支援総額
目標金額 900,000円
- 支援者
- 209人
- 募集終了日
- 2022年11月30日
倉敷市楯築墳丘墓出土特殊器台修復プロジェクト
#歴史
- 現在
- 2,550,000円
- 寄付者
- 216人
- 残り
- 4時間
小さなお寺の大切なたからものを一緒に守り、伝えていただけませんか
#地域文化
- 総計
- 116人
吉村作治エジプト調査隊、存続の危機!
#地域文化
- 現在
- 7,455,000円
- 支援者
- 372人
- 残り
- 50日
「防衛技術博物館を創る会」のマンスリーサポーターを募集します!
#地域文化
- 総計
- 342人
鳥サポーター募集中|鳥と人の共生を目指す活動にご支援を!
#子ども・教育
- 総計
- 31人
引退競走馬にセカンドキャリアを!!
#動物
- 総計
- 103人
ヤンバルクイナの郷基金〜世界自然遺産 やんばる〜
#まちづくり
- 総計
- 3人
プロジェクト本文
終了報告を読む
【目標達成の御礼とネクストゴールのご報告】
この度は皆様から沢山の応援を頂き有難うございます。
開始から1週間が経過しましたが、おかげ様で当初の目標を達成させて頂きました。
直接応援して下さった方、今回の記事を沢山の方にシェアして下さった方々のおかげです。
本当に有難うございました。
当初のお約束通り、今回頂いた応援の分は今後の墨の魅力を伝える新たな商品開発費用や墨の普及活動費にしっかりと充てていきたいと思います。またそちらは都度、ホームページやSNSなどでもご報告して参りますので、今後の活動を見守って頂ければ幸いです。
そして一点ご報告があります。
この度、当初の目標を達成したこともあり、次のゴールを目指してチャレンジすることになりました。
新たな商品開発に関しては一定の区切りがあるものの、墨の魅力を伝える普及活動は今後も半永久的に終わりません。自身の体が動く間は可能な限り続けていきたいと思っています。
今回の応援に加え、より安定して今後も長期間にわたり、墨の普及活動に専念していけるよう新たにネクストゴールを設定し、皆様からの応援をお願いしたいと思います。
目標設定額は250万円、当初の目標値との差額は、今回の記事の中身にも記載させて頂いている墨の普及活動の一環として実施している全国行脚「すみからすみまで墨のおはなし」の交通費及び経費に全額充てていきたいと思っています。
改めて、皆様からの応援、また周囲の方への記事のシェアをお願い致します。
※仮にネクストゴールの金額を達成できなかった場合も、自己資金を元に実施はさせていただく予定ですが、皆様からの多くのご支援いただけますと幸いです。
奈良の伝統工芸品「奈良墨」の製造元「錦光園(きんこうえん)」の墨匠 長野睦と申します。
昨年のクラウドファンディングのご報告。
昨年、一度レディーフォーにてクラウドファンディングに挑戦させていただき、大変有難いことに多くの方からご支援をいただくことができました。
ここでの結果は、不安を抱えながらプロジェクトを進めてきたため、私たちにとって大きな後押しとなり、多くの方に応援・ご支援いただけるプロジェクトだという強い自信にも繋がりました。
ご支援いただいた皆様本当に有難うございます!
ご支援の使用用途としてお伝えしておりましたのは以下の2用途でした。
1 これまでとは違った奈良墨の価値を感じていただける商品開発の費用
2 奈良墨の案内役として奈良墨認知拡大のための活動費
「1 これまでとは違った奈良墨の価値を感じていただける商品開発の費用」
については、今回のプロジェクトと深く関わるものとなったおり、後述させていただく「おはじき墨」の開発にかかる各種費用に充てさせていただきました。詳細については後ほど書かせていただきます。
「2 奈良墨の案内役として奈良墨認知拡大のための活動費」
こちらに関しては、当初、墨の普及活動に使用していた経費を自前の持ち出しで行っていたので、こちらの補填費用として使用させていただく予定でした。
しかし、クラウドファンディングの反響がここまでとは想定しておらず、予想の何倍も全国からご支援をいただきました!
まだ固形墨、奈良墨、期待されていることがあるのかもしれない。灯火は弱くなっているかもしれませんが、全国各地に応援していただける方がいるのであれば灯火を強めるような活動がしたいと考えるようになりました。
そこでこれまでの活動以外にも、昨年の応援して下さった皆様にお返しの意味合いも兼ね、そのひとつとして始めさせていただく活動が墨の普及を目的とした全国行脚「すみからすみまで墨のおはなし」です。
全国行脚「すみからすみまで墨のおはなし」
コロナ禍などの理由もあり始めることになった、「オンラインで墨作り体験」。これによって世界中どこにいても奈良墨を身近に感じていただけるようになりました。
でも同時にリアルの大事さを考え直すきっかけにもなりました。
「すみからすみまで墨のおはなし」はオンラインではなく、場所と集まる人さえご提供・ご準備していただければ、「無料」で全国各地に直接私自身がうかがいます。
もちろん、墨の普及を目的としてるため、講演や製造実演をお見せしたり、墨磨り体験などのワークショップなど、ご要望に応じて臨機応変に墨の魅力を知って頂く機会を設けさせて頂きます。
(※材料が必要な体験は一部材料費をいただきます)
来訪先の地域の皆様や学校での活動を通じて、墨をより知っていただきリアルな繋がりを皆さんと持つことが目的です。
◆『すみからすみまで墨のおはなし』詳細 ※錦光園WEBサイトより
そんなことをしてどうなるの?と思われる方もいるかもしれません。ですが、奈良墨の歴史もこうしたわずかな一歩一歩の積み重ねから今があります。
私たち現代の担い手もこうした積み上げを改めてしていく必要がある。
伝えたいことは墨の歴史や知識だけでなく、温度や熱量でもあります。これはやはりリアルでより鮮明に伝わるものだと考えています。
そして何より、自分が行動を起こすことにより、旅先でご縁のあった方お一人お一人が行動を起こしてくれるかもしれない。
小さな流れを大きく太くしていくことがこの全国行脚の目的です。
ある方が錦光園を「フットワークの軽いインディペンデント墨屋」と言ってくださいました。まさにその言葉通り、これからもこうした活動を通して自由な形で奈良墨の魅力を伝えていきたいと思います。
でも、まだまだ課題は山積み。。
これまで沢山の墨の魅力や産地の状況を伝える活動を行ってきました。
その中でも産地が抱える深刻な課題の一つが、製造する際に墨の形を整え、墨の表面に緻密で繊細な模様や字を施す「墨木型」の存在です。
今回、私たちは奈良墨の伝統の継承に必須である「木型」が、その技術や文化を途絶えかけているということをお伝えしつつ、どうにかして守ることができないかと考えプロジェクトを立ち上げました。
変わらない、奈良墨。
錦光園は代々、書道や絵で使われる固形の墨を作る墨屋で、自分で7代目になります。
奈良墨。。そもそも墨って皆さんご存知ですか?
火をつける「炭」ではなく「墨」です。炭のことと思われる方もいらっしゃいますが、私たちが作るのは「墨」です。
また墨といったときに「墨汁」を思い浮かべる方も少なくないと思います。近年では学校の書道の授業の時間に、書く時間を確保するため墨汁を使われる学校が多いと聞いています。墨汁はすでに液体状なので出すとすぐに書くことを始めることができます。
磨(す)られる機会が無く、書道セットの中で鎮座する固形墨、現在若い方に聞くと“四角くて黒いもの”が何かを知らない方もいいます。やはりこの状況は作り手として少し寂しいものです。
奈良墨に代表される固形墨。
固形墨はまず“する”必要がありますので、何ぶん色々なものに追われる現代では「時間」という観点から書道を嗜む方の中でも固形墨を使われない方もいらっしゃるようです。
ただ、そうした学校の授業や、書道家の方が時代と共に変化していくことを否定してはいけないとも考えています。
変わるべきは自分達の方だとも思っています。
日本での墨の歴史は1000年以上あると言われています。錦光園の創業はたかだか約150年前。そのとてつもなく長い歴史の中で墨がずっと変わらずここまで続いてこれたことがそもそも奇跡に近いことなのかもしれません。
変わらなければいけない、奈良墨。
1000年以上形が変わらないもの。身の回りを探してもそう多くはないはずです。ましてや製法や原料含めて変わらないものなんて固形墨以外にあるのでしょうか。
変わらないままで必要とされるものであることも大切なことですが、時代が変われば人の生活やスタイルは変わります。
奈良墨の衰退と書かせていただいているように、このままでは時代に取り残されていってしまうような危機感が強くあります。長い歴史がある奈良墨も変わる時を迎えているのだと感じています。
とはいえ、何もかも変えてしまうということも少し違うと思っています。
墨守としてのあるべき姿
錦光園の理念は「墨守(ぼくしゅ)」です。
ここにあるように私たちは「墨を守る」ことを理念としています。
でも、[守ること=変わらないこと]ではありません。墨を守るために変わっていくこともいま考えることなのだと思います。
守りながら変わる、難しい課題ですが墨守として取り組まなければいけない。
例えば形を変える、香りを変える、使い方を変える、など。これまでの奈良墨では接点がなかった方にも、変わることで奈良墨が必要とされる関係づくりができる。
その考えのもと、これまで「香り墨」やお菓子の木型を使った墨を手がけたり、
オンラインで墨職人体験ができる取り組みを行ったり、
他にも、送料無料でお客様のもとへ墨のサンプルを届け、自由に試墨を楽しんでもらう「試し墨」や学校での墨づくりに関するオンライン授業、様々な場所に出張してのワークショップなど、「墨守」として何ができるかを考え、必死になって取り組んできました。
新たな墨の提案「おはじき墨」
そして今回新たに挑戦したのが、新しい奈良墨の使い方や形、あり方を考え直した新しい商品「おはじき墨」です。
奈良墨の製造工程は元来、
①型屋さんの木型製作
②墨屋で型に墨を入れ形を整形し乾燥させ固める
③磨き屋さんで表面を洗い、磨き仕上げ
④彩色屋さんで彩色仕上げ
(※自社内で全ての工程を行う事業者さんもあります)
という分業体制で成り立っています。乾燥の工程に短くとも半年以上の期間が必要で、乾燥期間も日々置き方や場所を変えるなど、とても時間と手間がかかってしまうものづくりです。
この中で、木型は木型職人が様々な依頼を受けて彫刻で彫り作り上げていきます。
熟練の職人が手がける木型はそれそのものでも芸術品です。美しく繊細で細かな模様やデザイン、木型を見れば職人の圧倒的な技術が素人目にも明らかです。
分業体制の弱点
繰り返しになります、奈良墨の製造工程は分業で成り立っています。いずれかひとつの工程が欠けてしまうとこれまで通りにはいかなくなってしまうのですが、いずれの工程も職人さんの高齢化や後継者不足が深刻です。
その中でも木型彫刻を専門の職業とされている職人は奈良にただ一人です。
こちらは唯一の木型職人中村さん、私も師事させていただき木型づくりを学ばせていただいております。
錦光園としても中村さんに長年木型の依頼させていただいてきました。その技術と功績から黄綬褒章も受けているという職人の中の職人。
こちらは中村さんが手がける1000文字木型。人差し指の爪の中に10文字近くは収まっています。恐ろしいほどの集中力と技術です。
(奈良墨のひと=錦光園が奈良墨に関連する方々をご紹介する企画)
「おはじき墨」誕生のきっかけは工場に積まれたダンボール
でもそんな木型も、形状やデザインが廃盤になったり、製造元が廃業されたりすると活躍する場所を失ってしまうのです。木型職人が魂を込めて彫り上げた芸術的で美しい木型。
墨屋にとっては木型無くして墨を製造することが出来ず、墨木型は「墨屋の魂」といえるもの。
元来、錦光園は他の大きな墨屋さんからの下請けを行っている墨屋でした。ただ注文を頂いていた墨屋さんや小売店も時代の波と共に、そのほとんどが廃業していきました。その結果、沢山の廃業された墨屋さんの木型が錦光園に流れ着くことになったのです。
一部の墨木型は再利用も出来るのですが、当然、墨の需要が落ち続ける中、我々もその流れついた木型を再利用するほどの余裕はなく、ダンボールにしまいこみ、何年も工場内の棚の上に放置されたままになっていました。
今はもう使われなくなってしまった墨の木型だけど「何とかもう一度活躍の場を与えてあげたい」と常々考えていました。
そんな中、2年前のある時いつものように作業を行い、休憩中にふと棚を見上げて視界に入ったダンボール「これならどうだろう」と試しに小さな生墨を墨木型の表面に押し付けてみました。これまでにない小さな墨と美しい模様。これが「おはじき墨」誕生のきっかけ。
「おはじき墨」今どきの商品化秘話
実は「おはじき墨」の正式商品化のきっかけはSNSでした。
前述していたいように仕事中に試作しSNSに投稿したところ、沢山の方から「欲しい!」というご意見を頂いたのです。
当初は視覚で楽しむものとしてご所望されているのかなと思っていたのですが、驚いたことに「磨って書く実用品として使う」というご意見を沢山頂いたのです。
大量の墨は専門家でもない限りそこまで必要がない、楽しむ為にほんの少しだけあれば良いということが手にとられた方々とのやりとりで分かりました。その後もSNS上で頂いた沢山の皆様からのご意見を踏まえ、本格的に製造を始めることになっていくのでした。
そういった過程で出来上がった「おはじき墨」ですので、皆様と一緒に作り上げた感がしてならないのは自分だけでしょうか。笑
「おはじき墨」がもたらすもの
おはじき墨は、「おはじきサイズ」の小さな墨です。磨って使うということだけでなく、まるでおはじきのように見て楽しむ、持って楽しむという特徴を持った奈良墨です。自然とその美しい木型のデザインに注目していただけるはずです。おはじきのようにそのものの美しさを身近に置いて楽しんでいただければ幸いです。
身近に置いていただくことで、木型職人の芸術的な技術を身近に感じていただければとも思っています。
そこから素晴らしい技術が奈良墨の木型にはあるということに少しでも目を向けていただけると嬉しいです。そして知っていただくことで職人の後継者問題にも少しでも光が差せば何よりです。
※今回のおはじき墨の意匠全てが中村さんの手がけたものということではございません。
世界にただ一人の墨型彫刻師の作品
今回木型の素晴らしさを知っていただくために、中村さんに新たに十二支をモチーフにした専用の木型を彫っていただきました。
十二支いずれも素晴らしい仕上がりで、あらためて中村さんの彫刻での卓越した表現力を体感いたしました。
「おはじき」といえば、のパッケージ。
大きさを見て、直感的に名付けた「おはじき墨」。
気軽に持ち運んでいただいて、気軽に使う。
そんな風に奈良墨に接していただきたいと思っていたので、自画自賛ではありませんが、この名前は振り返るとすごく気にいってます。
しっかり乾燥させた墨はそう簡単に割れるものではありません。おはじきのようにじゃらじゃらと袋で持ち運んだり、気軽に袋に入れて収納していただくような使い方も良いのでは?と、おはじき墨のパッケージは従来の桐箱ではなく「袋」にしました。そうすることで書の固形墨としてだけではなく香り袋のような使い方も生まれました。
この袋にも実はこだわりが詰まっており、お名前は伏せさせて頂きますがとある方の協力のもと大変貴重な裂を使用させていただいています。
また裂袋の製作も地元奈良で和裁の伝統を守ることに尽力されている「大原和服専門学園」さんにもご協力いただき、それ自体で価値を感じていただけるものに仕上げました。
製作して頂いたのは大原和服専門学園の生徒さん達。
この袋の製作自体もここでは語れないぐらいの沢山のストーリーがありますので、そちらは以下をご覧ください。
◆大原和服専門学園 取材記事 ※錦光園ブログより
墨としてだけではなく、その袋さえも愉しんでいただける。
おはじきのように集める楽しさがあり、愛でる愉しさがあり、さらに香りを愉しみ、墨として磨り、書いて愉しむ。
そんなこれまでにない奈良墨が「おはじき墨」です。
奈良墨に関係する職人、人々に光をあてる
墨の魅力を再発見して頂けるような「おはじき墨」のような新商品開発以外にも、錦光園が取り組むもうひとつのこと。何度も繰り返しにはなりますが、それは奈良墨業界全体に目を向けてもらい、興味を持っていただくこと。これを私たちは「奈良墨の案内役」プロジェクトとして取り組んでおります。
具体的には一部前述でもありましたが、
・オンラインを使用した学校教育現場で墨作りについて紹介
・出張での講義や墨作り体験
・墨の作り手を紹介する取材&webページの作成
・さまざまなイベントでの奈良墨啓蒙活動
・香りにフォーカスした新商品開発
・SNSを中心とした日々の情報発信
・ご自宅に墨を無料で届け、実際に墨を磨って試し書きが出来る取組み etc
◆教育現場でのオンライン授業や出張体験の風景
SNSでの情報発信も活発に行なっています。
もちろん書道などを介して奈良墨に触れていただけることが一番の理想です。
でも「奈良墨の案内役」として考えなければいけないもうひとつの点は、これまで固形墨に触れてこなかった方がどうすれば触れていただけるか、どうすれば生活の中に奈良墨というものが入っていくことができるか。
奈良墨の案内役としても今回のおはじき墨のような、これまでにない固形墨はとても意味のある商品だと考えています。
奈良墨の案内役としての自分の活動はこれまでの墨業界の方々からすると、??なこともあると思いますし、日本における固形墨の歴史から見ても変わったことをしているのかもしれません。
どれだけ歴史があろうと生活スタイルが変われば「道具」は変わらないといけない。変わるためにはチャレンジしないといけない。伝統を継ぐために変わっていこうと考えています。
恐らく日本でも一番小さな墨屋の一職人の自分が勝手に墨の業界を語ることは少しばかり気が引けますが、Uターンで戻ってきた自分だからこそできることだと信じて取り組んでいます。
奈良墨の新たな価値創出のため
1000年以上の歴史があっても新たな製品が生み出せるということに最近では自分自身が少し驚いています。
以前のクラウドファンディングでもご紹介した「香り墨Asuka」は香りに、今回の「おはじき墨」は木型とその意匠の美しさや持つ楽しみ、それぞれ視点を少し変えて奈良墨の新たな価値を創り出すべく試行錯誤を繰り返しております。
あまり知られていないのですが、固形墨の製造には販売できる状態になるまで、最低でも一年以上はかかります。
何より形を作り上げたあとの乾燥にとにかく手間と時間がかかる。場所を変え、置き方を変え、日々乾燥具合を確認しながら長期間ゆっくり丁寧に乾燥を進めるのです。
そのため新商品の開発がとにかく時間がかかるし取り組みにくい性質があるため、チャレンジングな製品が生み出されにくかったのかもしれません。
奈良墨に残された時間は多くない
あまり自身で言うことは憚られますが、奈良墨には伝統を継承していくための時間が多く残されていないと思っています。お伝えしたように木型専門の職人は中村さんおひとりですし、他の分業の職人さんたちも廃業が進んでしまっています。
正直言ってしまうと「焦っています」。分業ゆえにどこか途絶えてしまうと、一気に奈良墨の幅が狭まってしまいますし、場合によっては奈良墨を継続して作り続けることができなくなる可能性もあります。
そしてその上、お伝えしたように固形墨は完成まで最低でも一年以上が必要。サンプルであったとしても、それが完成するまでには長い時間が必要なんです。新商品の開発も急ごうにも急げないということも私を焦らせていきます。
ですので、とにかく奈良墨の案内役として、そして墨守として、スピードを緩めず走り続けさせていただければというのが今の想いです。
皆様からのご支援は前回と同様に、
1 これまでとは違った奈良墨の価値を感じていただける商品開発の費用
2 奈良墨の案内役として奈良墨認知拡大のための活動費
として大切に使わせていただきたいと思います。
皆様のご支援をいただけますようどうぞよろしくお願い申し上げます。
リターンについて
今回のリターンである「おはじき墨」の開発は前回のクラウドファンディングでご支援いただいた一部も活用させていただき実現しました。こうしたご支援によるサポートに感謝しつつ、今後も奈良墨の認知拡大と伝統の継承に向けた取り組みを継続していきたいと思います。
抱えている問題はあまりに大きく簡単には解決しないものですが、ご支援いただく方々の協力があれば奈良墨の未来はまだ変えることができるはずだと信じています。このクラウドファンディング、そしておはじき墨を通じて、奈良墨・書道文化のことを知っていただく機会になれば大変嬉しく思います。
「おはじき墨のご紹介」
ここで改めてリターン品のおはじき墨のご紹介をさせていただきます。
〜コンセプト「五感で楽しむ女性の宝物」〜
女の子にとって、色とりどりの綺麗なおはじきは宝物であり楽しみの1つ。そんな女の子が大人の女性になった際の楽しみの1つに書道があります。小さな愛らしい墨に触れ、じっくり見入る。そして墨を磨る音、墨の香りを楽しみ、最後に心を整え書いていく。このおはじき墨と墨が織りなす空間が、大人の女性にとっての「宝物」になれば幸いです。
なお「女性」と言いましたが、もちろん「男性」の方々に使って頂けるのも大歓迎です!笑
使うのはほんの少しだけ
墨が必要な場面は様々です。ただ使用するのはほんの少しだけでいいという時。ちょっとした絵葉書を書く際や、仮名書き、写経、又は冠婚葬祭の際など。そんな時に是非この「おはじき墨」を使って下さい。「おはじき墨」は一般的な墨の大きさに比べて極端に小さく、気軽に墨磨りを楽しんでもらえる奈良墨です。
「磨る、書く」以外の楽しみを
元来、墨は磨って書くだけに留まらず、美術工芸品的な要素も持ち合わせ、見た目の素晴らしさの他に、墨そのものの香りを楽しむことが出来たりと、様々な魅力を兼ね備えています。
「おはじき墨」はそれらの魅力に加え、「おはじき」ならではの手触りも楽しむことができ、それら沢山の魅力を小さな袋に閉じ込めて皆様のもとにお届けします。墨の香りが大好きな方であれば「墨の香袋」として使用して頂くこともおすすめですし、大事な方へのプレゼントと等にも使って頂けると嬉しいです。
《リターン品》
*その① おはじき墨 | 廃業された墨屋さんの木型復活ver(数量限定)
こちらは実際に過去、墨木型として使用されていましたが、前述でもお伝えしていた活躍の場を失ってしまった木型を復活させたおはじき墨です。2年前、試作品をSNSで公開させて頂いたのもこちらになります。
※なお、こちらのパッケージは「桐箱」ですのでご注意ください
*その② おはじき墨 | 唯一人の墨型彫刻師、中村さんが手がけた十二支ver
日本に唯一人の墨木型を専門職で行う職人、中村さんに依頼して彫っていただいた十二支を12個の奈良墨にしました。擬人化された十二支を墨の木型に彫っていただいたのですが、やはり中村さんの表現力には毎回驚かされます。
繊細でどこかユーモラスなタッチを墨の上に表現するため、細部まで配慮の行き届いた品格ある意匠に仕上げています。古今の日本の伝統と文化が響き合う、素晴らしい遊び心に触れてみてください。
『十二類歌合絵詞』をモチーフに
異類合戦物のお伽草子とされる室町物語に、「十二類絵巻」 とよばれる絵物語があります。
歌人に擬した十二支の歌合をきっかけに、狸など他の動物も巻き込んで合戦に発展する物語です。 十二支とそれには属さない動物たちが対立する構図や、各動物の個性が反映した描写も巧みです。歌仙絵や歌合のパロディとしても秀逸で、深い見識を有していることが伺えます。
おはじき墨の十二支の絵の原型とした狩野大学氏信 『十二類歌合絵詞』は、『十二類絵巻』 の冒頭の十五夜の歌合を独立させた作品です。
そこでは、月の歌を詠んだ動物の姿に、それぞれ固有の名前が記されています。宮廷貴族の伝統を踏まえつつ、豊かな連想に遊んだ、一流の知識人たちによる産物、これこそが今回の「おはじき墨」のデザインのモデルです。
裂袋のデザイン 『笹蔓手金更紗(ささづるできんさらさ)』
笹蔓手金更紗は仏教発祥の地、印度更紗の中でもその構図に非の打ちどころがないほどの端正さと高貴な趣があり、それが好まれて古くから各時代にわたって渡来してきています。
この更紗模様を再現し、前述の大原和服専門学園さんのご協力のもと、全て手縫いの「墨の香り袋」風に仕立てました。
*その③ 奈良墨再興応援コース
こちらのコースはリターンの品などは不要で応援のみのコースです。
ものづくりの職人としては、商品をお届けせずにご支援をいただくということは少し気が引ける思いですが、ものを必要とされない方向けに設定させていただきます。
*その④ 奈良墨再興応援コース (非売品・ワケアリ墨の福袋付)
基本的にはシンプル応援コースなのですが、「レディーフォー限定で少し変わったコースをご用意させていただきました。
錦光園の工房には事情があってお客様に手元に届かなかった奈良墨がたくさんあります。時間と想いをかけて作った墨を処分するのはどこか寂しくずっと工房の奥で眠っているものも少なくありません。今回それらの奈良墨をレディーフォー限定でみなさまの手元にお届けしようと思います。
若干の傷や割れなどがあるものもありますが、もちろん墨として使えますし、木型が墨に映し出す絵柄の芸術性は変わりません。ご自身で使用されるのも良いですし、お配りいただくのも良いかもしれません。
※内容についてはお選びいただけません。
- プロジェクト実行責任者:
- 長野睦(錦光園)
- プロジェクト実施完了日:
- 2022年12月31日
プロジェクト概要と集めた資金の使途
錦光園の担当者である長野睦が墨の新たな可能性を探る新商品「おはじき墨」を販売する。原材料費として200千円・パッケージ加工費、及びデザイン費として700千円使用する。
あなたのシェアでプロジェクトをさらに応援しよう!
プロフィール
長野 睦(ながの あつし) 約150年近く、奈良の伝統産業「墨づくり」を営む墨屋「錦光園」の七代目。 「分からいずらい墨の魅力を分かり易く伝える」を信念とし、墨の製造はもちろんのことながら、多方面に渡り、墨の魅力を伝える活動を日々行っている。
あなたのシェアでプロジェクトをさらに応援しよう!
リターン
4,000円+システム利用料
廃業した墨屋の木型で作った「おはじき墨」4点 | 4000円コース
◯墨屋の廃業により使われなくなった奈良墨木型を使用したおはじき墨 4点
(デザインはお選びいただけません)
◯お礼のメール
※墨のパッケージは桐箱です
- 申込数
- 88
- 在庫数
- 12
- 発送完了予定月
- 2022年12月
4,000円+システム利用料
奈良墨再興応援 | 4000円コース
ーーーーー
リターンをお届けしないかわりに、いただくご支援をできるだけ多くプロジェクト実施のために使わせていただくコースです
ーーーーー
◯お礼のメール
- 申込数
- 20
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2022年12月
4,000円+システム利用料
廃業した墨屋の木型で作った「おはじき墨」4点 | 4000円コース
◯墨屋の廃業により使われなくなった奈良墨木型を使用したおはじき墨 4点
(デザインはお選びいただけません)
◯お礼のメール
※墨のパッケージは桐箱です
- 申込数
- 88
- 在庫数
- 12
- 発送完了予定月
- 2022年12月
4,000円+システム利用料
奈良墨再興応援 | 4000円コース
ーーーーー
リターンをお届けしないかわりに、いただくご支援をできるだけ多くプロジェクト実施のために使わせていただくコースです
ーーーーー
◯お礼のメール
- 申込数
- 20
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2022年12月
プロフィール
長野 睦(ながの あつし) 約150年近く、奈良の伝統産業「墨づくり」を営む墨屋「錦光園」の七代目。 「分からいずらい墨の魅力を分かり易く伝える」を信念とし、墨の製造はもちろんのことながら、多方面に渡り、墨の魅力を伝える活動を日々行っている。