プロジェクト実施のご報告とみなさまへのお礼
こんにちは、ACEの岩附です。
昨年6~7月に実施したクラウドファンディング「今こそ誰一人取り残さない。ACE SDGsプロジェクト2020」では、ご支援や応援をいただき本当にありがとうございました!
新型コロナウイルスの感染拡大の状況下で、特に苦しい状況に置かれる人々や児童労働のリスクに直面する子どもたちを「誰一人取り残さない」という想いで実施したプロジェクトでした。
実施時は昨年のうちに状況が落ち着いてくれたらいいなと考えておりましたが、年を越しても収まらず、日本でも感染者が特に多い地域で再び緊急事態宣言が出される事態になってしまいました。これを読んでくださっているみなさまの中にも不安を抱えられている方が多くいらっしゃるのではないかと思います。少しでも早く安心できる状況になってほしいですね。
いまだに感染拡大の影響を受ける中ではありますが、2020年6月から12月までに実施した活動に関して、ご報告をさせていただきます。
■活動のご報告
SDG8.7に含まれる「2025年までにあらゆる児童労働を終わらせる」という目標に向けみなさまからいただきましたご支援をプロジェクト実施費、人件費に活用させていただき活動を行ってきました。その一部を以下でご紹介します。
<児童労働撤廃の現地支援>
インド活動地での緊急食料配布支援
感染者数世界2位のインドの活動地で、ロックダウン等の影響で仕事を失い厳しい状況におかれた人々の中でも、政府の支援を受けられず特に困窮した家庭53世帯向けに米や野菜等の食料セットの配布を実施しました。毎日の家族の食事を用意することに苦労していた母親から「食べるものが確保できて本当にほっとした」などの感想がありました。
(食料配布支援実施の様子)
学校の休校が続くガーナ・インドの活動地で、子どもの家庭学習支援を実施しています
新型コロナウイルス感染状況の影響で休校が続き、現在も集まって教育を提供する活動が認められていないため、ガーナ、インドの活動地で子どもの家庭学習を支援しています。急な学校閉鎖で学校の先生から休校中の過ごし方等の案内を受けていなかった子どもたちに、学習教材支給や家庭訪問時の学習サポート、おとな向けの子どもの家庭学習に関する啓発を行っています。
ガーナの活動地で子どもを守る地域条例ができました
8月に2018年から2020年に活動を行ったガーナ・アハフォ州の2村で、子どもを守る地域条例ができました。条例策定には群議会、警察、教育局や地域住民が携わり、地域の子どもたちが児童労働から守られ、安心して暮らせる社会を目指しています。引き続き、条例が活用されること、周辺の地域にもこのような条例が作られることを推進していきます。
(条例策定に関わった人々)
ガーナ政府との児童労働フリーゾーン普及パイロット活動を、JICAの資金で実現
2020年3月に完成した「児童労働フリーゾーン」実施ガイドラインを使って2つの地域でパイロット活動を行うことを含む調査事業がJICAの競争入札案件として公示され、ACEはアイ・シー・ネット株式会社と共に応札、落札しました。そのため活動にはこのクラウドファンディングでご支援いただいたものとは別の資金を充てていますが、これまでのみなさんのご支援で行ってきた活動の成果でもあるので、この場でご報告させていただきます。 2020年10月よりこのプロジェクトは正式スタートし、2022年3月までに中央、郡、コミュニティレベルでの活動を通じ児童労働フリーゾーンの実施ガイドラインを実際に活用して児童労働撤廃の活動を展開します。コロナ禍でガーナへの出張がままならない中ですが、ガーナ政府関係者ともオンラインで会議を重ね、ガーナのパートナー団体CRADAと共に活動を進めています。
日本の児童労働撤廃のための啓発活動
高校生向けに作った児童労働予防リーフレットの経験を踏まえ、中学生向けのリーフレット作成を沖縄県で子どもに関わる活動をされているみなさんと共に進めてきました。沖縄では中学を卒業した後、進学・就職いずれの進路でもなく、進路が判明しない子どもたちが毎年数百人に上ります。そういった子どもたちの多くが児童労働に近いような状況で働くこどが予想されるため、2021年3月に卒業を迎える中学3年生に配布できるよう、作成をすすめています。
<日本政府への働きかけ>
日本政府の「ビジネスと人権に関する行動計画」策定
提言活動を行ってきたビジネスと人権指導原則の国別行動計画(NAP)が2020年10月日本政府により策定されました。人権を保護する国家の義務、人権を尊重する企業の責任、救済へのアクセスに関する取り組みの3つで構成され、日本がビジネスにおける人権問題への取り組みを表明した重要な第一歩となりました。ACEがパブリックコメントで求めてきた児童労働撤廃へのコミットメント、子どもの権利についても記載されましたが、人権デューデリジェンスを促進する法整備などについての言及はありませんでした。今後も行動計画実施のモニタリングや改定に向けて政府に要請を続けていきます。
C20サウジアラビア2020サミットで分科会を実施
世界各地の関係者が議論しG20に対して提言を行うことを目的としたC20(市民社会)サミットにオンラインで参加し、「SDG8.7達成に向けた市民社会・ビジネス・政府の連携促進」と題して分科会を実施しました。ノーベル平和賞受賞者のカイラシュ・サティヤルティさんもオンラインで参加いただき、それぞれの立場から各国で活動を行う5人のスピーカーを招き、児童労働、強制労働、現代奴隷、人身取引撤廃への動きを加速化させるため議論をしました。2020年G20サミットの首脳宣言においても、児童労働撤廃へのコミットメントが再確認されました。
<企業・経営者への働きかけ>
ビジネスセクターへの知見共有や児童労働のない製品の促進
コットン、カカオなどの原料を扱う企業だけでなく広告、製薬、IT等の企業向けにも児童労働を始めとする人権や「ビジネスと人権」に関する研修や人権デューデリジェンス(企業活動による人権リスクを特定して予防や軽減策を行うこと)に関する知見の共有を行いました。
子どもの権利と投資に関するガイドラインの翻訳とセミナーの実施
オランダのESG評価機関 Sustainalytics社とUNICEFが発行した子どもの権利を投資の意思決定に組み込むための投資家向けのガイダンスを、ACEが日本語訳して発行しました。また、9月に「ESG経営視点で見る子どもの権利とビジネス」セミナーを実施し、参加者26名と共に子どもの権利をビジネスの中でどのように尊重するか考えました。
(セミナーの様子)
共著「児童労働白書」の発行
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社および株式会社オウルズコンサルティンググループとともに、児童労働の現状と企業に求められる対応をまとめた「児童労働白書2020-ビジネスと児童労働-」を12月に発行しました。世界の最新情報の調査・分析をもとに児童労働の現状や企業のリスク、政府や企業の対応事例をまとめたもので、ビジネスセクターだけでなく多くの人が児童労働に関する取り組みを進める際の資料として広く活用されることを期待しています。
■リターンの発送状況に関して
ご支援をいただいたみなさまに領収書の必要有無をご確認させていただき、ご連絡をいただいた方に10月に領収書を発送いたしました。万が一届いていない方、確認後に必要になった方がいらっしゃればお手数ですが「メッセージ」からお問い合わせください。
また、「ACEインドプロジェクト地オンラインツアー」に関しては現地の新型コロナウイルスの感染状況(子どもに集まってもらうことができない等)に伴い実施を延期させていただいております。ご支援くださった対象者の方には申し訳ありませんが改めてご連絡をさせていただきます。
■2025年に向けたこれからの活動
みなさまのおかげで子どもたちを児童労働から守る活動を一歩前進させることができました。今回のクラウドファンディングでのご支援による活動は一区切りとしてご報告させていただきましたが、2021年は国連が「児童労働撤廃国際年」と定めた1年であり、世界の児童労働課題に取り組むよう呼びかけています。ACEとしても、児童労働の課題啓発や解決方法の共有が大きく促進される年にしたいと考え、キャンペーン等を行って盛り上げていきたいと思っています!国際年に関係する情報も「新着情報」などで今後発信させていただきます。
また、1月5日(火)から東京新聞で私、ACE代表岩附のコラム連載がスタートしました!今年6月まで毎週火曜日の夕刊「紙つぶて」に掲載されます(noteに記事をまとめて掲載しています)。
今年も2月14日のバレンタイン・デーが近づいてきました。
ACEでは「バレンタインは児童労働のないチョコを」をテーマに、児童労働が関わっていないチョコレートや子どもたちを救う活動への寄付になるチョコレートの購入などを呼びかけています。
今年は、フェアトレードチョコレートがテーマの映画「バレンタイン一揆」を2/8~2/14の期間限定で無料配信します!普段はDVD購入や上映会でしか観られないため貴重な機会です。こちらもどうぞご覧ください。
これからも、ACEは「誰一人取り残さない」という決意を胸に、子ども・若者が自らの意志で人生や社会を築くことができる世界を目指し、子どもや若者の権利を奪う社会課題解決を目指していきます。引き続きの応援、どうぞよろしくお願いいたします!
認定NPO法人ACE代表 岩附由香