9/27 アートプロジェクト「えがく、こえ」実施完了の御礼✨
”選挙なんて生まれてから、行ったことないけど、初めて行ってみようと思えました。”
- 本プロジェクト参加者より -
【みなさまのおかげで「えがく、こえ」を実施できました✨】
みなさま。
この度は、アートプロジェクト「えがく、こえ」実施のためのクラウドファンディング、「多様な人々の『声』を一枚の『絵』に表現したい!」にご支援、ご協力くださりありがとうございました✨
最終的には61名の方から、総支援額217,000円のご支援をいただき、先日、9/27に実施させていただきました🙌
今後、このプロジェクトは先日の模様を映像作品として完成させ、みんなでその映像を拡散することで11/1の住民投票への参加を呼びかけていくところが残っておりますので、是非、みなさま、改めて映像拡散に協力してくだされば幸いです👍
|プロローグ2:耳を傾ける民主主義
2015年9月。
安保関連法案が成立する直前、僕はテレビの前でニュースを見ていました。議員のみなさんが、国会で取っ組み合いになり、「今何が起こっているんだろう?」と不安、恐れ、悲しみ、怒りなど色々な気持ちが一緒くたになって沸き起こってきた光景を僕はよく覚えています。
見えない何かと闘うように、僕たちはいつも仮想敵を作り出し、実在する物とは違う別のものと戦っているんじゃないか。
そんなことをぼんやりと思っていました。
その頃くらいから民主主義について考えるようになり、政治学や経済学など、学問的な知識も入れつつ、NPO活動を通じて色々な人々と対話を重ねてきました。
そして、その中で、民主主義は最も大きい声を出した人の意見が反映された意思決定になっていく構造になっているのではないかと感じるようになりました。
その声の出し方は様々です。政治家になる人。世論を形成する人。ロビイングをする人。お金をたくさん稼いで経済的な地位を獲得する人。
それが行き着く先は声なき声を置き去りにしていく政治のあり方でした。誰もが声を上げることができる。これはきっと確かです。
しかし、誰もが声を聞いてもらえるわけではないのです。
なので、僕はこの数年、自分の理想の一つに「耳を傾ける民主主義」を語っています。声を上げることは大切です。でも、張り上げなくても声が届くように願っています。
そんな社会を目指して、まずは対話の機会をつくりたいと思っていました。そんなおり、新型コロナウイルスが発生しました。その後の詳しい経緯はプロジェクトの概要で書かせていただいた通りです。
|対話の条件と民主主義がもたらす ”社会” の成長
僕は対話の機会をつくる上で次の3つが必要だと考えています。そして、現在、その対話の機会を市民に保証する制度はありません。
1、話し合うための人々の時間と場所を確保すること
2、話し合いを進めるための進行役とプログラムを用意すること
3、継続的に実施し、信頼関係を醸成し、安心感を感じられるように配慮すること
草の根の集いは今後、この対話のインフラとして社会の中で活動していきたいと考えていますが、今回アートプロジェクトを実施したのは、対話の場だけでは不十分だと感じたからです。
対話をする中でご参加いただいた方や広報で声をかけた方に、次のようなご指摘を何度かいただきました。
「対話をして何になるん?」
この問いに対して明確に答えることはいつも難しかったです。次第にその問いに答えるためにゴールをつくろうと政策立案や運動へ展開するための企画を考えました。しかし、徐々にあるべき姿と現状の自分たちのギャップに苦しさを感じるようになりました。
そんなある時、メンバーで話し合っている時に気づきました。
「そもそも、耳を傾けるのはまだ声になっていない声を顕在化するため。顕在化した後は他の人々と連携しながら、その声に適した形で町を変えていこう。その声の主とともに。」
「民主主義」を統治のあり方と定義する代わりに、新しい自治の可能性と捉えるとどうか。
「民主主義」が政策はもちろん、ビジネスやNPO活動を生み出してもいいはず。その時、僕たちの認識は下のように変化しました。そして、声を表現することに100%振り切った今回のアートプロジェクト「えがく、こえ」が生まれました。
そんな認識の変化とともに、僕たちは一つのビジョンを見ました。
『望んでるライフスタイルを「人と違うから」という理由であきらめなくていい社会。』
全ての抑圧がそうとは限りませんが、僕たちが話し合う中では声の抑圧の大部分は主流派と異なることによって生じていました。
”日本人じゃないから選挙権がない”
”女性だから昇進できない”
”政治家じゃないから政治なんて変えられない。”
そして、それら全ては仕方がない。
でも、本当にそうでしょうか?
アートなら、対話なら、どんな立場にいる人のどんな声でも表現することが許される。そして、その表現された声を受けて、より多様な立場にある人々の声を包摂した制度設計やまちづくりをしていけたら、それは「成長」ではないかと思うのです。
経済の成長はよく語られますが、社会の成長はあまり語られません。僕たちは民主主義の発展とともに社会は成長すると思います。その成長の尺度は「多様性の包摂」です。
より多様な声が聞き、より多様な立場の人々が暮らしやすい社会になっていくことで、望んでるライフスタイルを「人と違うから」という理由であきらめなくていい社会に近づいていくと思えました。
そんな一歩目にこのプロジェクトはなっています。
当日の模様
1、個人のおえかきタイム
まず、「自分を表す色とカタチ」というテーマでえがきました。
次に絵を描いたら発表して、最初のセッション終了です✨
2、みんなでえがく
次にみんなで描いていきました。
3、ふりかえる
みんなでその大きな絵を見ながら語り合いました。
アートによる2つの成果
上記のようなプロセスを経て、2枚の作品が完成しました。
▼1、そんなわたしたちが暮らすセカイ
▼2、そんなわたしたちが暮らしたいセカイ
”自分が引いた線を誰かが楽譜に見立ててくれて、音符が乗っかって素敵な絵になっていた”
”自分が描いたものに誰かが書き足していってくれていたことがうれしかった”
絵を描いている途中に他の人のものに新しい色や線を加えて、元々あったものと異なる何かを描き出していく。集合的な内面の声を浮かび上がらせていった今回のプロセスにこれからの民主主義のヒントがあったように感じています。
アートによる2つの成果
壮大な理念を持った「えがく、こえ」を実施してみると2つの成果を実感できました。一つは「つながり」が生まれていくことでした。実際に、自分自身の内面にあるものを表現し、交わしていくとそんなに話をしたことがない人との間にも同じ場を共有している安心感を感じられることがわかりました。
もう一つは「解放」でした。最初は恐る恐るだった筆の動きが時間が経つにつれて徐々に勢いを増して行きました。自分自身の中にある声を外に出すことが徐々に許可されていったように僕には見えました。
2つの成果を軸に立てると4つのシナリオが見えてきます。
①分断が抑圧を生み、抑圧が分断を生む関係
人と人が離れ、お互いのことを想像する難しさが社会に蔓延している。お互いの背景を想像できず、偏見が偏見を作り、実態とは異なるイメージが先行する。そのイメージによって当事者が本当のことを理解してもらえないと悲しみ、諦め、声を出すことができなくなっていく未来。
②分断し、表現がぶつかり合う関係
①同様に分断を起こしているが、イメージを投影された人々が怒り、内的な周囲の人々に声をぶつける。彼、彼女らは「乱暴者」「暴徒」と呼ばれる。一方でその声をぶつけられた人々は反発を強め、抑圧がエスカレーションする未来。
③つながりあうが、抑圧を生む関係
人々はつながっている。しかし、つながっているが故に本当の声を表現することへの恐れが強まる。特定の声は許されるが特定の声は許されない。それぞれのコミュニティは独自の共通言語を持ち、同質な存在であるが故に繋がれている未来。
④つながりあい、表現が相互作用する関係
人々はつながり、異なる声も十分に表現することができる。異なりは対立ではなく、多様性として許容され、「異なる意見の仲間」が幅広くコミュニティに在籍している。そして異なっているからこその相互作用を生み出し、人々は一人でいる時よりもクリエイティブな形で集合的な表現を生み出していく未来。
「えがく、こえ」は一時的にでも④の瞬間を生み出したと思っています。2枚大きな絵は集合的な表現の結晶でした。今後もこのような企画を生み出していきたいです。
僕たちに貴重なチャレンジの機会を、そして何より、参加していただいた皆さんに声を表現する機会を与えてくださりありがとうございました✨
【参加者の声】
「普段使わない脳を使いぐったりはしましたが、自分の考えていること、絵を見て感じたことがとても大切なもののような気がしました。」
「子どもたちや未知の仲間と一つの絵を描く体験」
「楽しかった」
「参加者全員の表現が取り入れられていた。下手な意図操作を感じなかった。ありのままな感じ。」
「大勢の人で一つの絵を描いていくというのがとても楽しかったです。協力しあっているわけではないのですが、それぞれが楽しみながら進めていけるのは良いなと思いました。」
【収支報告】
ご支援いただいた金額は全額、本プロジェクトの経費に当てさせていただきました。場所は厚意でご提供いただきました。超過分や余剰のお金は切り詰めていた謝礼や運営費を補填しました。また、交通費は謝金の中に含めることでスタッフと合意しました。
▼プロジェクト予算
スタッフ謝礼:40,000円
映像製作費:90,000円
画材費:8,558円
企画運営費:52,042円
手数料:26,400円
【リターン:映像制作について】
現在、初稿が上がってきております。10月中旬にはご支援いただいた皆様宛てに、一足先にご覧いただくことができると思います。10/18には11/1の住民投票に向け、2週間前を呼びかけるために一般公開にして参りますので、その際はぜひ、一緒に拡散いただければ幸いです👍
|これからも民主主義の楽しさを取り戻していく
今回、僕たちのチャレンジは一旦、着地しました。今後はアート、対話、シティズンシップをキーワードに教育プログラムを構築し、民主主義を育むインフラになっていけるように取り組んで行きたいと思っています。
今回はご支援いただきありがとうございました。そして、次はあなたと一緒に何を始めていけるか考えていけたら幸いです。
これからも引き続き、よろしくお願いいたします✨