活動終了報告
クラウドファンディング成立から1年、活動終了報告です。
ご承知の通りコロナ禍で、当初の計画から大きく変わってしまったことをお許しください。
対馬は離島ということもあり、訪島にかなりの緊張を強いられました。
予定の飛行機が欠航したり、定宿の民宿から断られたり、地元で調査している人とは、事前にメールで情報を交換し、現地ではお互いにそれぞれの車に乗ったまま、携帯電話でやり取りするなど、「カワウソ調査」は不要不急なのか?!という問題です。
もちろん野生動物調査は「必要・緊急」と考えていますので、無理のない範囲で活動しました。
そんな折、高知県の西南部で以前からニホンカワウソの撮影を試みているグループから、「撮影成功!」のニュース。

7月には、共同代表の前田が対馬、私が高知に行くことにしました。
カワウソを始めて30年・・・まさか2か所を分担して調査に行く日が来たとは!と感動しました。


「タール便」があるということは、複数頭いることを表します。
成果報告
①対馬空港にクラファン協力者の銘板を表示した実物大フィギュアを贈呈設置。
空港側も喜んでくれて、季節によってカワウソにスイカバーやサクラの小枝を持たせるなど、空港のアイドルになっています。
②高知県越知町観光協会に実物大フィギュアを贈呈設置。
これは、高知県の行政がカワウソ目撃情報の窓口を一本化するという目的です。
このおかげで今までは「誰に話しても信用されないだけだ・・・」と消極的だった目撃情報が立ち消えずに済むことになります。
現に先日も仁淀川で有力な情報が入り、土井さんたちのグループが調査した結果、河原でフンを見つけてDNA検査中です。

③「カワウソ研究会」Webサイト立ち上げ
本来なら韓国から研究者たちを招聘して、日韓合同調査をするつもりでしたが、コロナのために断念。
そこで意見交換のできる場としてWebサイトを立ち上げました。
まだ立ち上げたばかりで更新は滞ってますが、随時、最新情報を載せていく予定です。
④ツシマカワウソのポイントを絞り込み、国内初の「張り込み」ができました。
4回(内、高知1回)対馬に訪島することができました。
<収支内訳>※端数割愛
みなさまからご支援いただいた資金は
・カワウソフィギュア製作費2体 20万円
・プレート製作代2万円
・対馬訪島4回 40万円
・Webサイト製作費 60万円
・赤外線カメラ購入費 6万円
・滞在費 6万円
・Ready for 手数料 27万円 を大事に使わせていただきました。
リターンの送付は海外の方を除きすべて完了しておりますが、万が一お手元に届いていない方がいらっしゃいましたらご一報いただけますと幸いです。
クラファン前からですと、対馬訪島は全6回になります。
地元の人の協力が大きいのですが、わずか6回の訪島でカワウソ生息場所のポイントを絞ることができました。
何よりも大きかったのは、その場所が、最初に訪れた時に「ここにカワウソの巣箱を設置したいなぁ・・・」と漠然と思った場所だったのです。
また、琉球大学が撮影に成功した場所は今もって明かされていませんが、どうやらこの場所でした。

それはとりもなおさず、私の30年間のフィールドワークの蓄積が「カワウソの目線」にしてくれたということです。
真っ暗闇の中、赤外線カメラを覗くファインダーが何度か曇りました。
これは、「ついにこの日が来た(国内でカワウソを夜間張り込みできる日)」という感動でしょう。

星がきれいなことと、朝日が遅いことに初めて気が付きました。
ニホンカワウソはいます!
40年間ひっそりと生き残っていました! しかも対馬と高知に!
みなさんのクラウドファンディングのおかげで、それを確信することができました。
仕掛けカメラを何台か仕掛けてきましたのでいずれ写るでしょう、でもこれは時間の問題でしかありません。
カワウソのために何ができるでしょう?
生息地が、高速道路建設や大規模な護岸工事に引っ掛かっているのなら、今すぐに工事中止を求めるなど、保護・保全の手を差し伸べなければなりません。
しかし、日本各地は過疎・高齢化が進み、そんな地域に高速道路を作ることはないでしょう・・・むしろ、40年間誰も入り込まなかったからこそカワウソが姿を現わしたとも考えられるのです。
何もせずに、「生き残っていた」ことを喜び、それを普及し、日本の自然の凄さを伝えて行くことで見守りたいと思います。
・・・私は見ることが出来ませんが、30年もすればカワウソは、普通に見られる動物になるかも知れません。


クラウドファンディングとしての活動は一旦終了しますが、現在対馬では、廃校を利用した宿泊施設を作る動きがあります。
そこで地域の人たちとの交流を図り、地域振興の目玉にしていきたいと活動しているのです。
そこに「ツシマカワウソの常設展示資料室」を設置して、ヤマネコとカワウソの片利共生を紹介することができたらと願い、地元の人の協力を得て計画を進めています。
クラウドファンディングに共感していただいたみなさま、本当にありがとうございました!