幻のグラフ雑誌『大陸画刊』を日本語訳とともに後世に残したい！

「以大陸爲舞臺背景之日本電影 / 大陸を舞台とした日本映画」の記事です。最も大きい写真は『李香蘭』こと山口淑子。

当時、多くの人々から中国人スターと信じられていました。「大東亜共栄」を体現するような存在であったと言えます。彼女は終戦を上海で迎えたのですが、中国人として祖国を裏切った文化漢奸（売国奴）の容疑で中華民国政府に逮捕されてしまいます。しかし、裁判のなかで中国人ではなく日本人であることが証明され、無罪となり日本へ帰国しました。

日本語訳は以下のとおりです。『大陸画刊』でも李香蘭の国籍が明確にされていないことが分かります。

～～～～ 【翻訳】～～～～ ～～～～ ～～～～

第一巻第一号（昭和十五年十一月十日　発行）

大陸を舞台とした日本映画

▼（中國）支那の夜（東宝映画）（上）
上海と蘇州を中心とする日本人青年船員とある中国の純情な娘との恋物語である。敵（中国軍隊）から中国人女性を救った日本人青年船員は、自分の恋人を置いてこの中国人女性の抗日の誤謬思想を改めようと努力していた。その中国人女性が日本の精神を了解してから、二人は両国の礎石になろうと決意して中日協力の旗印の下で、二世を契って新しい生活へ出発した。（日本人船員・長谷川一夫、中国人女性・李香蘭）

▼（李香）李香蘭（満映俳優）
日本で人気を博した李香蘭は、中国語、日本語とロシア語が流暢に話せるそうで、日本で数多くの映画に出演し、レコードに吹き込んでいる。特に東宝映画に製作された「白蘭の歌」と最近の「支那の夜」の二つの映画は、大好評を博した。

▼（山根）山根寿子（東宝俳優）（左）
「白蘭の歌」で満洲女性を演じて活躍している東宝俳優。

▼（亞細）亜細亜の娘（新興電影公司）（右）
この映画では、重慶政府の粗悪さと中国内部の崩壊を隠さずに暴露し、大亜細亜主義の勝利を示した。新興の俳優の逢初夢子は、この映画で中国人女性の素琴役を演じた。