絵本へ続くラオスへの旅：宮下昌也さん・安井清子さんとの対談会のご報告

【絵本へ続くラオスへの旅〜お話し会開催のご報告】

昨日、絵本制作の原点を語るお話し会を開催しました。
会場はあたたかな空気に包まれ、90分があっという間に感じられるほど、濃く、深く、そして胸に残る時間となりました。

今回のテーマは、
「なぜモン族の民話を絵本に残したいのか」
「なぜ宮下昌也さんの絵で残したいのか」。

話は、2024年の浅葉アートスクエアでの宮下昌也さんの展示会のエピソードから始まりました。
ある一枚の絵の前で、祈る家族や涙する方がいたこと。宮下昌也さんの絵には、言葉を超えて心に届く力がある。宮下さんに、モン族の民話を描いてほしい・・この想いを受け取っていただきこの旅が始まりました。

まず、なぜモン族のお話を残していきたいのか？
安井清子さんがなぜモン族の民話を集め始めたのかのお話へ。

難民キャンプで図書館活動をしていた頃、日本の絵本の読み聞かせを続ける中で、
「モン族にも民話が語られること」を子どもたちから教えられ、録音を始めたこと。
やがて子どもたちは、聞いた物語を絵に描き、刺繍にし、本を作り始めるようになりました。

モン族の民話は夜にしか語られません。
語り部のおじいさんが語り出すと、子どもたちは静かに耳を傾け、時折、何か見えているかのように周囲を見回す姿があったそうです。
彼らのイマジネーションの中には、物語の世界が鮮明に立ち上がっていたのだろう・・
その安井さんの気づきに、会場も静かに聞き入りました。

そして宮下昌也さんの「旅して描く」という制作の話へ。
ラオスの森を歩き、自然に会い、宿に戻るとすぐにラフ画を描く。

肌で感じたものがそのまま絵として生き生きと描かれていく姿に、私たちも、ラオスの方々も息をのみました。

“森の命”が、宮下さんの体を通って絵になっていく——そんな瞬間を見ていました。

会場からの質問も途切れることなく続き、
モン族の今、社会、ラオスの教育、日本とのつながり、物語を残す意味など、話はさらに深まりました。

この絵本は、一冊の出版のためだけのものではなく、人と人、文化と文化、過去と未来がつながっていく“旅”そのものなのだとあらためて感じました。

ご参加くださった皆さま、本当にありがとうございました。
今回のお話し会参加費は全額、絵本制作に使わせていただくことにいたしました。

クラウドファンディングで応援してくださっている皆さまのおかげで、この旅は進めています。引き続きどうぞ見守っていただけたらうれしいです。