物語から夢を描く！ラオスの子どもたちにストーリーキャラバンを

　今、息子は６歳になっていますが、４歳の時、上野の国立科学博物館で、恐竜の展示を見ました。その迫力に、「今も恐竜いるの？」としばらく不安の日々を送ったようですが、それから恐竜に興味を持ち始めました。

　それまでは、私自身も、恐竜と怪獣の区別がつかないレベルでしたが、その頃、たまたま息子に読んでやった「勇者のツノ（化石が語るトリケラトプスの話）」（作：黒川みつひろ　こぐま社）という恐竜の親子のことを描いた絵本から、恐竜に親しみを感じるようになりました。（その絵本はその後、ラオス語にも訳し、関わる図書館に入れています。）そして、日本で購入した恐竜の図鑑を繰り返し読まされ、息子とともに、少しだけ詳しくなってきました。

 

 「勇者のツノ」　ラオス語の翻訳を貼って図書館にも入れた。

 

　トリケラトプスがいたのは、今から、6500万年前・・・想像もつかないほどの時間が経っているのです。でも、私たちが今いるこの地球に、うんと昔、恐竜が生きていて、ズシンズシンと闊歩していた・・・・・・そんなことを想像するのは、とても面白いことでした。息子も、少しずつ、今恐竜は生きていないけれど、化石となった骨が残っていることなど・・・をなんとなく理解するようになっています。

　日本の子供達は、博物館の展示や、本を通して、いろいろなことを知るチャンスがあり、興味を広げていくことができる・・・けれど、ラオスの子どもたちは、なかなかそういうチャンスがない・・・と改めて感じました。ラオスにも恐竜の化石が出たサバナケート県には、「恐竜博物館」があります。でも、なかなか普通の子どもたちには行くチャンスがないし、やはり、いろいろなメディアを通しても、子どもの知的興味を促すものは少ないのが現状です。

 

　今年の初め、ラオスにいた日本人の友人が、子どもたちの等身大の絵を描く指導をしてくれました。私たちの図書館でも、子どもたちが自分の等身大を描きました。普段、大きな絵を描くチャンスがなく、絵本の挿絵の真似なんかが多い子どもたちですが、その時は、他の人に型を取ってもらった自分の等身大に、みんな真剣に向き合い、他の人の目を気にすることもなく、自分自身を描いたのでした。子どもたちにとっても、自分を描くということは、初めての経験だったと思うのです。

　

 

　この等身大は、自分を見つめる作業でしたが・・・地球の等身大も描けたら面白い・・・「恐竜の等身大を描いたらどんなだろう？」と思いついて、その友人と、冗談半分に話をしました。トリケラトプスだったら、６メートル？・・・紙を何枚つなげればいいでしょう？　もっと大きな恐竜だったら、30メートルになるものもいます。そんなことをやろうとするのは、バカみたいかな？　と思う反面、実際にやったら、きっと子どもたちは、そんなに大きな恐竜が、この地球に住んでいた！ということを、驚きを持って実感できるに違いありません。動く博物館！　面白いよ、きっと！

 

　そんなことを話していたら、友人が、いろいろと調べ始めました。日本の博物館の方々からも情報をいただき、ラオスでも、また新たな恐竜の化石が出ている・・・ということもわかってきました。

 

　トリケラトプスより、さらに約4000年も前、今から約１億年前の白亜紀前期、ラオスに生きていたという、スピノサウルスの仲間のイクチオヴェナトルという恐竜の骨の化石が、ラオスで発掘されたのだそうです。

　なんだか、どんどんワクワクしてくるじゃないですか！

 

　これはスピノサウルス　「小学館の図鑑　NEO 恐竜」より

　　（ラオスで発見されたイクチオヴェナトルではありません）

 

 

「君たちが住んでいるこのラオスに、こんな恐竜がいたんだよ。恐竜のお父さんもお母さんも子どもたちも・・・恐竜の家族が暮らしていたんだよ。それは、こーんなに前で、その頃は人間はいなくて・・・・」

　というような話を、いろんな科学絵本と合わせて、「ストーリーキャラバン」のお話の中でも、取り上げていきたいと思っています。

　子どもたちに、地球の大きさ、そして、この地球がたどってきた時間の長さ・・・・そんな地球の不思議さ、そして・・・・宇宙への広がり・・・そして、身近な世界の不思議・・・・いろいろなことを知ることの面白さを少しでも感じてほしいし、興味を広げてほしいと願うのです。