貧困・虐待などで親を頼れない若者に伴走支援を|若者おうえん基金

支援総額

9,214,000

目標金額 9,000,000円

支援者
468人
募集終了日
2025年11月26日

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2025年11月03日 14:07

山本昌子スペシャルインタビュー 絵本作家 なるかわしんごさん

首都圏若者サポートネットワーク若者おうえん基金アンバサダーさせて頂いている山本昌子です。

今回はクラウドファンディングのリターンに選ばせてもらった名古屋を拠点に活動されている虐待環境で育った経験のある絵本作家のなるかわしんごさんにお話をお伺いしました。

 

Q、絵本作家になったきっかけを教えてください

大学卒業後、会社に勤めてたけど辞めて、しんどくてどうやって生きていこうかなって考えてた時に、 子どもの頃に絵本を読んでもらってた記憶をすごい思い出すようになったんですよ。なんかよっぽど自分の中では大事な記憶だったんだろうなって感じて自分なりに分析しました。それを僕もこれから生まれてきて育っていく子たちに、何か親と繋がりを感じられる絵本があるとか、なんとなく好きだから一緒に読もうとか、膝の上に乗せてもらえるとか、声が横から聞こえるとか、息がかかって温かいとかっていう色々なことが起きる(スキンシップ)「その瞬間」を作れる人になりたいなと思いました。何か落ち込んだり、苦しい時にそれが何かどこかで引っ掛かって生きるに値するみたいな、自分(正気)を保てる道具を作る人になりたいなって考えたのが24歳の時でした。でも、何から始めればいいかわからなくて、そんな時に荒井良二さんっていう有名な絵本作家さんがいらっしゃるんですけど、メリーゴーランドっていう有名な絵本屋さんがあって、そこの近くに僕当時住んでて荒井さんのワークショップが開催されて行ったんですよ。そこで「とにかく続けな。続けたら絵本作家になるから。」とアドバイスをもらってから描き続けています。

 

Q、絵本も作りながら、虐待と向き合うのはなぜですか?

 

虐待予防・防止の活動と絵本を作り始めたのが同じタイミングでその中で、絵本だけ作ってても何もできてない葛藤がありました。まず自分の生い立ちを振り返って、自分の父親とか祖父の家系を見てくと戦争で色々こじれていると感じていたんですよね。戦争を通してみんなの中に、正しさやそうする必要があった、そうせざるを得なかったという背景を見たときに、僕自身養育してもらううえで痛みはもちろん抱えたけど、なんか相手を責められないなって言うのも片一方であったんですよ。だから親をどうとかっていうのは、個人的な感情としてはもちろんあるけど、社会全体の構造がそうしてるんじゃないかなって思いました。川上から変な水が流れてきたら、海まで行くじゃないですか 。そのイメージで、じゃあ川上ってどこなのかその問題が出てくる源泉にメスを入れないと、ずっと変わらないと考えました。絵本を描くと同時に虐待っていうのはどうして起こるのか、どういう要因でそれが虐待って定義されるところまでになるのかっていうのを調査し始めました。

 

Q、生い立ちについても話せる範囲で教えてください

わかりやすく言うと体育会系な家庭でした。例えるならライオンが崖から子ども落としてあがって来いみたいな感じでした。自分は低体重出生児だったんですよ。(当時の基準で)未熟児で生まれてたので、イジメられるという危機感が親の中にあって、強くしなきゃいけないというのがあったそう。泣くと叩かれるとか泣いてはいけないっていう教育方針でした。なので、どのタイミングで、いつどこで何されても泣かない訓練みたいな期間が僕の中でありました。色々勉強してく中で、それはやっぱりおかしかったんじゃないかって大人になって気付きました。大学生くらいから、友達から親の話を聞いてると、あれなんかうちの家おかしいと薄々は気づいてても、まだ受け止めるキャパが自分の中でなかったので気づいてないフリをしていました。虐待の構造とか発達とか愛着とかっていう研究とか色々あるじゃないですか。それを学ぶうちに、多分これはもう避けて通れないと感じました。今現状、親とは絶縁してるとかそういうことはなくて、活動や取材見て「そう思ってたんだね」っていう認識でいてくれていると思います。僕としては父とか母がどうだったかっていうことよりも、その社会的構造で生み出したものとして、何が今起きているのかっていうことを社会に示したくで当事者発信を始めました。親は親でなんかやっぱり世間体を気にしている部分もあるので、メディアにあがってきた時はびっくりしたと思います。

 

直接両親達と「こうだったよね」「ああだったよね」とかっていう会話は、今はしない方がいいと思ってます。清算しなきゃいけないと僕自身思っていないです。「なんで虐待したんだんだよ」とか親に言いたいわけではなくて、目的は、この虐待の全体の構造とか色々な状況を知ってもらう上で、自分の生い立ちを周囲に伝える必要があっただけです。親に対しての個人的な思念をどうにかしたいということではなく、ただ、厳しく育てられて、実は父も結局そういう不適当な養育・教育を受けて育てられてたんですよね。多分、致し方なくそうなった部分と不適切に養育されてきた事実があります。要するに自分の中で、「わかっている事と出来る事って違う」じゃないですか。見てわかるけど、例えば絵を実際に描いてくださいって言われても描くの難しいじゃないですか。それと一緒で、実際にはそれがいけないことだと、わかってるけどしてしまう。(虐待と思っていないなども含)

多分、彼の中のそういうステータスの状態で子育てが始まったと思うのでまぁそうなるよなと。叩いてなんかどっか怪我しても病院には連れてってもらえないんであとで母親が内緒に連れてくとか。連れてくと母が父に怒られるので。それこそみんな旅行しに行ったり、遊びに行った時に僕だけ置いていかれるとか。車から降ろされてビューンって行っちゃうとか。プールで 4 歳ぐらいの時に、バーンって放られて足つかないのに泳いで戻ってこいって言われて、それで泣きながら戻ったら叩かれたりしてました。だから、高所、閉所、暗所、先端恐怖症になりました。診断名はついてないですが、症状として明らかにありました。とにかく何されても泣かない。家の中で起きていたことだから通報も何もなかった。でもメディアに出た後、近所にやっぱそうだと思ったんだよっておばちゃんに言われて「助けてくれよ」って思いましたね。でも、その人も迷っただろうし良かれと思って言わない選択を取ったんだろうなって思います。だから、「心配してくれてありがとう」ってその時は伝えましたね。家族全体で隠してたけど、周りは知ってたよねっていう感じもありましたね。

 

 

Q,戦争と虐待について

戦争でおじいちゃんの生い立ちとして、僕が聞いている範囲では、当時祖父が(小学校 6 年生)12歳の時、お母さんが頭おかしくなっちゃって。お母さんが急に居なくなって、違うお母さんが来たそう。腹違いの幼い兄弟を抱えて生きていかなきゃいけないって状況になったそうです。今の時代を生きる僕らじゃ考えられない。祖父は立ち止まってられないというか。それを悲観している場合でもないし、やらなきゃいけなかったじゃないですか。そんなふうに生きてきて子どもができて、親をやれって結構きついと思うんですよ。色々な事を、抑圧したり我慢してきた中で、社会的に逸脱しないように頑張って生きていくじゃないですか。要するにずっと報われないわけですよね。この状況の人が上手く子育てができるんですかっていう話だと思うんですよ。僕はできるわけない(限りなく難しい)と考えてます。祖父の中で今でいうところの何かしらの欠損、欠落、トラウマとか抱えてると思うので、まずケアしなきゃいけなかった。それをしないままある種、傷を背負ったまま子育てしなきゃいけなかった。

 

 結局その傷は連鎖したって話だと思います。戦争をやめたから、「はい終わり」とかっていうことでもないんですよね。引きずるんです。遺恨みたいなよくトラウマを引き継ぐっていうんですけどそういうトラウマっていうのは目に見えない。それはずっとトラウマとか虐待の後遺症として目に見えるものとして、吹き出してくる。例として、体罰が脳に影響を与えるとか。心臓や、脳梗塞などの疾病を抱える係数が高くなる。要するに疾病する確率が高い=医療にかかる負担、健康リスクが跳ね上がる。社会全体で見た時に、マイナスなのは明白で、長期化するので、社会保障的な観点から見て損失。疾病が増えれば、本人も生きづらくなってくるだろうと思います。将来的な、公的な健康・福祉を守ってくっていう意味で、係数が高くなるよってところまで研究データが出ているんだったら、本来はこのトラウマっていうものに対してちゃんとケア、補償するベキだと思います。鎮魂するような作業ですね。

 

むしろ逆境体験を受けた人の方が強くなる(面白い)っていうのもあると思うんです。※虐待などを擁護する、正当化したいわけでない。

 

痛みを抱えてきちんとケアされて、乗り越えた人だからこそ、いろんな人を支えるプレイヤーになりうると思います。虐待があったとしても、結果的に今の状態にOKがだせることになるんじゃないかなってちょっと思ってます。僕は、誤解を恐れずに言うと、虐待が起きても起きなくてもどっちでもいいなって、今は思ってます。それは、みんな起きるリスクを抱えて子育てするから。起きたらどうしようって怯えながら、子育てするのってすごいしんどいと思うんですよ。虐待が起きたとしても大丈夫だし、助けてって言えるし、そういう相手や環境があればいいよねっていう寛容な世界線にどうやってしたらもっていけるかっていうのに、心血を注ぎたいですね。

 

結局、命を授かっても、お金もかかるし、大変だし、リスクも高いんだったら、子ども授からないほうがいいみたいに、最終結末そうなっちゃうじゃないですか。合理的に考えたらそうなるのは自然かと。

 

 僕はそういうデストピアに向けてどうするかって真面目に少子化対策を考えるというよりかは、みんなが生きてて良かったとか、生まれてきてよかったって思えるには、どうしたらいいんだろうっていうのを色々動いていきたいなっていうのが、今のちょっと抽象的な抱負です。

 

ある精神科医の先生から言ってもらって僕が救われたのは、「何年間虐待受けてたの?」って聞かれて、「20 歳ぐらいまでありましたかね」って言ったら「今いくつ?」って「34 です」って答えたら「マイナス20歳するのよ。あなたまだ 4 歳よ。ここからよ」って言われたのはすごく救われました。要するに、失われてる部分がある期間だからもう 1 回今からやればいいっていうような言い方をしてくれて、僕は救われたけど、誰にでも簡単にそんなこと言えないと思うんですけど。

絵本作家で子ども達に何かをやると思ったときに、僕の父親とか、母親もたぶんきっと後ろめたかったり、罪悪感があることもあるだろうけど。

 

僕がこれからどう生きていくかっていうことを前向きにやっていけば、おじいちゃんとかお父さんの遺恨とかトラウマっていうのは多分消えるかなって思ってます。

 

僕ら一人ひとりが抱えてる痛みとかずっと連なっている悲しみを一度抱きしめて、清算できなかったものをどうやってちゃんと清算させていくかっていうのを何かみんなで考えるような雰囲気にしたいです。虐待を「良い・悪い」とか「あんな親ひどい」とかってすぐそういう報道、見え方になるけど「なんでそうなっちゃったんだろう。きっとこうなんじゃないのかな。じゃあ僕たちができた事は何だったんだろう。」って考えれば優しくなれるじゃないですか。責めるとかそういう対象や行動を排除するんじゃなくて。

 

仮に罰則がある場合は、裁判とか司法が与えることだから、それは僕らがするんじゃない。僕らはどうしたら救えたかってことに、立ち止まって考える。答えではなくって、あいまいな中で生きていく。淡いの中で一緒にそういう物事と生きていく。願いを持って、実際に動いていく。

 

Q,同じ境遇の子に向けてメッセージがあったらください

諦めないでほしいなって思います。絶対にあなたのことを必要で、大切にしてくれる人はいる。絶対にいる。もし居ないなって思ったとしても、自分だけは、自分のことを離さないってしてあげてほしいなって思います。僕はここにいるよっていうスタンスで、あなたに絵本を作りたいからそれを感じてもらえるといいなと思います。実際には触れ合うことはあまり出来ないかもしれないけど芸術とかメディアを通してエネルギーや伝えられるメッセージや温度を感じてもらえたらいいなと思っています。「まだ頑張ってみよう」ってみんなが思ってくれるような表現が出来たらいいなと思っています。

 

Q,クラウドファンディングで応援してくださった方へメッセージください

応援っていろいろ種類があると思っていて、多くの人が今できることをやっていってそれを集めていくことだと思うんですが、クラファンって期限があって終わると思うんですよ。でもその後も見続けようとか、一緒にいるっていう気持ちで何か寄り添って欲しいなっていうのを応援してくれる全ての人に伝えたいと思います。その後も見守ってほしいです。僕もこれからも一緒にやり続けたいと思っています。絵本を通してみんな満ちてほしいと思ってます。絵本を読まなくてもいいから、お守り代わりに持っといてもらったら嬉しいです。作品の中身っていうよりかは、そういう人が作ったものを近くに置いておくっていうことをしてくれると嬉しいし、いつか絶対に開くタイミングが来ると思うのでその時まで、持っていてくれたら嬉しいです。

 

今回お忙しい中でお話をお聞きさせて頂き本当にありがとうございました。東京にて絵本のサイン会の合間に取材させて頂きしました。

いつも優しくニコやかで温和な、なるかわさんからは想像できない経験をお聞きして驚きました。そしてお話を聞く中で心の芯の強さを感じる瞬間が沢山ありました。

 

現在は結婚もされてお子さんにも恵まれ子育てされている中での葛藤もお聞きして、常に自分の逆境体験と前向きに試行錯誤しながら向き合い続けている姿勢はかっこいいと思いました。

 

私達の傷ついた心の傷は決してもう治ることはないかもしれません。

それでもその傷と向き合い生きていく、生きている誰もが何かの当事者であり傷と共に生きているそう感じました。

 

なるかわさんの絵は本当に温かく素敵で大好きです。

私の周りの赤ちゃんを産んだ子達には「きみがうまれたひ」をプレゼントしています。若者おうえん基金でも、仮放免の子達を支援する団体への助成も行っています。

今回クラウドファンディングのリターンには入っていないですが、新作の「ダニーさんのちゃぶだい」もまた戦争について向き合える素敵な作品になっています。

多くの人に手に取って頂けたら嬉しいです。

 

今回は本当にお話をお聞きさせて頂きありがとうございました。

 

なるかわしんごホームページ

https://narukawashingo.com/

 

オンラインショップ

https://narukawas.official.ec/ 

 

note

https://note.com/narukawashingo

 

児童虐待予防に関する調査(2020〜2021年度)

https://yodaka.org/161

リターン

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【税制優遇あり】若者おうえん基金:応援3千円コース

⚫︎御礼のお手紙
⚫︎活動報告書(2026年3月に送付)
⚫︎寄付領収証(2026年1月に送付)
⚫︎「若者おうえん基金活動報告会」への招待(2026年6月頃に開催予定)
※詳細については、2026年4月までにメールにてお知らせいたします。

申込数
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⚫︎寄付領収証(2026年1月に送付)
⚫︎「若者おうえん基金活動報告会」への招待(2026年6月頃に開催予定)
※詳細については、2026年4月までにメールにてお知らせいたします。

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2026年6月

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