南極望遠鏡の目的(6)：電波で銀河誕生を見る

銀河は可視光できれいな写真が撮られています。しかし、実は多くの銀河は赤外線で最も明るく輝いているのです。星からの光を星間微粒子（ダスト）が吸収して暖められ、それが赤外線を放射しているのです。遠方の銀河から放射された赤外線は、銀河が我々から遠ざかっているために（ドップラー効果のように）赤方偏移して地上では（非常に高周波の）電波として観測されます。つまり、地上では、はるか遠方の銀河は電波で最も明るく輝いて見えるのです。従って、このような銀河を探査するには電波が最も有利なのです。

　ところがこのようなミリ波～サブミリ波～テラヘルツ波という超高周波電波は大気中の水蒸気によって吸収されます。これが大きな問題です。この大気中の水蒸気が地上で最も且つ圧倒的に少ないのが、南極内陸部の高原地帯なのです。