取り壊し目前!?阿佐ヶ谷住宅を写真集に遺したい。

取り壊し目前!?阿佐ヶ谷住宅を写真集に遺したい。

支援総額

455,680

目標金額 248,000円

支援者
73人
募集終了日
2013年5月20日

    https://readyfor.jp/projects/asagaya?sns_share_token=
    専用URLを使うと、あなたのシェアによってこのプロジェクトに何人訪れているかを確認できます
  • Facebook
  • X
  • LINE
  • note
2013年04月26日 11:02

Dianaで撮る阿佐ヶ谷住宅

どうもえんぞうです。
いよいよ北側の島も仮囲いが出来るようで植栽整理がほぼ完了していました。


 

どうして写真に過剰な加工を施すのか?という質問や批判を頂く事があります。
それは、阿佐ヶ谷住宅を遺すというのはイデアの話だからです。
写真というのは光の絵画を語源としています。僕が元画像に脚色するのは、ひとつはiPhoneographyやファインアートの領域ではこの程度の脚色は加工ですらないくらい質素だということと、もうひとつは心象風景としてどう見えるのが美しいかに拘泥するからです。
このアプローチはえんぞう名義の活動出版物に対してしていることで、個人的に楽しむ用途で無加工のデータなら有り余る程所有しているので、わざわざ発表するまでもありません。
 


 

今日は活動前半を振り返って感じたことを、lomoという有名なトイカメラメーカーが出したDianaというこれまた有名なトイカメラの更にハーフ版という、個人的にトイカメラに於いては最もオススメなカメラで撮影した阿佐ヶ谷住宅をご覧頂きつつ進めて行きます。



今だから言える事ですけれども、
実はこのプロジェクトは偶然阿佐ヶ谷住宅の解体工事の時期に重なりました。当初は4月から開始して、6月に終了させるつもりだったのです。僕はてっきりこの先数年はこの膠着状態が続いて、阿佐ヶ谷住宅は無くならないだろうと踏んでいたんです。

しかし2月末に急遽事態が動きました。
そこで僕は担当にお願いして、プロジェクトを始める時期を1ヶ月程前倒しました。
だからこのプロジェクトのタイトルは「取り壊し目前!?」のままなのです。
撮影も急がなければなりません。予断を許さない状況にありました。

阿佐ヶ谷住宅は非常にビビッドな問題を孕むテーマでしたので、
プロジェクトと解体工事が並走する状況下で障害もあるかも知れないな、と思っていました。
様々な利害が絡む事象には、必ずしも道徳的では無い諸手続きが含まれるものです。
その善悪の判断は局所的に見るか大局的に見るか、また立場によってで全く異なってくると思うのです。

僕は仕事柄不動産案件を担当することもあるので、そのプロモーションに係る様々な取り組みの裏側をよく知っています。バジェットで数千万円を計上する大規模な分譲案件の広告コンセプト立脚から実施に至るまで手掛けた事も数度あります。だからこそ再開発を「する」側の立場もよく分かる(つもりなの)です。

僕は阿佐ヶ谷住宅の事が好きなので、無くなるのはとても寂しいとは思います。
しかし一方で、社会人としてはあの半分廃墟状態を放置しておくべきではないという判断がありましたし、職業人としてあの不動産を遊ばせておくのは勿体無いとも思っていました。
寧ろあれ程の好立地に半分廃墟が存続していたことをして奇跡だったと言うべきだと思うのです。
 


僕は写真の第一義を記録だと言っている立場なので、建て替え完了までは写真を撮り続ける訳ですが、流通する写真集には構造体の解体の模様など再開発に関わる写真は掲載しません。それは先般述べたように阿佐ヶ谷住宅を遺す、という趣旨とは異なるからです。

しかしながら阿佐ヶ谷住宅の写真を「売る」という趣旨で考えると、
植栽の伐採や建物の破壊は上記よりもコマーシャルな素材となりえます。
もっと言えば写真のテーマとして最適だと思います。
感情を揺さぶり易いからですね。
しかしそうした趣旨で共感の呼び水に上記の様な写真を世に出す事は非常に危険です。

冒頭の写真と、伐採だ自然破壊だと糾弾もしくは悲壮な文章を添えるだけで、立派な暴力が成立するからです。



 

伐採や自然破壊をした側が悪いという論理は正直なところ現代日本に居住している全員が主張できる立場にありません。それを虐殺と言うなら食物連鎖から外れる必要があるでしょうし、害虫駆除もご法度でしょう。自然破壊だというなら電力に頼らず生活すべきでしょう。
エコ志向が流行した際にエコバックを買ってしまった様なトレンダーは特に危ない。マイ箸を携行して間伐材マーケットを死滅させる方がずっと環境に厳しい事を知らず盲目的にムーブメントに流されているだけだからです。

身近な阿佐ヶ谷住宅の再開発を題材に木を切るなと騒ぐのは分り易いでしょうから、一見エコロジストに見えます。同様に植物を擬人化して虐殺するなと騒ぐのも感情移入させやすくまた物語としても注目を集めやすいので一見心優しい人物に見えるでしょう。

しかし根本に立ち返りましょう。
ここは人の家なのです。庭の手入れを自然破壊だ、虐殺だ、と罵る事が正義でしょうか。
第一種底層住居特例の認可プロセスに疑問が多いようですが、そこで焦点になる日照の問題については既に北側の調整緑地確保で図面上は解決済みではないかと外野は感じました。
ただ単に自分の思い通りにならなかったことへのあてつけか、自分のプロモーションの為に騒いでいる(としか僕には思えませんが)のだとしたら尚更です。
 


 

ここまでの議論はどちらかに肩入れしているから言っているのではないのです。
僕がこだわっているのはフェアであるということです。

阿佐ヶ谷住宅隣接住戸は35件あるそうなのですが、それに対して阿佐ヶ谷住宅現住人は100世帯を超えています。その100世帯が現在の350世帯をまさに法律の規制上纏めて再開発をしなければならないという資金上の課題を克服するために特例を用いたとするならば、最大多数の最大幸福の原則に立脚した場合、残念ながら特例が通る方が幸福度が高いのです。

因みに最近のマンショントレンドから言えば6階建ては非効率です。14階建てがひとつの指標になるくらいです。非効率というのは何かといえばつまり1戸あたりが高くなるということです。

上記を総合的に把握した上で事象をフェアに判断するのが阿佐ヶ谷住宅ファンに求められる視座ではないかと僕は思っています。
 

もっとも、因果律から言えば我々は基本的に自分を棚に上げて主張を行う生き物で、論理整合性よりは感情を優先する生き物であり、いずれもそれが「楽」であるという点は僕も了解しての事です。



 

僕は阿佐ヶ谷住宅の再開発に賛成でも反対でもありませんが、反対されている一部の方々に強く違和感を覚えます。

この今の段階に於いて共感を呼び易い素材で安直にネガティブな発言をすることが、阿佐ヶ谷住宅の将来価値を大きく貶め、新しくこの場所に居住する人々の不利益に繋がる事を理解していないのだろうか、という事です。だから敢えて暴力だ、と言ったんですね。

また、不可抗力の対象つまりここではデベロッパーになる訳ですけれども、彼等の一挙手一投足をあげつらってdisる事で共同体の結束を強めようとするのはヘイトスピーチと同じ、つまりいじめ、更には差別と同じ構図であることも理解すべきではないでしょうか。


 

どう思ってもどう感じても何を発言してもそれは自由です。
しかしインターネット上に公開された瞬間にそれは発言者から遊離独立した情報たりえる事実をもう少し吟味すべきだと思います。発言者の意図とは無関係に流通し、集約され、最悪の場合は編集加工されます。つまり、イデオロギー創出の材料になるのです。
阿佐ヶ谷住宅を愛すると自称するなら、是非この危険性を理解して欲しいと思います。
 

また、デベロッパーや行政と括って擬人化するとパーソナリティが見えにくくなりますが、旧阿佐ヶ谷住宅の後を計画設計する方々は金の亡者ではなく一人の人ですし、建築家を志して今の職にあたっている専門家ではないかと僕は思うのです。
阿佐ヶ谷住宅程歴史的にも評価の高い建築物を破壊してまで再生するという重責を伴った挑戦に手を挙げた側にどうして誰もエールを送らないのか僕には疑問です。

少なくとも僕は豊かな緑や貴重な建築物が破壊されるという事実は悲しいと思っていますが、その破壊を職務として遂行する側をdisるどころか寧ろ総スカンですから大変な仕事を遂行する事に敬意を抱く程です。

と同時に、新阿佐ヶ谷住宅は数百という戸数を販売しなければなりません。
安い物件ではないでしょう。余程魅力的な物件で無ければ売れません。不動産営業の過酷さなら各位知る処ではなありませんか?

それだけに僕は新阿佐ヶ谷住宅を楽しみにもしているのです。
阿佐ヶ谷住宅の意思を継ぐ素晴らしい物件が誕生する為に僕ができる事ならしようと思うのです。


 

という訳でプロジェクトも後半戦です。
引き続きのご支援を賜れますと幸甚です。
 

リターン

2,480+システム利用料


alt

阿佐ヶ谷住宅写真集
40ページ・フルカラー・無線製本

内容は全て撮り下ろし未発表作品とします。
※本プロジェクトに関わるサイト等への発表を除きます。
写真集に直筆サインを入れさせて頂きます。

支援者
44人
在庫数
制限なし

4,980+システム利用料


alt

阿佐ヶ谷住宅写真集
40ページ・フルカラー・無線製本

+

阿佐ヶ谷住宅写真集エディション版
16~36ページ・フルカラー・無線製本
iPhoneography・iPhonicartエディションです。
エディション版は出版されません。

内容は全て撮り下ろし未発表作品とします。
※本プロジェクトに関わるサイト等への発表を除きます。
写真集に直筆サインを入れさせて頂きます。

支援者
21人
在庫数
68

9,480+システム利用料


alt

上記2冊の写真集
+

写真集のサンクスクレジットにお名前(ニックネーム)を掲載。

+

プロジェクトの「新着情報」に掲載された作品の中から、お好きな1枚を15cm四方のキャンバスにプリントし、サインを添えてお送りします。
※トリミングはお任せ頂きます。

支援者
12人
在庫数
36

19,800+システム利用料


alt

上記2冊の写真集
+

写真集のサンクスクレジットにお名前(ニックネーム)を掲載。

+

プロジェクトの「新着情報」に掲載された作品の中から、お好きな1枚を30cm四方のキャンバスにプリントし、サインを添えてお送りします。
※トリミングはお任せ頂きます。

支援者
2人
在庫数
8

記事をシェアして応援する

    https://readyfor.jp/projects/asagaya/announcements/2869?sns_share_token=
    専用URLを使うと、あなたのシェアによってこのプロジェクトに何人訪れているかを確認できます
  • Facebook
  • X
  • LINE
  • note

あなたにおすすめのプロジェクト

注目のプロジェクト

もっと見る

新着のプロジェクト

もっと見る