震災前から図書館を利用していただいている、女川在住のお母さんの声を、ご紹介します。

 震災後、図書館の再開を、心から喜んでいただいて、図書館充実の努力を、さらに強めなければならないと思っています。

 

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 私と女川町の図書室との付き合いは、長男が生まれてからなので、もう12年が経とうとしています。

 震災前、私と3人の子供にとって、女川の図書室は、お散歩コースの定番でした。

 赤ちゃんの頃、晴れた日は、ベビーカーを押しながら・・

 雨の日にはバスに乗って・・

 保育所に入所したら、みんなで歩いて・・

 小学校に入学したら、週末の楽しみとして、みんなで自転車に乗って・・

 女川町の街並みをゆっくり眺めながら、自宅と図書室と何度行き来したことでしょう。

 車で出かけるのとは一味違い、子供たちとあーだこーだ言いながら、帰り道も帰ったら本を読む楽しみのおかげで、不思議と足取り軽く帰れたものです。

 

 生まれも育ちも福島の私は、結婚して初めて女川に住み始めました。初めは、ほとんど知り合いがおらず、子供と一緒に出かける場所も分からず、とても孤独でした。

 そんな中、私にとって図書室は、親子とも楽しめる貴重な拠り所の一つでした。

 職員の方がいつも温かく迎えてくれ、心も体もほっと一息つくことができました。

 子供たちは、ボロボロになったお気に入りの本を何度も何度も借りました。どんなに古くなっていても処分されることなく、職員の方が補強し直してくれ、大切にしてくれていました。

 また、季節や行事ごとにディスプレイされた本は私達の目を惹き、沢山の本の中から、同じものばかり選んでしまいがちな子供たちも手を取って新しい本に出会うことができました。

 企画された「学ぶくんをさがせ」や「読み聞かせ」なども子供達は毎回喜んで参加していました。慣れてくると、検索機で本の場所を探すのもお手の物、ない本はリクエスト用紙に書いて要望を出して、広報に乗る新着図書をチェックしたりまでできるようになりました。

 子供だけでなく、時には子育ての本を読みあさり、料理の本から小説まで、さまざまな本は、私を救ってくれました。子供がいて自由に出かけられない私にとって、読書は自分に戻れる大切な時間でした。3人男の子を育てるのがすごくしんどい時、子供を怒ってばかりで行き詰っているときでも、子供に本を読み聞かせてやる時は、優しく語りかけることができました。

 

 そんな中、3月11日の大津波で女川町は壊滅状態になりました。

 私達の自宅も1階が津波の通り道となり、建物が残ったものの、水道ガス電気給湯全て破壊され、女川第一小学校での一か月の避難生活後、石巻市の親戚宅にお世話になることになり、一年間女川から離れていました。

 大切な友人達が亡くなり、悲しんでも悔やんでもやりきれない中、慣れない環境で、本を読む余裕も読んでやる余裕もなくなっていました。

 なんとか自宅を修理し、一年後女川へ戻ってしばらくして、偶然つながる図書館の移動バスに会いました。懐かしい図書室の職員の方、とても豊富な本数に感激しました。

 今まで余裕がないと思っていた心が一気に膨らんだ気がしました。

 職員の方とお話をしながら本を選ぶのが本当に本当に嬉しくて、他の用事そこそこに、帰宅後借りた本を一気に読んだのを覚えています。

 

 その後、その本を返却するために、初めてつながる図書館に足を運びました。

 入ろうとした瞬間、震災前の女川へ戻れた錯覚がしました。入ってみると、それ以上の温かさを感じました。なかなか思うように復興しない女川町のなかで、こんなにも早く素敵な図書館が再開していたことに感激しました。

 またこうして子供と図書館に通う日々が来るとは思ってもいませんでした。

 今野先生をはじめ支援して下さっている方々、職員の方々のお力に本当に感謝の気持ちで一杯です!!

 今年の夏、次男は、自分で本を読むのが苦手でしたが、沢山の面白い絵本をお借りしたおかげで、活字の本も一人で読めるようになり、ついにお気に入りの本を見つけ、一人で読み切る事が苦手だった二男が一気に読み通し、夏休みの読書感想文を書きあげることができました。

 これからまだまだ先の見えない未来の中、図書館で本が借りられるという小さな幸せは、親子共心を満たす大切な存在となっています。

 震災を経験して思うのは、危機をどう切り抜けるかは、知恵はもちろん想像力が豊かでなければ、判断決断し、生き抜くことができません。

 つながる図書館が、どうか私達の知恵と想像力を豊かにする糧となり続けるようこれからも充実していくことを切に願います。

 実は夫婦で福島大卒の私達。

 ここ女川で、また福島大学とつながれるとは想像してもみませんでした。

 こうしてまた福大の先生とつながり合える事を幸せに思い、図書館とともに子供と未来に向かって成長し続けたらと思っています。

 

 

 

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