猫ちゃんの歯肉口内炎はどうしたらよいの？②治療法

｜歯肉口内炎の治療方法は？

 

歯肉口内炎の治療の基本的な考えたとしては、原因の除去と炎症のコントロールです。

 

たんぽぽキャットクリニックでは、以下の薬剤を使うことが多いです。

 

 

・消炎鎮痛剤もしくはステロイド

・抗生物質

・ウイルス感染が疑われる場合は、インターフェロンω（インターキャット）

・インターフェロンの口腔内投与（インターベリー）

・口腔内細菌バランスの調整（デンタルバイオ）

・ビタミンB群製剤

 

 

 

歯石や歯垢の付着が多い場合は、歯石除去（スケーリング）を行うことで、改善することもあります。

 

 

 

また、中程度〜重度である場合は、外科的処置を積極的に行います。全臼歯抜歯（犬歯以外の歯の抜歯）は、長期的に良好な結果となることが示されており、歯肉口内炎の70〜80%の猫で、大幅な改善もしくは治癒が報告されています。

 

私の家のもずくさん（10歳）も歯肉口内炎で口が痛くて食事を食べれなくなってきたので、2022年5月に全臼歯抜歯を行いました。抜歯の翌日からもりもり食べて、今では、以前の食欲に戻って体重も増加中です。

 

 

 

 

｜難治性歯肉口内炎

 

上記の治療でもなかなか改善しない歯肉口内炎は、難治性と呼ばれ、対症療法を続けていくこととなりますが、近年は、再生医療による治療なども提案されていますが、100%の治癒率ではありません。

 

 

 

そこで、今回のクラウドファンディングでは、難治性口内炎で苦しむ猫たちを少しでも楽にするために、一歩進んだ治療として、2つの治療法を導入することを検討しています。

 

1つは、一度、過剰反応により肥厚した粘膜を蒸散させることで、一定期間良好に維持できることが期待される炭酸ガスレーザーと、もう1つは、大気圧プラズマによる抗炎症・組織修復を促せることが期待される、Pidiという装置です。

 

いずれも根本的な治療とはなりませんが、今痛くて食事を食べたくて食べれない猫ちゃんたちに施すことで、痛みから開放され食事を食べれる状態になるチャンスが生まれます。

 

 

 

｜まとめ

 

猫ちゃんたちにとっての歯肉口内炎は、完璧な治療法がないという現状で、少しでも完治に近づけるため、様々な治療法を選択することとなります。

 

多頭飼育崩壊の猫たちが抱える歯肉口内炎は、複雑に絡み合った原因に起因する慢性難治性であることが多く、崩壊現場からの一時的なレスキューだけではなく、継続的な治療が必要となります。

 

たんぽぽの里では、たんぽぽキャットクリニックでできる治療を施した後に、譲渡活動を通じて、ずっとのお家へお引越しできるように、連日、健康管理を行っています。新たな治療を受けられる猫ちゃんが増えることで、譲渡されていく機会を増やすことができたらと考えております。

 

何卒、ご支援をよろしくお願いいたします。

 

【参考文献】

・Da Bin Lee et al: An Update on Feline Chronic Gingivostomatitis. Vet Clin North Am Small Anim Pract. 2020 Sep; 50(5): 973–982.

・WSAVA Global Dental Guidelines 2020