芸備線・木次線を未来に繋ぐシンポジウム開催~どうする秘境駅
【芸備線・木次線を未来に繋ぐシンポジウム開催~どうする秘境駅備後落合】
このたびは、市民グループ「芸備線魅力創造プロジェクト」によるクラウドファンディング「芸備線・木次線を未来に繋ぐシンポジウム開催~どうする秘境駅備後落合」にご支援いただき、ありがとうございました。ご支援額は当初の目標200万円を大きく上回り、延べ249名の方から計311万9千円をお寄せいただきました。おかげさまで、9月23日に広島県庄原市においてシンポジウム「芸備線・木次線~活かす方法を考える」の開催、24日には芸備線の三次~備後落合間で団体列車「呑み鉄鈍行ちどり足」号の運転を、それぞれ予定通り、実施することができました。メンバー一同、心よりお礼を申し上げます。
【シンポジウム】
庄原市のショッピングセンター「ジョイフルながえ」で開いたシンポジウム「芸備線・木次線~活かす方法を考える」(9月23日)には、会場に約170人、オンラインを含めると200人以上の方にご参加いただきました。パネリストは、俳優で鉄道愛好家の六角精児さん、鉄道ジャーナリストの杉山淳一さん、特定非営利活動法人ひろしまジン大学代表理事の平尾順平さん、庄原駅周辺地区まちづくり協議会会長の西田学さん、私たちグループの創設メンバーの一人でローカル鉄旅ライターのやまもとのりこさんの5人。それぞれの立場から思いや体験を語っていただきました。
一部を紹介すると―――
▪ 派手な風景ではないが、日本らしい素朴な風景がずっと続いているところが芸備線の良さ。芸備線について、必要か必要ではないかにかかわらず、周りの方に考えていただく機会が必要だと思います。(六角精児さん)
▪ 鉄道は赤字だから廃止されるのではなく、地域の関心がなくなるから廃止されるんです。(杉山淳一さん)
▪ (鉄道の復旧で) 線路がつながり列車が走るようになったとき、精神的な気持ちの部分での安心感や喜びをすごく感じました。(平尾順平さん)
▪ キハ120をトロッコ列車に改造し、列車に乗ること自体を観光として提案し、全国を回って、備後庄原や備北を売り込みたい。(西田学さん)
▪ のんびり景色を見ながら旅をしたい人たちを呼び込めるアピールで、ローカル線に乗ることそのものが観光の目的になる。インバウンドでも、JRがないところは目的地の候補から外れちゃうんです。(やまもとのりこさん)
これだけでなく、芸備線、木次線の厳しい現状を踏まえながらも、今後につながるアイデア、提言をたくさんいただきました。皆さんの語りも、時折ユーモアを交えた温かいものが多く、和やかな雰囲気の中で終えることができました。
また、会場では、9月15日から10月1日まで、過去と現在の芸備線と周辺の風景等47点を集めた写真展「生活とともにある芸備線~ひと・まち・風景」、地域住民の皆さんが最寄りの駅で取り組んでいる16駅の活動報告、さらに小中学生・高校生などに呼びかけた「こんな列車があれば乗ってみたい~芸備線を活かすアイデアコンテスト」の応募作品32点と鉄道ジャーナリスト杉山淳一さんによる講評、東京で開催された「ジオラマと鉄道マンガ展 がんばれ! 山を登る列車・木次線」より借用した木次線が描かれた漫画の展示も行いました。こちらも期間中、ショッピングセンターを訪れた多くの人たちに観賞いただきました。
シンポジウムについては、中国新聞、山陽新聞、山陰中央新報、朝日新聞の紙面やデジタル版で、また、広島ホームテレビではニュース番組でご紹介いただきました。写真展もNHKと中国新聞で報道されました。
(中国新聞)
https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/364116
https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/364138
https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/364051
(動画)
https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/361034 (写真展)
(山陽新聞)
https://www.sanyonews.jp/article/1455600
(山陰中央新報)
https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/455684
https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/457019 (詳報)
(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASR9S4ST6R9SPITB002.html?iref=pc_ss_date_article
https://digital.asahi.com/articles/ASR9X5SJ0R9WPTLC002.html?iref=pc_ss_date_article
(広島ホームテレビ)
(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/hiroshima-news/20230919/4000023626.html (写真展)
【「吞み鉄鈍行ちどり足」号】
「呑み鉄鈍行ちどり足」号は、JR西日本の協力によりまして、シンポジウム翌日の9月24日、キハ47形2両編成で、三次~備後落合間を往復しました。7月1日から始めたクラウドファンディングにおいて、リターン品として用意した80席分の乗車参加権は、8月上旬に満席となるほどの人気を集めました。当日は、支援者72名とスタッフ・報道関係者らを合わせ約100人が乗り込みました。
列車に乗車後、支援者の方々には、利き酒試飲用にプレートとプラカップ、水を配布し、おつまみセットとして沿線の「かき餅揚げ」(庄原市西城町・イザナミ茶屋)、「こんにゃくジャーキー」(庄原市総領町・総領こんにゃく)、「わにジャーキー」(三次市・フジタフーズ)の詰め合わせを販売。庄原市内の「比婆美人」「菊文明」「超群」「花酔」の4蔵元が昨年発売した「芸備線応援特別記念酒」4銘柄(ちどり、たいしゃく、やまのゆ、ひば)と蔵元それぞれの純米酒、さらには向原酒造(安芸高田市)の純米酒「向井櫻」、髙原酒造(庄原市西城町)のどぶろく「油木のしずく」などを提供しました。車内では、比婆美人、菊文明の北村醸造場、向原酒造、髙原酒造の杜氏さんらによる酒の紹介や、備後落合駅のボランティアガイド永橋則夫さんやローカル鉄旅ライターやまもとのりこさんの沿線説明もあり、支援者の方々は流れゆく風景を眺めながら、それぞれにお酒を味わっていました。
備後庄原以東でキハ47が乗客を乗せて走るのは珍しく、沿線には撮影するカメラマンや手を振る地元の方々の姿も見られ、車内からは手を大きく振り返す姿もありました。備後落合駅では、駅周辺のジオラマの展示のほか、地元のお店やグループによる弁当、道の駅奥出雲おろちループによる木次線グッズ等、お酒や庄原市西城町の西城そばなどの販売などもありました。また、折り返しの停車中には、今年で運行終了となる「奥出雲おろち号」も到着し、キハ40系車両と並ぶ光景は珍しく、多くの方がカメラを向けていました。こちらも終始、楽しく明るい雰囲気に包まれていました。
「呑み鉄鈍行ちどり足」号の模様については、NHKが広島局と岡山局で放送。9月26日には「おはよう日本」でも地域の話題として全国放送されました。シンポジウムと合わせて報じた朝日新聞、広島ホームテレビのほか、中国新聞も報道。読売新聞は10月12日付で写真グラフの形で報じました。また、共同通信が全国に配信したことで、地方紙・ブロック紙15紙のほか、毎日と産経の地方版でも掲載されました。
(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/okayama/20230925/4020018049.html
(中国新聞)
https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/365544
(動画)
(読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20231012-OYO1T50044/
(共同通信)
https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/456052 (山陰中央新報掲載分)
【会計報告】
皆さまからいただいた支援金は当初目標の1.5倍強にあたる311万9千円にのぼりました。
READYFORへの手数料+税金を除いた約253万円に、シンポジウムの当日入場料9万5千円(95人分)、クラウドファンディング終了後の寄附金8万5千円を加えた約271万円が収入額となりました。
当初、200万円の予定で予算を組んでいましたが、大きな反響を受けて、シンポジウム会場の整備、オンライン配信の増強などに予定以上の費用をあてたほか、チラシ等の印刷費用などがかさみました。
支出は、シンポジウムの開催費用に約97万円、写真展等に約10万円、「吞み鉄鈍行ちどり足」号の運行費用に約34万円、リターン品に約50万円、スタッフの交通費・必要経費に約16万円、その他事務経費に約46万円(チラシ制作費約21万円、デザイン費約10万円を含む)かかり、計約253万円となりました。この結果、差し引き約18万円の余剰金が生まれました。
この剰余金のうち10万円は、ネクストゴールに進む際にお示ししたように、備後落合駅の転車台保存に向けた調査やトイレの改修など関連施設整備に向けた費用の一部に充ててもらうための資金として庄原市に委託(寄付)します。残りの約8万円は、「呑み鉄鈍行ちどり足」号に続く団体列車の準備費用など後継企画や、地域団体や沿線で様々な活動をする関連団体の皆さんと今後に向けた議論をする場として始める「芸備線カフェ」の準備費用に充てる予定です。
【リターン品について】
ご支援にあたり、ご希望いただきましたリターン品につきましては、10月20日までに送付を完了しております。ただ、シンポジウム当日、「吞み鉄鈍行ちどり足」号運行当日の参加者確認に多少の不備がありました。そのため、一部がお届けできていない可能性もあります。もし、ご希望されたリターン品が届いていない場合は、READYFORのメッセージ機能を通じて、お知らせください。お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
【今後について】
募集期間中の8月2日、JR西日本は、芸備線の備後庄原~備中神代(岡山県新見市)間68.5キロについて、10月施行の改正地域公共交通活性化再生法に基づく「再構築協議会」の設置を国に要請する方針を表明。そして10月3日、国や沿線自治体と存廃を話し合う「再構築協議会」の設置を国土交通省に要請しました。JRが言う「鉄道の特性」を考えつつ、地域にとって最善の公共交通は何かを議論する場となります。
私たちの取り組みは、今回の取り組みで終わるわけではありません。終わらせてはいけないと考えております。シンポジウムでも多くのご指摘があったように、「再構築協議会」が始まろうとするなかで、地元の方々とともに何をしていくかが問われることになります。備後落合駅の転車台などの整備に向けた取り組みをはじめ、団体列車を利用した地域の魅力発見につながるツアー、地域の方々に向けたフォーラムなど「芸備線カフェ」と名付けた取り組みを展開していきたいと考えております。
皆さまのご支援・ご協力により、イベントを実施することができました。
メンバー一同、改めて心より感謝申し上げます。
READYFORのメール機能等を通じて、今後も、取り組みについてお知らせしていく予定です。
※シンポジウム、「吞み鉄鈍行ちどり足」号の運転から1カ月がたってしまいました。終了報告が遅れたことをおわびいたします。