義経＝成吉思汗、同一人物説について（その９）

『義経＝成吉思汗、同一人物説のロマンと真相を追って』について

（その９）

＝＝　源義経の人間性、人物像について（続きの２）＝＝

 

義経の性格や人物について、源頼朝の重臣である大江広元が書いた『扶桑見聞私記』（別名　大江広元日記）に、「その才能や知力、剣術また勇気や洞察力、リーダー性や人間性などこの１０種は皆、凡人の及ぶところにあらず！と記されていることがポイントであると考えます。

頼朝や北条一族は義経に対する人物評価を大幹部である大江広元から聞かされていたものと思われます。

 

平氏を壇ノ浦の戦いで破った後、頼朝に嫌われた義経は鎌倉近くまで行き、頼朝に弁明？しようと大江広元宛てに書状（腰越状）を送りますが、頼朝や北条一族は受取らず、京都へ追い返します。

憔悴した義経に対して、頼朝は直ちに土佐坊昌俊を刺客として京に送り込み、義経を亡き者にしようと６０数騎の軍勢で奇襲攻撃を行いますが、逆に昌俊は敗れ、殺されます。

 

頼朝や北条一族は義経の類いまれな知力や武力などの能力や人間性に相当の恐れを持っており、邪魔者故に抹殺しようと考えていたのではないかと推察されます。

 

これで、義経の頼朝への信望や敬意の念は消えてしまいます。

 

義経は後白河法皇に兄頼朝への追討を要請し、法皇は源頼朝追討の宣旨を発給しますが、頼朝は直ちに義経討伐軍を京都へ向け、自らも出陣します。

事態に驚いた法皇は宣旨を取り消し、逆に義経追討の院宣を頼朝に下し、義経は伊予守と検非違使の職を解任され、追討の身となりました。

義経は京での戦いを避け、九州を目指し、摂津の湊から約３００騎とともに船出しましたが、暴風雨に遭遇し、散り散りとなり、義経一行は吉野山へ逃げ込んでいます。

 

さて、義経の育ちを振り返って見ますと、義経は１才の時、父義朝が平治の乱で敗れ、殺されますが、運良く命は助かり、母常盤御前の下で６才まで育てられます。

その後鞍馬寺に預けられ、学問や武芸に励みます。しかし１５才の時、平清盛の追ってから、寺に迷惑が掛からないようにと鞍馬寺を放れ、兄頼朝を慕い、東国を目指し、流浪の旅へと出ます。

途中、金売吉次と出合い、東北平泉の藤原秀衡の下にお世話になります。

その地で、２２才になるまで約６年間、秀衡の子である国衡、泰衡そして忠衡等と青春時代を過ごし、仏教や学問、馬術や武芸など習得していきます。

そうした中、藤原基衡（初代）を助け藤原一族の礎と繁栄の大恩人である源義家（八幡太郎義家）を祖と仰ぎ、打倒平氏を誓い、源氏としての誇りと強い意志、難局を切り開く力などを養っていきます。

義経はまさに、氏も育ちも、又才能にも恵まれた人物であります。

２２才の時、頼朝の旗挙げを聞き、高ぶる想いに、秀衡の反対を押し切って平泉を出立し、頼朝の陣地・黄瀨川へ駆けつけます。その際に秀衡は家臣の佐藤継信、忠信兄弟を義経の家来として義経を守るようにと送り出します。

猜疑心の強い頼朝は、しばらく義経を相手にしませんが、義経２５才の時、木曽義仲討伐のため、兄範頼と共に上京を許し、義経は宇治川の戦いで義仲軍を破ります。

京都に着いた義経は、平氏や木曽義仲を反面教師として習い、後白河法皇や公家たちとの付き合いに気遣い、その振る舞いは京の人々の歓迎するところとなりました。

 

ネット上に書き込まれている前述の義経像とは、評価が全く異なると考えます。

 

次回（その１０）で、平氏との戦い（一ノ谷、屋島、壇ノ浦）について、義経の情報収集と戦術、積極果敢な行動など勝利を目指しての取組み、考え方などをご案内致します。

以上