命を救う新たな選択肢を！肺がんに対する免疫療法の治験を利用した研究

角田卓也（昭和大学チームカンガルーテール）

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2021年08月30日 18:30

コラム第２回：がん免疫療法とカンガルーテール現象

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コラム第２回：がん免疫療法とカンガルーテール現象、ASCO2021から

がん免疫療法、とりわけ免疫チェックポイント阻害剤による長期生存者の存在は、そのカプランマイヤー曲線から、カンガルーテール現象と呼ばれています。がんの種類にもよりますが、大体20％前後の患者さんはほぼ完治を思わせる長期生存となっております。

長期観察による併用療法の生存期間

表は今年のASCO（米国臨床腫瘍学会）で発表された肺がんのファーストライン（最初にがん薬物療法を実施）の生存曲線の長期データです。オレンジ色は2種類の免疫チェックポイント阻害剤（ニボルマブとイピリムマブ）、緑色は免疫チェックポイント阻害剤（ニボルマブ）と抗がん剤、灰色は抗がん剤単独です。驚いたことに、免疫チェックポイント阻害剤と抗がん剤は抗がん剤と比べて、3年間ほど生存曲線が上でありましたが、3年以降はほぼ変わらなくなっています。すなわち、抗がん剤で押し上げられていた効果が長期的には無くなりました。

　カンガルーテールを押し上げる、完治と言って良い長期生存者率を増やすには免疫チェックポイント阻害剤と併用療法のパートナーを慎重に考える必要があります。長期生存者を生み出す機序は抗腫瘍免疫であり、これを上げる併用療法が求められている所以です。

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