メイキングレポート第8回は、VFX~映像エフェクト周り担当の吉野耕平さんからのコメントです。

 

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映像のエフェクト周りを担当させていただきました吉野です。四宮監督とは、「君の名は。」以来でご一緒させていただきました。

 

トキノ交差に登場する映像表現の一部をご紹介します。

 

■『稲穂のイコライザー』

 

日本の原風景のひとつである田圃で、音楽に合わせてカラフルな稲がリズミカルに成長するという不思議なカットです。

 

通常こういった表現は3Dソフトのシミュレーション系のツールを使うことが多いのですが、今回はあえて2Dアニメーションベースに一つ一つ配置して重ねるという形で表現しました。画家でありアニメーターでもある四宮監督は動きにも色彩にも明確なイメージを持たれているため、監督メモ(上図左側)と合わせて、動き・配置・色味、と少しずつ精度をあげて仕上げていきました。

 

 

■『街と光のイコライザー』

 

時代をまたいで変わりゆく渋谷の交差点で、建物の窓に躍動するイコライザーを表現するカットです。

 

 

「昭和的なイコライザー」と、「平成的なイコライザー」の表現の違いを考えながらいくつか自由にパターンを出しつつ、監督とのやりとりを経て最終的に今の形に落ち着きました。

 

モデルの段階ではかなりラフで派手で乱暴な色彩でしたが、世界観に合わせて現在の色合いと形に落ち着いています。

 

一瞬のカットですが、昭和と平成、ぜひ見比べてみてください。

 

 

■「アニメ」と「実写」の渋谷の色

 

実写表現とアニメ表現が交錯するのも、トキノ交差の表現のチャレンジの一つです。

 

「実写のリアル」と「アニメのリアル」は出発点が全く違うため、異なる二つの次元をブリッジする色彩について、監督のイメージ着地のお手伝いをしました。

 

 

日が落ちた直後の交差点の空気感を活かすため、最終的にはノーライトの撮影に処理を加えていく、というかなり正面突破な手法で着地しています。

 

主人公のキーカラーになる「緑色のパーカー」については、アニメと実写の印象が近づくように、特に様々な調整が加えられています。

 

 

短い時間の中に、内容的にも表現的にも多彩なものが詰め込まれている「トキノ交差」の世界。この他にも見るほどに様々な発見があると思いますので、ぜひ交差点に立って体感してみてください。

 

吉野耕平

https://www.suspenders-studio.com/

 

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メイキングレポート、次回もお楽しみに!