内科医として、試行錯誤しながら、30年近く、がんや免疫系の難病の人たちの診療と研究に従事してきました。臨床の現場では、本人も医療従事者も驚くような、劇的な臨床経過をたどる人たちに出会うことがあります。経験を重ねるうちに、その現象の背景には共通するものが存在し、それがレジリエンス(回復力)であることに気がつくことができました。思いやりや温かい言葉など、日常に交わされ、見過ごされがちな、小さなことが、実はレジリエンスを導くうえで、大切であることも分かってきました。日常に経験する一見、小さく何でもないことが、私たちを健康に導いてくれます。そのためには、レジリエンスを評価し、見える化することが大切になってきます。ウエルビーイングを目指すこれからの社会において、レジリエンスは、最重要課題だと考え、研究に取り組んでいます。研究推進に何とぞご協力のほどよろしくお願い申し上げます。