コロナ禍の中、ランドクルーザー頑張っています!
新年を慶ぶ日々もつかの間、旧正月過ぎから空前のコロナ禍が世界を席巻し、先行きの不透明感の中、皆さまいかがお過ごしでしょうか。感染されて亡くなられた方や残されたご家族には心よりお悔やみ申し上げますとともに、今なお感染に苦しんでおられる皆さまにお見舞い申し上げます。
UAPACAA国際保全パートナーズの岡安です。
今年3月からは新型コロナ対策のため、タクシーの乗車人数も厳しく制限。
夕方6時にはバーやレストランも閉店して、静かな街並みに大変身でした。
私の方は、暮れに一時帰国した後は、カメルーンのヤウンデで現地プロジェクトの仕事を続けていましたが、見る間に拡大する新型コロナ感染症の安全対策のために、日本政府外務省は3月末に、アフリカ滞在中の日本人に退避を勧告。このため、大慌ての再帰国準備で、4月19日に日本に戻ってきました。
カメルーンを初めとするアフリカ各国は、宗主国だったヨーロッパの国々との繋がりが強く、イタリア、フランスで感染が広がりはじめた3月初旬から、次々と国境を封鎖、到着する飛行機便を大幅に絞って、乗客は入国する前に空港で検査を行う水際作戦を展開しています。国内の脆弱な医療体制や公衆衛生を守るため、必須の対策と言えるでしょう。
国内対策については、ロックダウンを採用する国もありますが、カメルーンでは国内の都市間移動を制限し、また公務員の自宅待機や交代勤務を採用して人の流れを抑え、万一、水際から市中に感染が広がっても爆発的な流行を抑える手立てを、国境封鎖と同時に開始しました。
ちゃんと採寸して、立体的に顎まで覆われます
幸いなことに迅速な対応も奏功し、各国とも感染の増加は続いていますが、死亡者数は低く抑えられ、医療崩壊といった非常事態に見舞われる国は今のところ出ずに済んでいるようです。マラリアだエボラだと、重篤な感染症が相次ぐ中部アフリカだけに、人々は新しいウィルスの感染防止を身近な問題として捉え、不慣れなマスクも我慢して頑張っています。使い捨ての不織布マスクなど目にする機会も少ないお国柄、3月初旬は若者が中国製と思しきマスクを抱えて行商していましたが、やがてカラフルな手作りマスクで行き交う人々が日常になりました。
私たち長期滞在の日本人に帰国勧告が出たときには、3月18日に国境が封鎖されて数週間が経ち、いつ飛行機が飛ぶかは予測が難しい状況でした。2、3日後に「臨時便が来るかもしれない」と連絡が入っても、当日、カメルーン政府の着陸許可が出ないなどあって、落ち着かない日々の連続。アフリカ中で航空機の運航がほとんど止まり、最低限の物資輸送のカーゴ便が週間1便あるかないか、次を逃せば当面は出国できないだろうと言われる中の移動でした。
こんな未曽有の世界情勢のもと、急転直下ともいえる身辺の変化で、皆さまへのメルマガの配信や帰国のご挨拶も大幅に遅れてしまい、大変失礼しております。今月末で、昨年お世話になったクラウドファンディングからちょうど1年経ちますが、うち半年近くが新型コロナ感染症の影響を受けるとは、プロジェクト成立の時には思いもよりませんでした。
その意味では、年明け早々の1月に、皆さまのご支援で購入が叶ったランドクルーザーが、ヤウンデのWWFカメルーン事務所に納車されたのは、本当に幸運でした。
2014年初頭の、日本からの最初の支援から数えて、実に7年越し。現地WWFロベケ・プロジェクトの関係者も、公園事務局のスタッフも吉報に沸きました。
1月10日に納車のランクル、ドゥアラの港から出るときは、ようやく”免税手続き”による輸入が済んだだけで、ヤウンデでは運輸省で車輌登録をしなければなりませんが、これまた時間が読めません(私の関わっているプロジェクトでは、なんと半年かかりました)。そこでアクセサリー装着その他の仕上げを進めるのと同時並行で、仮免ならぬ”仮車検証”を取得して初動開始です。
今回は、ちょうど冬期休暇で出身の北部州に里帰りしていた、WWFロベケ・プロジェクトのマネージャーが1月末にヤウンデに戻ったタイミングで、UAPACAAパートナーズから鍵を正式譲渡。

ご支援いただいた皆さまの、お名前の入ったステッカーも貼付が終わり、ロベケ国立公園へと旅立っていきました!!(↓見送りビデオをクリック!)
ヤウンデからロベケに向けて、UAPACAAランドクルーザー出発!
さて、そんなランクルのロベケへの旅。

首都のヤウンデから、もっとも遠い国立公園の一つ、しかも行先は熱帯ジャングルの奥深くへとあって、容易ではありません。初日は東へ延びる舗装された国道を300㎞あまり、なかなか快適?な行程なのですが、中央アフリカ共和国国境に近い東部州の州都ベルトアで一泊した後は、未舗装の道をひたすら南下。ここからは伐採会社の丸太の牽引車や大型トラックが行きかい、雨で泥沼と化した橋を渡らなければならない事態も出てきます。

幸い、WWFロベケのマネージャーが出発した2月初旬は、毎年11月から始まる大乾季の終わりギリギリで、まだ雨が始まっていませんでしたので、旅は比較的スムーズでした。ただ、連続スリップの泥の海との戦いは避けられましたが、伐採トラックとすれ違うたびに、真っ赤な砂ぼこりの煙幕に覆われ、国立公園事務所に到着したときは、ご覧のようにやはり真っ赤に染まってしまいました…。
それでも、待ちに待ったランドクルーザーのお目見えとあって、ロベケ国立公園スタッフも現地WWFのスタッフも、大感激! 口々に日本の皆さまへの感謝の言葉を叫んで、事務所は興奮に包まれたというマネージャーからのメールを受け取り、私も感無量でした。

このタイミングでランドクルーザーをロベケに届けられたのは、奇跡に思えます。トヨタ・ジブラルタルからの輸入手続き、カメルーン政府の免税許可取り付けなど、私自身がヤウンデにいてWWFカメルーンの仲間と密にコンタクトを取り続けられたおかげで、大きな遅延もなく納車までたどり着くことができました。正式な譲渡から送り出し、そしてマンベレ事務所への到着は、新型コロナ感染症下の今だったら、3密を避けるためのカメルーン政府官僚の自宅待機や都市間移動の制限を考えると、明らかに不可能でした。
実際、残念なことに、5月に企画していた、「支援したランドクルーザーに乗ってロベケ国立公園探訪」にお申込みいただいた方々には、リターンのお届けをお待ちいただく必要が出てきてしまいました。今のところ、皆さまとご相談させていただき、1年延期して来年の5月を目途に再企画の予定ですが、世界的なパンデミックの推移を見ながら、慎重にタイミングを見極めさせていただければと考えています。
同じタイミングで、昔からの知り合いの新聞記者さんの取材も予定され、ロベケ国立公園の魅力を日本の皆さまに存分に伝えていただく目論見だったのですが、こちらも来年以降にお預けとなりそうです。
悪いことにこのコロナ禍は、国際密猟団にとっては人の移動が途絶える絶好の機会と捉えられている気配もあり、東アフリカではゾウやゴリラの密猟が激化しているという報道も出てきています。エコツアーが盛んな国立公園などでは、まさに観光客の往来が密猟防止の一端を担っていたのですが、それが一挙に停止されて目が届きにくくなっている間隙を盗んでの悪事。また、観光収入が途絶えた地元の人々の生業を、どうやって支えていくかも大きな課題となっています。
ロベケ国立公園もその例外ではなく、今、WWFカメルーンや森林省スタッフと、この危機の中、現場で何が必要とされているのか、改めてブレストをしているところです。グローバリゼーションを通じて、ともにロベケの野生動物と地域を守る仲間として繋がった皆さまにも、また新たなご支援のご提案をさせていただくことになろうかと思います。その時は、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
最後に、いつもだと「憂鬱な雨が始まった…」と眺めるアフリカの雨のクリップを…。
ヤウンデの雨にコロナ禍の終息を祈る(←クリックでYoutubeに飛びます)
今回の帰国の直前に、次の雨季までに戻ってくることを誓ってきました。
皆さまも、どうぞくれぐれもご自愛くださいませ。
プロジェクトへのご支援に、ロベケ国立公園の一同に代わり、改めてお礼申し上げます。
2020年6月吉日