【コラム：ハルのことだま】第7回 支援と支配

みなさん、こんにちは。今日は７回目のコラムです。

 

「支援と支配は紙一重」

私が尊敬する方が、とある講演会でお話されていた時にこの言葉に出会いました。

それから、ずっと私の頭の中にこの言葉がありました。

今日はこのことをテーマに書いてみようと思います。

 

私はこの世の中を少しでもマシにするために、

そして誰かの役に立つために、最近支援活動に近いことを始めました。

ただ、支援活動に限らず、自分が誰かの役に立ちたいと思うたび、こんなことが頭をよぎります。

 

・「誰かのために」と思ってしたことが、いつの間にかコントロールになっていた。

・知らず知らずのうちに相手のことを「可哀想な子」、

　「自分とは違う、向こう岸の人間」だと決めつけ、自分に力があると驕ってしまう危険性。

・支援者と支援される側という関係性の中で、優しさを装った支配が起こっていないか。

・支援することを通じて、自分が得たいと思っているものは何か？

　その目的が自己承認や、自分の不安・孤独・無価値観を埋めることになっていないか？

 

誰かを支援したいと思う人は、それ自体はとても素晴らしいことだけど、

こういったことに注視し続ける必要があるように思います。

 

そして、ここには「キャパシティ」と「責任」の問題も関係しています。

支援者は簡単に被支援者の命を握ることができる。

簡単に神様のような存在になれる。誰かに強く必要とされる存在になれる。

だけど、自分のキャパシティを超えて、自分が果たせない責任を負って

誰かの神様に成り代わろうとするのは危険です。

そこに救世主願望（※）がないか？

自分がいい人でいるために、正義でいるために、相手を利用したいという気持ちがないか？

相手の人生を”自分の物語の一部”にしようとしていないか？

いつも自分の心を省みる必要があると思っています。

自分の限界を把握せずに善意だけで突っ走ると、両者が壊れてしまいます。

（※）救世主願望(メサイアコンプレックス)とは、自尊心の低さを補うために、他者を救うことで自己肯定感を得ようとする心理です。自己犠牲的、あるいは支配的な対人関係を引き起こす要因になります。

 

言葉は人間が持てる最大の武器です。

それで人を救うことも、殺すこともできる。

だからこそ自分の言葉に責任を持たなきゃいけない。

慎重にならなきゃいけない。

このことを知っている人は、言葉を選ぶようになる。

そして、言葉で誰かを傷付けたら、自分も傷付く覚悟を持つべきだ。

最近そんなことを考えていました。

 

居場所事業や支援団体を頼る人の中には、

「ここが、やっと見つけた自分の居場所だ」

「やっと信頼できる人に出会えた」と思う方も多いと思います。

職場の人間関係や友人関係と違って、その期待は特別なものです。

誰かが希望を託す場所・人であるからこそ、

できるだけ慎重に、誠実でいようと心がけたいですね。

 

ではでは、また次のコラムも読んでもらえると嬉しいです。