ゆずりは「ながれる」の現場見学を行いました。

首都圏若者サポートネットワーク事務局長の池本修悟です。

第1回若者おうえん基金助成助成先団体でもある「ゆずりは」がこれまでの福祉の枠組みにとらわれない場所を作りたいという想いで新たに立ち上げた実験的な集いの場「ながれる」をクラウドファンディングスタッフの愛子さんと訪問しました。当日はゆずりは所長の高橋亜美さんにご案内いただきました。

「ながれる」──支援する人もされる人も心地よくいられる居場所づくり

高橋亜美さんは長年福祉の現場で活動してきた中で、「支援する側とされる側」という非対称な関係に息苦しさを強く感じることがあったそうです。助けることを掲げれば掲げるほど、当事者を「被害者」として固定化してしまいます。一方で、支援者自身も疲弊し、サンドバッグのようになってしまう現実がありました。そうした経験から、「もっと対等で緩やかな関係を築ける場が必要だ」という思いが芽生え、若者や困難を抱える人が安心して過ごせる場所であると同時に、支援者や地域の人も無理なく関われる場として生まれたのが「ながれる」です。

被支援者だけが主役ではない

「ながれる」は、従来のシェルターのように住まいを失った人や一時的に安心して過ごせる場を必要とする人のための宿泊機能が備えられていますが、「支援する側もされる側も、そこに関わる人みんなが心地よくいられる」ことを大切にしています。たとえば、ヘッドスパやネイル、食事会などのイベントを通じて、専門職でなくとも誰もが自分の得意なことを持ち寄り、誰かのケアにつながる場にできます。「あなたをケアします」ではなく「自分を心地よくできる」を繰り返すこと。その積み重ねが、安心できる関係を生むと考えられています。

福祉の枠を越えた出会い

この場は、福祉専門職だけに閉じたものではありません。美容師や料理人、アーティスト、地域住民など、誰もが関わり方を見つけられるようにしています。カフェのようにふらっと立ち寄ってお茶を飲むことも、イベントで得意なことを提供することもできます。そうした多様な関わりが、これまで福祉に縁のなかった人たちにも扉を開き、新しい支え合いの形をつくっていきます。

その中で重視されているのが「空間の心地よさ」です。従来の福祉施設は、どこか「仕方なく行く場所」として設計されてきました。しかし「ながれる」は、誰もが「ここにいたい」と思えるデザイン性を追求しています。美味しい食事やお酒を囲みながら語り合うこと、心が緩む音楽に包まれること、そうした体験そのものがケアになると考えられています。

この取り組みの根底には、高橋さんが自立援助ホームや相談支援の現場で培った学びがあります。冒頭でも触れましたが支援者が「助けなければ」と背負い込みすぎると、自分を犠牲にして燃え尽きてしまう。逆に、当事者も「助けられる存在」として固定化されてしまう。そうした負の循環を断ち切りたいという思いが強くあります。

「ながれる」は、支援者も当事者も対等に関われる場所。お互いが健やかでいられることを大切にし、社会に新しい風穴を開けていくことを目指しています。

最後に

今回の若者おうえん基金クラウドファンディングはリターンとして「ゆずりは」が運営する「ゆずりは工房」の大人気のいちごジャムと12月の季節のジャムをリターンとしてお届けさせていただきます。「ながれる」にもジャムが置いていたのですが、どのジャムもおいしそうだったので是非１階のエントランスフロア「ゆるめる」でジャムの食べ比べイベントが開催できればと思いました。もし、一緒に開催したいという方がいたら是非お声がけください。

高橋亜美さん、ながれるのスタッフの皆さん、ご案内いただき本当にありがとうございました。