★コラム⑤★キセキ　母

 

我が子の夢や、幸せを願わない親はいないと思います。

 

私は息子の絵や願いなどは理解しようとせず、叶うはずのない夢は諦めて、現実をみて仕事を探して生きていくよう、説得し続けてきました。

息子がこれまで過ごしてきた日々は、楽しい思い出よりも、辛いことのほうが多い人生だったのかもしれません。それでも息子は、いつも楽しそうに絵を描き続けてきました。

それは絵を描くことが、自分の気持ちを伝えられる唯一の方法、そして、息子が穏やかに過ごせる世界だからなのでしょうか。

 

story catさんとの出会いを通して、息子の思いは一気に溢れました。

今までのこと、これからのこと、そして夢や希望…。

伝えることが苦手な息子の口から、たくさんの思いが届きました。

 

そのとき私は「障がいがあるから、なんでも諦めさせようとするのではなく、誰もが夢を持ち、その夢に向かって挑戦する道があってもいいんだ」と思えたのです。

そして「ひとりでも多くの人に自分の絵を見てほしい」という息子の夢を、一緒に追いかけてみようと思いました。

 

 

障がいがあると、まわりの目が気になってしまったり、心配事や悩みが増えてしまいがちです。でも「誰もが同じく、人生を楽しんで良いんだ」「その人がその人らしく生きられる場所があって良いんだ」と、今になってそう思います。

長い時間がかかりましたが、ようやく息子の思いや願いを理解でき、一緒に前へと進んでいます。

 

親であれば、我が子が幸せであることを願う気持ちは、誰でも一緒です。

「その時が良ければいい」という考えに縛られずに、息子と接する事ができていたら、もっと楽しい思い出を残してあげられたような気がします。

ですが今、息子の願いが叶い、こうして活動させていただいていることを、夢のように思います。

 

 

それ同時に、私たち家族は、たくさんの皆さんに支えられここまで来れたのだと、今回の活動を通じて改めて感じています。

これからは、息子が自分らしく生きられる場所で、自分の思い描く未来を築き、楽しい人生が送れることを願うばかりです。

今まで支えてくださった皆さんに、感謝の思いを込めて絵を描いていく息子を、私と一緒に応援していただけると心強く、嬉しく思います。

 

 

【おわり】