プロジェクトの終了報告と今後のステップについて
◆支援してくださった皆様へ
JWCSの目指す「野生の世界は野生のままに」を達成するための一歩としての、ワイルドライフカレッジ開講へ多くの方がご支援してくださいました。
野生生物の保全には、わたしたちNPO法人のスタッフや行政、それぞれの専門家や研究者だけでなく、さまざまなバックグラウンドを持つ多様な方々との協力が欠かせません。
この度は暖かい応援コメントやご支援、誠にありがとうございました。
活動の中で、直接皆様からのご意見やコメント等をお聞きできる機会があまりない中、このようにご寄付や応援コメントをいただけて、プロジェクトの実施ができたこと以上に嬉しく思います。
この後もフィールドワークや後期ウェビナー、演習ゼミや観察会がありますので、ぜひみなさまと一緒に野生生物保全に取り組んでいきたいと思っております。
セミナーや観察会などでみなさまにお会いできることを大変楽しみにしております。
◆前期ウェビナーについて
多くの方々にご参加いただいたワイルドライフカレッジの前期ウェビナーは、全4回に渡り開催されました。
それぞれの回の内容と、受講生からいただいた感想を掲載させていただきます。
※ウェビナー後のアンケート原文まま
1.「ファジー(曖昧)な用語で市民権を得た生物多様性」
講師:小川 潔(JWCS理事・東京学芸大学名誉教授)
日程:2022年7月20日 19時30分〜21時
内容:“生物学的多様性(Biological diversity)”ではなく、“生物多様性(Bio-diversity)”という言葉で世界的に普及した概念を、タンポポ類を例に解説しながら、生物多様性保全の基本を考えていきます。
#生物多様性 #種分化 #タクサ(分類群) #地理的隔離 #自然選択と偶然性 #生物間相互作用
《受講生からのご感想》
・知っているつもりでも、正確に理解していなかったり、身近なタンポポでさえよく知らなかったりで、とても勉強になりました。在来種の動植物が居心地良く生きられるような環境作りも学んでいけたらと思います。ありがとうございました。
・ 身近であるタンポポの生きる姿を改めて感じることができました。タンポポの種類の多さを初めて知りました。無関心を反省しております。遺伝子や外来種、多様性に関するお話も大変勉強になりました。クイズもとっても盛り上がりました。次回もとっても楽しみです。ありがとうございました!
・専門的な内容を、一般市民の自分にもとても分かりやすく、とても勉強になりました。西洋タンポポを駆除しても在来タンポポが増えるわけではないということは、驚きました。正しい知識なく環境を改変してしまうことの恐ろしさを感じました。次回が楽しみです。ありがとうございました。
2.「身近な自然と、私たちができること」
講師:小川 潔(JWCS理事・東京学芸大学名誉教授)
日程:2022年7月27日 19時30分〜21時
内容:生物多様性保全の具体的な現場で起こる悩ましい問題を通して、活動する上で心がけたいことや、社会的な理解を拡げていくことの重要性について考えていきます。
#外来種と在来種 #雑種形成 #餌やり #保全活動の目標 #普通種の減少 #アンブレラ種の活用 #地域のアイデンティティ形成
《受講生からのご感想》
・とても勉強になりました。ありがとうございました。生物多様性保全はとても大切なのに、守ることがとても難しいということがよく分かりました。正しい知識を持つことは生物多様性保全の第一歩ですね。自分はなにができるのか、学ばせていただきたいと思います。次回も楽しみです。よろしくお願いいたします。
・専門の方々には常識でも一般には知られていないことが多く、大変勉強になりました。放課後にも大切なことを話されるので、できるだけ出席したいと思います。でも時間が間に合わなかったり、もう一度聞き直したい部分もあるので、録画でも拝聴できるのが大変ありがたいです。
・ゴールは、「地域の自然史に反映したもの」というお話に大変感銘を受けました。また、マスコミが視聴率稼ぎに、クマをはじめ、最近はサルやイルカまで、その背景も調べずに一方的に危険だと報道しておりますが、それに対して「社会の既成イメージを容認してはいけない」というお話も心に響きました。ありがとうございました!最近は、道端や周辺に咲いているタンポポを見るのが楽しみになっています。次回も楽しみです!
3.「“賢明な利用”とはなにか、誰にとっての“賢明な利用”なのか」
講師:湯本 貴和
日程:2022年8月3日 19時30分〜21時
内容:自然を利用して利益を得る人たちと、その結果として自然枯渇や自然災害などの被害を受ける人たちは必ずしも同一ではありません。この隔離が対応の遅れや事態の深刻さが伝わらない原因になっています。この隔離によって生まれる問題の対処方法について、考えていきましょう。
#自然資源の利用 #持続可能な利用 #自然の枯渇や災害 #受益者と負担者
《受講生からのご感想》
・ 大変勉強になりました。ありがとうございました。生物多様性があるからこそ、生態系サービスが安定し循環していくのだと思っております。気候変動問題対策として手っ取り早く単一な樹木を植樹するような対策は、効果は早く出ても、持続可能ではないように思えます。人獣共通感染症などの新興感染症も、宿主である生物が減少すれば、新たなる宿主を求めて出現してくるのではないでしょうか。生物多様性保全の重要性と難しさを感じました。
・本日も貴重なお話をありがとうございました。「政治権力から独立した学問やジャーナリズムの重要性」、「情報を読み解くリテラシーと真の民主主義」、「重層したガバナンスの確立」は、絶対今の日本に必要だと痛感します。マスメディアの影響で、お話に出ていたロマン追求型の「なんちゃってマタギ」のような方々が私たちの住んでいる地域で、ちらほら出現しています。山に入って、自然の声を聴き、生きていくためのマタギではなく、ロマンやスポーツ感覚だけで野生動物の命を奪って、食料や衣料品はスーパーやデパートで購入しているのを見ていると、住んでいるものとしては毎回心をえぐられます。「海のエコラベル」を拝見しまして、「そういえば、アフリカで見た!」と思い出しました。日本もフェアトレードマークのようになってくれば良いなと思います。遅くまで本日もたくさん学ばせていただきました。ありがとうございました!
4.「地球サミットからSDGsまで 進展する市民活動、グ・ローカルの視点から」
講師:古沢 広祐 (JWCS理事・國學院大学客員教授)
日程:2022年8月10日 19時30分〜21時
内容:「ローカル」な自然保護が、「グローバル」な地球環境問題と密接につながっています。国際環境条約やSDGs(持続可能な開発目標)がどのように生まれたか、市民セクターがはたしてきた役割、これからの地球市民が目指す自然共生ビジョンについて、幅広く考えましょう。
#地球サミット #SDGs #国際環境条約 #市民活動 #自然共生
《受講生からのご感想》
・短いお時間の中で、大変詳しくお話いただいて資料もご提供いただきまして本当にありがとうございました。今までもSDGsのセミナーに参加しましたが、本日のセミナーでSDGsの「努力目標」、「道筋」、「大きな土俵」というキーワードをいただいて、とてもよく理解できました。ワンヘルスのお話もとても興味深かったです。日本の江戸時代の良さが痛感できました。日本人とワラとの関係性もよく理解できました。私も自分史の中でこれまでの社会情勢を振り返ってSDGsを考えてみようと思います。自分ごととして捉えることができました。
・私には少し盛りだくさんで消化出来なかったので、今回もアーカイブで復習します。会議や条約のお話などもう少しゆっくりご解説聞けたら嬉しかったです。 前期の講座ありがとうございました。講座のおかげで一歩進んで考えられる話題が増えた気がしています。後期も楽しみにしています。
・ 大変貴重なお話しをありがとうございました。大人の世代が壊してきてしまった地球環境について子供たちが一生懸命に学び、そのつけを支払ってゆくことに、大変申し訳なく思いました。大人として責任を持ち、学び、社会を変えてゆく推進力の歯車になっていきたいと思いました。ありがとうございました。
◆リターンについて
全てのご支援者様へ、すでにリターンの送付を終えています。
ご不明点等ありましたらご連絡ください。
また、全ての支援者の方のリターンの中にメルマガ配信があります。
こちらですでにご登録いただいたメールアドレスにて、メルマガの仮登録を行なっています。
メール認証のために「まぐまぐ」からメールがきているかと思いますので、ご登録の程よろしくお願いいたします。
迷惑メールフォルダに入っている可能性もありますので、ご確認をお願いいたします。
◆今後について
まだまだ野生生物保全のために何かができるようになるまで、いくつものステップがあります。前期はその1ステップでした。
次のステップである後期ウェビナーは10月12日から!
保全の理論を学んだ後は、「保全活動の事例」を一気見できる後期ウェビナーです!
5.「ホエールウォッチングを通した海洋生物と人の関わりについて(仮)」
講師:水口 博也(海棲哺乳類等の野生生物を対象とした写真家)
日程:2022年10月12日 19時30分〜21時
#ホエールウォッチング #海洋生物 #野生生物との関わり
※第5回のみのPeatixページはこちら
6.「Global trade and consequences for biodiversity(世界貿易と生物多様性への影響)」
講師:Abhishek Chaudhary(スイス連邦工科大学助教)
日程:2022年10月19日 19時30分〜21時
野生生物の保全には、各国の消費と国際貿易よる世界中の生物多様性への影響を理解することが必要。世界の土地利用と種の絶滅を調べたところ、現在の世界の土地利用の影響により、合計927の固有種が絶滅すると予測された。研究結果をもとに、世界貿易がもたらす地球規模での生物多様性への影響を考えていく。
#生物多様性 #世界貿易 #データで読み解く
※第6回のみのPeatixページはこちら
7.「西アフリカの砂漠化と「緑のサヘル」の活動」
講師:菅川 拓也(緑のサヘル事務局長)
日程:2022年10月26日 19時30分〜21時
アフリカ・サハラ砂漠の南に位置するサヘル地域では、砂漠化の進行によって多くの森林や動物が失われており、住民生活は危機的な状況に陥っています。砂漠化の現状とNGO「緑のサヘル」の取り組みをご紹介します。
#砂漠化防止 #植生の回復 #植林活動 #住民生計向上
※第7回のみのPeatixページはこちら
8.「ワシントン条約 CoP19における世界の野生生物保全の争点と主張」
講師:JWCS事務局スタッフ
日程:2022年12月7日 19時30分〜21時
11月に開催される3年に一度のワシントン条約(CITES)の第19回締約国会議(CoP19)の会場で、参加者(政府代表、NGO、研究者等)を取材する予定です。参加者の声から最前線の野生生物保全の論点を考えます。
#ワシントン条約 #絶滅危惧種 #国際環境条約 #国際取引
※第8回のみのPeatixページはこちら
◆継続寄付のお願い
当会の活動は寄付や会費によって行なっています。
持続可能な消費・生産を訴えている当会の持続可能性は、会員さまの高齢化や若年層の寄付者が少ないことなどを理由に非常に危ういです・・・。
当会のビジョン「野生の世界は野生のままに」に共感していただけ、特に野生生物の持続可能性の低い商業利用の対する取り組みに賛同していただけましたら、ぜひ継続寄付をお願いいたします。
また、500円から可能な単発のご寄付も可能です。
※当会は認定NPO法人です。寄付金・正会員会費は、所得税、住民税(※東京都)、相続税の優遇措置が受けられます。
詳しくは以下のHPをご確認ください。