台風災害 第二次復旧プロジェクト 終了報告
【ご挨拶】
2023年春に実施させて頂きました災害復旧クラウドファンディングでは、本当にたくさんの皆様から温かなご支援を賜り、誠にありがとうございました。おかげ様で2024年3月末をもちまして無事に開山堂裏の斜面の復旧工事が完了いたしました。2018年の台風災害より一回目の大規模な復旧工事を終え、続いてコロナ禍も経験するなど厳しい状況のなか、1330名以上もの皆様から当山の復興へご理解頂き、心強いご協力を頂きましたことで、今回の困難な工事を終えることができました。ご支援頂きました皆様へ心より感謝申し上げます。
【復旧工事について】
あらためて2018年からつづく災害復旧についてご説明させて頂きます。
2018年秋の台風災害により山内では300本ものスギ・ヒノキの大木が倒れる被害となりました。金堂や開山堂などの堂宇の破壊や石築地の崩落など、境内全域で甚大な被害となりました。復旧工事では、4億8千万円におよぶ事業費となりましたが、初めてのクラウドファンディングを実施させて頂き、1500名以上もの皆様からご支援を頂きましたおかげで、2020年4月に無事に第一次災害復旧工事が完了いたしました。
【今回の工事について】
第一次復旧後は境内を公開することができましたが、倒木被害の大きかった開山堂裏の斜面地では、土砂崩れが進んでおり、豪雨などで大規模な災害が起こる恐れがありました。この土地は、開山堂・明恵上人の御廟・明恵上人が修行した洞窟の保存に関わる重要な土地であるため、第二次復旧工事として斜面地の土木工事を実施することになりました。今回も事業費は9500万円と高額になり、当山のみでの復旧が困難であったため、2回目のクラウドファンディングを実施させて頂きました。復旧プロジェクトについて多くの皆様からご理解とご協力を頂き、目標を大きく上回るご支援頂くこととなりました。皆様の温かなご支援に深く感謝申し上げます。2023年7月から本格的に着工し、斜面に法枠を設置して、枠内には植生剤を吹きつけました。2024年3月31日をもちまして無事に第二次復旧工事が完了いたしました。この工事により斜面周辺の史跡境内地の安全な維持管理ができるようになり、2018年から続く台風災害の復旧は全て完了いたしました。
【収支報告】
簡単ではありますが、収支のご報告をさせて頂きます。総事業費は9500万円となりました。激甚災害指定の国庫補助金としてその内の70%である6650万円を国から補助頂きました。残り30%である2850万円が高山寺の負担金となり、今回のプロジェクトでお納め頂きましたご支援金を事業費として充てさせて頂きました。
事業費内訳としましては、設計監理委託費約610万円、工事請負費(仮設準備・法面土留め工事・諸経費)で約8882万円、その他経費(旅費等)で約8万円となっております。
【リターンの発送状況について】
皆様への返礼品につきましては、9月頃より発送をはじめて12月末で完了いたしました。お届けが遅くなりましたこと誠に申し訳ございません。もし内容に不備があったり、未だ品物が届いていないという場合には、恐れ入りますがご連絡を頂戴できればと存じます。
特別拝観コースの皆様につきましては、まだ全員をご招待しておりませんので、この後も個別にご対応させて頂きます。
【今後について】
災害復旧は一区切りがつきましたが、台風の爪痕がのこる境内は、植林などまだまだこれからも整備が必要な状況です。台風以外にも大水や地震など今後起こりうる自然災害への防災整備も進めていく必要があります。まずは7年後の2031年明恵上人800回忌までを目標に復興に努めてまいりますが、よりよい境内にしていくには長い年月がかかる見込みです。土地の整備については、国や行政、文化財保護関係者の皆様と慎重に協議しながら堅実に進めていきたいと存じております。
復旧プロジェクトによってたいへん多くの皆様とご縁を頂くことができました。引き続き、皆様とともに高山寺を復興していくことができましたら幸甚と存じております。今後ともご理解とご協力の程何とぞよろしくお願い申し上げます。
【境内近況】
山内でも寒さ厳しい季節が終わり、暖かな日々が続いています。例年よりやや遅れて桜が咲き、もみじなどの新緑も少しずつ開いてまいりました。一日一日景色が大きく変わっていく季節を迎えています。
復旧工事の際に土留めのため植林したもみじが芽吹いてまいりました。