【最終報告】ご支援くださった皆さまに心から御礼申し上げます
昨年11月から12月にかけて行ったクラウドファンディングをご支援くださった皆さま、また、情報を広めてくださった皆さまに、心から御礼申し上げます。
皆さまのご支援、クラウドファンディングで集まったご寄付により、2021年上半期に実施できた活動内容をご報告いたします。
クラウドファンディングを実施していた2020年11月から12月の時点では、2021年2月以降の新学期は対面授業の可能性もありました。
しかし、ヨルダンのコロナ感染拡大が新学期開始の時期と重なり、ヨルダン教育省は2月に始まった新学期も3月には再び閉める決断をしました。
そのため、対面教育での活動も視野に入れたクラウドファンディングでしたが、全面的にオンライン教育での事業実施となっております。
1 オンライン学習・メッセージ配信
昨年に続いてオンラインでメッセージ配信を継続しています。
~アラビア語の基礎学力向上を狙った教材配信
~物語や絵の読解とその共有
~祝日などのイベントにまつわる話や工作
~知育クイズや知識を問うクイズのコンテスト
~家族で遊べるゲーム
~子どもたち、また親御さんを対象としたメッセージによる心理ケア
感染拡大と学校の長期閉鎖による子どもたちのストレスは大きなものでした。また、ずっと家から出ない環境、もしくは働きに出る状況の中で、子どもたちが勉強のみならず、知的好奇心を刺激される機会も少なくなっているのが明らかになっていました。
そのため、今まで以上にオンライン教育の中では、ストレスや心理ケアに重点を置くとともに、勉強や知ること、また自分の手を動かして何かを作る面白さを感じられるような内容を配信しています。
子どもたちからも、作った作品の写真や勉強の質問などが先生たちへ送られ、子どもたちの顔は見られないものの、メッセージやビデオを通じて彼らが楽しんでくれている様子を伺うことができています。
2 子ども新聞発行「KnKのともだち」
今年新しく取り入れた活動です。これまでSNSでメッセージを配信していましたが、昨年の調査でオンラインにアクセスできない子どもたちの存在を知りました。今年はクラウドファンディングのご寄付により2週間に1回新聞を発行し、紙ベースで子どもたちに配布しています。2020年3月からほぼずっとオンライン教育のヨルダンで子どもたちに好評です。
道端にいる子どもたちには、直接手渡しをしています。配る時には新聞の中身に興味を持ってくれるよう、先生たちが一人一人丁寧に説明をしていきました。また、学校の子どもたちが買い物へ行くお店にも新聞を貼らせてもらい、より多くの子どもたちの目に入るようにしています。
今までSNSによる配信に参加していなかった子どもたちも、新聞を見て参加を希望して配信のグループに入るようになりました。
3 写真プログラムの実施
こちらも新しく取り入れた取り組み「写真プログラム」です。デバイスを配布して家庭学習に役立ててもらうことに加えて、コロナ禍で子どもたち自身が考えていることを写真等で発信してもらおうという趣旨です。テーマごとに子どもたちに撮ってもらった写真やメッセージは、KnKのウェブサイトで公開しています。
参加をしている子どもたちは、グループチャットに送られる課題に沿って写真を撮影し、提出しています。また、写真のコメントや説明も考えることで、自分なりに何を表現したいのかというテーマと向き合っています。
回を重ねるごとに、写真で表現することに面白みや楽しさを感じてくれている様子が伺えます。
また、配布したデバイスには、子どもたちには不適切なサイトへ行かないような制御をかけるとともに、オンライン学習に適切なアプリを事前に選んで入れています。写真を撮るだけではなく、日々の学習に活用していることが、聞き取りなどのフィードバックにもありました。
以上が、皆さまのご支援により実施できている活動です。改めて、感謝申し上げます。
ヨルダンのコロナ感染状況に関しましては、新しい感染者数は減っています。またワクチン接種も早い段階から始まりました。特に難民キャンプ内は住宅が密集しており感染リスクが高いため、比較的ワクチン接種も進んでいます。ヨルダン内の大きな2つの難民キャンプ(ザアタリ含む)での統計では、摂取対象年齢のうち40%は接種済というデータも報告されています。
一方で今年2月、学校で2学期が始まるタイミングで感染者数が増えたこともあり、難民キャンプ内の学校は現在もオンライン授業のままなど、教育現場への影響は私たちの想定を超えて続いています。
子どもたちの中には、このオンライン教育期間を長い夏休みのように捉えている子もいますが、学校の閉まっている約1年半に身につかなかった勉強や失った経験があるのは事実です。また、コロナがなければ学校へ通うことが当たり前で勉強を続けられたのに、コロナ禍の経済的な困窮から勉強をやめて働きに出た子どもたちもいます。
9月の新学期にどれだけの子どもたちがまた学校へ登校できるのか、不安を感じているのは、子どもたちや親御さんだけではなく、私たちスタッフも同じです。
そのような中だからこそ、目標金額を大きく上回るご寄付をいただけたことで、夏休み以降も継続実施できることのありがたさを、ひしひしと感じています。
学校に戻ってくる子どもたちが引き続き学校へ通い続けられるよう、私たちに機会をくださったことに改めて心から感謝いたしております。
【収支報告】
2021年上半期の授業実施、
【リターンの発送状況について】
全員に送付完了しております。(*リターン不要の方、住所に不備があり連絡のつかない方を除く。)
万一、まだ届いていない方がいらっしゃいましたら、ご連絡くださいますよう、お願いいたします。
【今後のキャンプでの活動について】
国境なき子どもたち(KnK)は、引き続きザアタリ難民キャンプの子どもたちに、上記3つの活動を継続して参ります。
引き続き、情報も発信して参りますので、ザアタリの子どもたちのこと、そしてKnKの活動を見守っていただけますと幸いです。何卒よろしくお願いいたします。
国境なき子どもたち シリア難民支援現地事業総括
松永 晴子