メイキングレポート第9回は四宮監督から美術監督の仕事についてコメントをお届けします。

 

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四宮です。『トキノ交差』での美術監督について仕事内容をご紹介したいと思います。

 

通常、美術監督はアニメーターさんが描いたレイアウト原図(主に鉛筆や色鉛筆を使った線画)を元にして美術イメージを構築し、背景を発注。上がってきた背景を演出意図にあった場面に色を塗り、仕上げていきます。

 

『トキノ交差』はそもそも現実のスクランブル交差点にアニメで描いたスクランブル交差点を上映するという作品ですので、現実とアニメの違いをどうやって表現するかということを気にしながら作業しました。

 

 

現実と見紛うような写実的な背景画で見せるというのも一つの手ではありますが、それだとそもそもアニメで表現するという根本から少しずれているような気がしたので、あくまでも映像の中の渋谷は現実より冴え冴えとしていて少しディフォルメされたものとして表現しました。

 

特に冒頭にでてくる早朝の渋谷の色は気を使って塗りました。現実らしさの中にある作り物としてのギミックをいろいろ込めたつもりです。

 

レイアウトの作業とも重なる部分ではありますが、今回は渋谷の各時代を描いていく都合上、少し歴史考証という観点も気にして描きました。

 

特に難しかったのは高度成長期の渋谷を表現した背景です。美術を手伝っていただいた二嶋さんが描かれた当時の看板群はレイアウト時の渋谷よりも緻密で当時の雰囲気がとてもよく出ているように思いました。

 

イコライザーで隠れてしまっている部分まで仕上げていただき、頭の下がる思いです。

 

 

また今回の作品は1分間の中に多くの情報が映り込んでいるため、パッと見たときに背景やモチーフの形態が認識できないとダメだと思いました。

 

例えば、劇中に一瞬だけ登場する「汽車」や「新幹線」、「ひばり号」などのモチーフもあえて背景とは馴染まないように配色することによって視認しやすくするように心がけました。

 

とはいえ、どうしても普段の手癖で描いてしまい、演出意図からずれてしまうときがあり、監督としての立場と絵描きとしての立場が揺れ動くことがあります。そういったときは改めて絵コンテなどで当初の意図を確認しながら背景を塗っていきました。

 

ぜひその辺も注目して本編を見ていただけるとありがたいです。

 

監督・四宮義俊

公式サイト:http://shinomiya.main.jp/

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メイキングレポート、次回もお楽しみに!