勤電車における「両開き扉(停車時に両側に開くドア)」の黎明期の車両。

「オレンジ色の銀座線」として鉄道路線に残った最後の車両。

どちらの車両も鋼鉄製(車体が鉄でできた車両)の塗装車両(車体を塗装している車両)です。

そうした中で今回のプロジェクトで、京王3000系車両は、日本の黎明期におけるオールステンレス通勤車・無塗装車両であり、デザイン・素材といった概念を通勤電車に持ち込んだ貴重な車両です。
そして、3701号車(8811号)はその製造第1号車に他なりません。

つまり、3701号車(8811号)の保存が実現すれば、昭和30年代の首都圏の通勤電車3形式が、ここ首都圏電車区に集結することとなります。

これらの車両が築いてきた軌跡を経て、現在の首都圏の通勤電車は
「18〜20m級車体、3〜4扉、ステンレス・アルミ車体、両開扉」

という構造が確立されていきました。

その歴史的進化を、体系的に展示・体感できる場所は、東京・首都圏はおろか、日本国内でも他に例がありません。

首都圏電車区が後世に残す価値とは

今回3701号車(8811号)の保存が実現すれば、首都圏電車区は、戦後復興期から昭和30年代にかけての鉄道の歴史や技術的な進歩・挑戦を、体系的に継承・展示できる拠点として、本格的に機能しはじめます。

それは「趣味的な保存活動」ではなく、都市交通史・社会史・技術史を後世に伝える拠点づくりの第一歩であると、私たちは確信しています。

これまで私たちは荒地だった場所から必死の思いで、1両でも多くの貴重な電車を救い、後世に残そうと、首都圏電車区の整備を進めて参りました。
3701号車(8811号)を受け入れるための準備も着々と進んでいるのですが、クラウドファンディングが成立しなければ、せっかくここまで準備したにも関わらず、プロジェクトを前に進めることはできない現実があります…

どうか引き続き、ご支援者様100名突破を目前にした今こそ、皆さまのお力添えとご支援をお願いします。