未来に繋ぐ。奈良墨の歴史を支えてきた芸術的な墨木型に再び光を！

　今回の記事内でもご紹介させて頂きました、墨の普及活動の一環として始めた全国行脚「すみからすみまで墨のおはなし」。

 

　その第一回目の地として出向いたのは島根県津和野市。子供の教育にひと際力を入れられている全国でも有名な地域です。今回はそんな津和野にある保育園「うしのしっぽ」と、地元の小学校である日原小学校で墨を使ったワークショップを行ってきましたのでご報告します。

 

　子供達に少しでも墨に触れる時間を提供したいというのが一番の目的。その中で「墨を磨る」ということに少しでも没頭してもらえたらと思っていましたが、子供達のパワーと発想、そして無垢なセンスは素晴らしいの一言でした。写真を通して少しでも感じ取って頂ければ幸いです。

 

 

◆うしのしっぽ

　大自然の中、自分達でその日にすることを決めていく保育園。子供達の自主性を凄く大事になされています。そんな保育園で行ったワークショップは「素材に触れる」がテーマ。子供達に用意したものはまさに素材（固形墨・生墨・筆）のみ。後は山小屋の内から外に広げた大きな紙のみでこちらからの「指示は一切しない」というもの。

 

　文面でとやかく言うより写真で見て頂いた方が非常に分かり易いのでまずは以下の写真をご覧頂ければ幸いです。

 

 

 

 

 

 

◆日原小学校

　清流日本一で有名な高津川の川沿いにある日原小学校。学校のすぐ隣にある急な階段を下りればそこは沢山の石が川沿い一面に敷き詰められるように転がっています。

 

　日原小学校では、まず最初に墨のおはなしや作る実演を見てもらい、休憩時間に皆で川に石を拾いに行き思い思い自分の石を選び、2時間目に教室に持ち帰った石で墨を磨り、紙に色々書くというワークショップを行いました。

 

　地元の芸術士と呼ばれる職員の方のご協力もあり、地元の和紙である「石州和紙」を贅沢に使いながら、沢山の野菜の絵を書くという授業も。写真を見て頂ければ分かりますが、子供達のセンスは抜群です！！

 

 

 

　子供達にあまり縛りの無い比較的自由なワークショップを行う時点で予想はしていたのですが、子供達の無垢な発想とセンスは簡単に大人を飛び越えてきます。中には教えてもいないのに、自分で墨を磨りだす園児もいました。最初のきっかけはどんな形でも写真のように子供達は自分達で自然とその素材や表現方法を理解していきます。

 

　今後も活動の中で自分が出来ることはそのきっかけを作ることだけ。そこから子供達が興味を持って自発的に次の行動に移していってくれるのを切に願い、今後の墨を伝える活動を続けていきたいと思います。