カメルーンの協定校ヤウンデ第一大学のアントワン・ソクパ教授からのメッセージ

アントワン・ソクパ

カメルーン共和国・ヤウンデ第一大学人文社会科学部人類学科・教授

ヤウンデ第一大学は1962年に設立されたカメルーン最初の大学であるにもかかわらず、財政的な困難と多くの学生の出身家庭が貧困であるために、学生に最適な指導を提供することに苦労しています。カメルーンでは他の全ての公立大学でも同様の状況が見られます。さらに、困難を乗り越えて高等教育を修了したとしても、卒業後の就職難という現実が多くの学生たちを不安にさせています。

ここ数年間に日本のいくつかの大学との間で立ち上がりつつある協力関係は、単に組織どうしの名目的な交流に留まらず、日本から来る教員・研究者とカメルーンの学生・院生との間の知的交流を通じて、こうした状況に新たな希望の光を投げかけるものです。例えば、ヤウンデ第一大学に在籍する大学院生やポスドクたちは、キャンパスを訪れた日本人研究者によるレクチャーやセミナーへの参加を通して、日本での研究動向について学び、刺激を得ています。

私自身も、京都大学で客員教員（2017年と2023年）としての滞在の恩恵を受けたことで、カメルーンの同僚と日本の同僚を橋渡しするのに役立つ経験を積んできました。日本での在外研究中に得た経験は、日々の教育研究を通じて、カメルーンの学生たちと共有しています。

2023年からはヤウンデ第一大学と東京外国語大学は、学生交換協定を締結しています。その最初の留学生として、現在カメルーンからはヴェルジィアンヌ・クマトウォ・イェマタさんが東京外国語大学に、日本からは佐伯綾香さんがヤウンデ第一大学に、それぞれ在籍して学んでいます。

これまで、カメルーンでは「TOYOTA」という自動車のブランドを通じて、また漫画というポピュラー・カルチャーや日本の援助によって建設された小学校を通して、日本へのイメージが作られてきました。これからの世代は、人間どうしの直接的な交流を通じた相互理解がよりいっそう大事になっていくことでしょう。交換留学の取り組みは、そのためのひとつの重要なステップになるに違いありません。皆様のご支援をどうぞよろしくお願いいたします。