膵がん腹膜転移に対する新しい治療法の挑戦へ;終了報告
新年明けましておめでとうございます。
本プロジェクト“膵がん腹膜転移の患者さんに希望の光を。新しい治療法の挑戦へ”へのご理解ならびに多大なるご支援に心より感謝申し上げます。
ご寄附いただきました皆さま、情報拡散にご協力いただきました報道関係者の皆さま、ならびに本プロジェクト遂行にご協力いただきました皆さまに心より御礼申し上げます。
6月10日にプロジェクトを開始し、3か月の期間に本当に多くの皆さまから応援ならびにご支援を頂戴いたしまして、最終的に3,539万3千円の資金を頂戴いたしましたことに改めまして感謝申し上げます。
一人の医師が目指すには、とても大きな目標ですので、3ヶ月という短い期間でご寄附いただくことができるのか、開始前はとても不安でしたが、開始当初より更新するたびに増える皆さまがたからのご支援と心に響く応援コメントに大きく勇気をいただきました。
いただいた応援コメントを拝見しておりますと、ご家族やご友人が膵がんの患者さんで大変苦労されていたり、悲しまれた経験をお持ちの方や、他臓器がんを克服された方など、本当に様々な方がこの治療法の遂行へ期待を寄せていただいているのがわかり、気持ちが引き締まります。
膵がんの早期発見方法の研究は世界中で行われており、少しずつ新しい知見が生まれてきています。一方で腹膜転移の診断と治療に関する研究は活発とはいいがたく、腹膜転移が診断されますと治療をあきらめる傾向にありました。
多くの癌腫のなかで、20年前とあまり成績が変わっていないのは膵がんくらいで、21世紀に残された大いなる課題であります。しかしながら、ここ5-10年間で膵癌治療にも“治療成績の改善”という大きな変化が起こっています。一度変化が起こると相乗効果的にいい方向に進むことがあります。本プロジェクトもその一端を担えるようになることを願っています。標準治療が確立されていない膵がん腹膜転移患者さんにも治療法の選択が得られるようになること、患者さんとそのご家族やご友人の皆さまに希望という明るい光を照らせるようになることを切望しております。
本治療法を保険適用にするには、これから約3年間をかけて全国から180名の患者さんの臨床試験への登録を行い、その後、観察期間として1年半、公表までおよそ半年の期間を要するため、総行程5年間ほどの長い年月がかかります。
皆さまからご寄附いただきました3,539万3千円は、5年間の臨床試験に耐え得る総工程のデータ管理・維持・解析、論文作成、広報活動ならびに膵がん腹膜転移治療研究会開催にかかる費用に加えて、本試験を速やかに遂行するための人件費などに使用させていただきます。
現在、本臨床試験の試験計画書の修正ならびに先進医療会議への再申請が終了し、協力各施設における臨床試験の承認を待っているところでございます。試験開始は2月前後をめどに準備しております。
膵がんを完全克服するにはまだまだ時間がかかりますが、ひとりでも多くの患者さんやその周囲の皆様が苦しみや悲しみから解放されるような治療を提供していきたいと考えています。
最後になりますが、本プロジェクトに関わってくださった全ての方に心から感謝を申し上げます。このような機会をお与えいただき、支援者の皆さまとご縁を頂戴いたしましたことに深く御礼申し上げます。ありがとうございました。
2020年 1月1日 関西医科大学 外科学講座 胆膵外科 里井壯平