プロジェクト終了をご報告します
◆ご支援者の皆さま
4月28日(水)、福井敬さんのCD「朝は薔薇色に輝き」がディスククラシカより発売されました。思えば昨年3月、このプロジェクト「福井敬のオペラ・アリアを最高のオーケストラとともにCDに」を立ち上げたとき、その実現にここまで時間がかかることになるとは夢にも思いませんでした。
予定が狂ったのは一にも二にも、新型コロナウイルス感染症の蔓延のせいです。行く手を阻む障がいが大きければ大きいほど、目標を達成した時の喜びも大きくなるとは言うものの、音楽業界を襲った衝撃は想像をはるかに超えていました。そして発生から一年半近くになる現在も、この問題が解決していないことは、皆さんもよくご存じの通りです。
そんな逆風にもかかわらず、皆さまにプロジェクトの終了をご報告できるところまで漕ぎつけられたのは、ひとえにご支援者の皆さまの力強い応援があったからこそで、改めて感謝申し上げます。また、リターンの中には「福井さんを囲んでの食事会」など、現在のコロナ禍では感染症防止対策の観点からも、実現が不可能なものもあり、一部お約束を果たせないこともありましたが、その点にも寛容なるご理解を頂戴し、重ねて御礼申し上げます。

またクラウドファンディングの支援期間中には、作家の林真理子氏、赤川次郎氏、能楽師の津村禮次郎氏他さまざまな方々から応援メッセージをいただきました。さらに、CDの録音では京都市交響楽団の皆さま、会場をご提供いただいたびわ湖ホールの関係者の皆さまに大変お世話になりました。特にコロナが収まらない非常時とも言える状況で、感染防止対策の多大なご負担をおかけしながらも、ご協力いただいたオーケストラとホール関係者の皆さまに、この場をお借りして御礼申し上げます。
◆リターンの実行について
今回のプロジェクトの目的である福井さんのCDは、冒頭にも書きましたように、先月末にリリースされました。アルバムタイトルとなった「朝は薔薇色に輝き」は、そこに収録されているワーグナーのオペラ《ニュルンベルクのマイスタージンガー》の中のアリアの曲名そのままです。本CDには、その他に福井さんの十八番とも言えるプッチーニの《誰も寝てはならぬ》など、全12曲のオペラ・アリアが収録されましたが、その選曲に当たっては、支援者の皆さまからリクエストを募集し、ご意見を反映できるように努めました。このリクエスト応募券も、リターンの一つとして設定いたしました。
このCD「朝は薔薇色に輝き」の発送をもってリターンの対応が完了し、プロジェクトが終了いたしました。ただし、予定していたリターンのうち「福井敬さんとの2ショット写真の撮影」並びに「福井さんを囲んでの食事会」は、どうしても密が避けられない、あるいは会食の自粛が強く求められている中、実現が困難と判断し、その旨を支援者の皆さまにお伝えしご理解をいただきました。
一方、このプロジェクトの特徴的なリターンである「録音セッション見学会」には、当初予定より5か月遅れて、12月14日(月)、15日(火)にびわ湖ホールで行われた録音の初日が当てられました。当日はあいにくの肌寒い一日でしたが、30名ほどの支援者の方が参加され、滅多に体験できない録音の現場に立ち会いました。また収録の合間をぬって、福井さんから直接ご支援者の皆さまに、お礼をお伝えすることもできました。

また、東京と大阪で開催された福井敬さんのスペシャル・リサイタルもリターンとなりました。こちらもコロナの影響で、当初予定とは大幅にずれてしまいましたが、東京公演が昨年11月25日(水)に浜離宮朝日ホールで、そして大阪公演が今年の4月18日(日)に大阪フェニックスホールにて開催され、プッチーニの《ラ・ボエーム》が豪華な共演者を交えて演奏されました。
他にも、録音会場としてさまざまなご協力をいただいた滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールが主催する二つのコンサートも、「びわ湖ホールスペシャルリターン」として設定されました。いずれも福井さんが出演されるコンサートで、2021年3月6日(土)開催のオペラ《ローエングリン》と、同じく3月28日(日)の「福井敬&びわ湖ホール4大テノール演奏会」がそれでした。しかしこちらも《ローエングリン》がフルオペラではなく、セミ・ステージ形式での上演となるなど、コロナの影響は免れませんでした。

◆収支報告
今回のクラウドファンディングでは、400万円の目標金額に対して、それを上回る4,768,000円のご支援をいただきました。運営会社への手数料を差し引いた後、CD制作費のうち大きなウエイトを占める、オーケストラの演奏料300万円と会場費約100万円の支払いに充てさせていただきました。
◆これからも応援よろしくお願いします
オペラ歌手にとって声は楽器です。しかもその楽器は日々変化しますし、年齢とともに劣化していくことさえあります。その意味で、現在の福井さんが歌うベストなオペラ・アリアがCDとして記録されたことは大変貴重です。しかもそれがオーケストラ伴奏であることで、さらにその価値が高まります。なぜなら、オペラのアリア集をピアノ伴奏ではなくオーケストラの伴奏でCDにすることは、海外の一流歌手であってもそう簡単ではないからです。
こうして、皆さまからの温かいご支援によって、福井さんの念願のCDが実現しました。しかしこのCDが福井さんの音楽的キャリアの中で、決してゴールでないことは言うまでもありません。オペラからリサイタル、オーケストラとの共演、さらにはアマチュアの指導まで、福井さんの活動は今後もさまざまなシーンで続いていきます。これからも折に触れて新着情報を利用して発信してまいりますので、引き続き応援のほどよろしくお願い申し上げます。
「福井敬のオペラ・アリアを最高のオーケストラとともにCDに」実行委員会