コロナと私と香港と_26

 

 

 

 

 

全人代の開催前に、急に香港版国家安全法の話が出て、下旬には全人代で草案が採択されてしまった。

 

 

この一年香港情勢に注目してるが、これで完全に局面が変わった。立法会を通さない強権手法で、自ら「一国二制度」を放棄する行為だ。秋の立法会選挙でもし負けたら、との焦りで「今」なのか。

 

 

今日はネットフリックスで香港映画『十年』を見た。15分ほどの短編映画が5本のオムニバス形式の作品だ。後半の３編は特にリアル過ぎて、いま落胆している香港人は見ない方がいいかもしれない。

 

 

2015年製作の映画で、10年後の2025年の香港が描かれているが、香港版「国家安全法」草案採択で、見たくない未来が五年前倒しで現実化するようでもあり、暗い気分になる。

 

 

あの映画の監督たちは、現状のチベットを強く意識しているように思う。でも、私が出会ったチベット人たちは皆んな面従腹背で、仏壇の表には政府公認の高僧の写真を掲げているが、奥の見えないところに、ダライ・ラマ法王や誘拐されたパンチェン・ラマ（ニマ少年）の写真を隠し持っていた。

 

 

東北チベットのある大きな寺は「愛国主義教育基地」とされ、体制側の紅い僧侶が全体を見張っているが、それでも各僧坊では、ダライ・ラマ法王の帰還を願う僧侶達が小声で話すという風だった。実際私が訪れた数年後に、その寺の僧侶たちは蜂起した。

 

 

香港の歴史は180年くらいだか、新中国の歴史はたったの70年くらいで、半分にも満たない。しかも、西洋のマルクス主義を無理やり中国文化に掛け合わせて人々を隷属させた、歪なシロモノだ。東洋と西洋が出会う素敵な香港文化とは、比べるまでもない。

 

 

香港人が今持ってる価値観を尊重して、しぶとく生き抜く内に、大陸の方は自然と瓦解するだろう。当然、チベットも香港も独立するが、それは中国の人々にとっても朗報だろう。

 

 

あの雄鶏のような形は、古代の「大一統」思想から来てるが、そんなデカいほど良いみたいな馬鹿げた古い考えは、誰も幸せにしないし、第一今の時代には合わない。

 

 

駆除韃虜・恢復中華が、いつのまにか五族共和へ変わったのは辛亥革命と孫文の黒歴史で、そこからチベットやウイグルの苦悩が始まったと思う。申し訳ないが、漢民族の諸君は、最大でも宋の版図で我慢してくれ。そうしないと、チベット・ウイグル等周辺諸民族の苦悩は続くし、今後さらに外蒙古もウラジオストクも沖縄もとなると摩擦だらけだ。大きさよりも中身が大事だろう。