秘仏「千手観世音菩薩様」劣化の危機！修繕にご支援を《愛媛・出石寺》

 

 

 

 

ページをご覧いただきありがとうございます。出石寺住職の神山諦典です。出石寺（しゅっせきじ）は、愛媛県出石山の山頂812mに本堂が建っているお寺です。境内からは大洲盆地を見渡すことができ、初日の出や雲海を見ることもできます。

 

四国別格二十霊場の第七番札所であり、遠方から巡礼でお越しになる方々もいらっしゃるお寺です。

 

 

地域の方々には「おいづしさん」と親しまれ、お正月やお盆などの節目や、厄除けや願掛けなどの折にお越しいただいております。また、紫陽花やつつじなど、四季折々の境内の景色を楽しみに「ちょっと時間があいたから…」といらっしゃる方もおられます。最近では地域の方とともに、演奏会などを開催する試みもおこなっています。

 

 

 

 

出石寺の歴史は古く、今から約1300年前の元正天皇の御代養老2年（718）6月17日、道教法師の開基であったとされています。

 

略縁起によれば、猟師の作右ヱ門（のちの道教法師）が、一匹の鹿を追って山に入り山頂に近づいた時、見失った鹿のいたあたりの岩石が裂けて、千手観音と地蔵菩薩の尊像が大地から湧き出るのに遭遇しました。作右ヱ門は、殺生を業とする生活を懺悔し妻子に別れ仏門に入り、終生この「ハエヌケ」の御仏に仕えたとされています。

 

 

「ハエヌケ」の千手観世音菩薩様、つまり出石寺の御本尊は、弘法大師の御手により秘仏とされました。『末世不信の輩、邪見謗法の者ありて、冥罰を被らん事を恐る』、つまり直視を必ずしも良しとはされなかったということです。湧出時に一緒に現れたという地蔵菩薩様は、観音様の胎内仏となっておられます。

 

昭和17年の昭和の大火の際は、地域の方が御本尊を担いで山を降りられたという記録も残っており、地域の方々と共に大切にお守りしてきた御本尊です。

 

現在、御本尊の御開帳は年に数度、縁起の奉読、読経と共におこなっています。

 

 

 

 

そんな御本尊ですが、実は現在、経年変化により傷みが大変激しい状況です。通常は厨子の中にいらっしゃるため、皆様のお目にかかる機会は少なく、このような状況であることをご存知ない方も多いことと思います。

 

しかし実際は写真のように、全体的に経年変化が目立つ状況であり、特に頭部の一部が青く変色しているほか、手首の一部が欠け落ちてしまっている状態です。

 

これまでの修繕の記録は残っておらず、最後の修繕は古ければ鎌倉時代、あるいは創建当初から一度も修繕されていない可能性もあります。少なくとも、昭和の大火後80年以上は修繕されていないことは確実です。

 

室内保管であること、また山頂という立地ゆえ気温が低いことから、これまで比較的綺麗なお姿を保ってこられましたが、いよいよ今すぐにでも修繕が必要な状態になっています。

 

 

本尊を修繕するとなると、当然ながら専門の職人さんにご依頼することになります。今回は、以前よりお世話になっております京都府内の職人さんにお預けする予定で、傷みの状況からみて、解体修理という形で、それなりに大掛かりな修繕が必要であることも分かってきました。

 

また、京都の工房までお運びし、また本山までお連れするという一連の運搬作業にも、それなりの費用がかかって参ります。これらと諸経費を合わせますと、少なくとも1000万円ほどの費用がかかる見込みです。

 

 

 

出石寺では、2014〜2017年頃にも、皆様にお寺の修繕費用を募らせていただいたことがありました。結果的に多くのご支援が集まり、お手洗いや台所等の設備面の修繕や、大屋根の一部修繕をおこなうことができました。改めて御礼申し上げます。

 

今回、再度皆様からのご支援を賜る形にはなりますが、千手観世音菩薩様を美しい姿に蘇らせるため、こうしてお願いをすることとなりました。

 

お寺を訪れる方の数は以前から徐々に減っておりましたが、コロナ禍を機に一気に減少が進みました。コロナ禍以前は、巡礼ツアーで30〜60人規模の団体様がいらっしゃっていましたが、最近はほとんどいらっしゃらず、収益はコロナ禍以前と比較すると約3割減という状況です。

 

お寺に来るべき人が少ないことは「平和」ということなので喜ばしいことでもありますが、お寺を維持するという意味ではやはり苦しく、皆様のご支援を賜る次第でございます。

 

 

 

 

今回のクラウドファンディングは、当山としては初の試みとなります。こうしてプロジェクトページにまとめることが、お寺としても現状を整理するよい機会となりました。今まで関わりがあった方々にも、改めてお寺のこれまでのことや現状を知っていただけたら幸いです。

 

クラウドファンディングというインターネットの仕組みを通じて、若い方々や、お寺のことをまだご存知のない方とのご縁をつなぐきっかけにもなれば、と考えております。

 

千手観世音菩薩様を美しい姿に蘇らせるため、どうか皆様からのご支援をよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

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