添牛内駅保存会　会長山本昭仁　筆者仙丸孝司

 

彼との出会いは平成14年の事。

幌加内市街地出身の山本昭仁が同じ年に添牛内郵便局閉局後の建物を購入改装し手打ち蕎麦屋として出店してからの付き合いだ。

 

最初は申し訳ないが「こんな所で商売がうまくいくのか？」と思っていた。この豪雪地帯で年間通しての商売は難しいのではと。

 

しかし添牛内地区の過疎化、観光もないこの地域で彼は商売として成功させている。

何が何でも成功させなければとの気持ち、また持ち前のポジティブさ、明るさ、何とかなるさ精神がここまでこれたのだろう。

 

彼は幌加内からやってきたがこの地区に馴染もうと頑張っている。

会合の出席、お祭りへの参加。店も忙しいのに時間のある時は顔を出してくれる。

 

冬の期間も店以外に地区の除雪車のオペレーターもこなす。この地区ではオペレーターの確保が難しく、わざわざ大型特殊免許、作業免許まで取得し地域の除雪を行っているのだ。

朝3時から9時ごろまで除雪しその後、目を擦りながら蕎麦を打つ。

 

たいしたもんだ。

 

自分が住みやすいためにはどうしたら良いのかをいつも彼は考えている

地域での発言も活発で私では考えつかないアイディアを沢山提案している。

添牛内人より添牛内を考えてる。

 

子供たちには特にやさしい。地域の子供たちとの触れ合いは彼の生きがいでもある。

 

また発想豊かで、幌加内町のマスコット、「ほろみん」を心から愛し、愛しすぎてほろみんグッズを多彩に大量に作ってしまった。変態だ。

 

私は生まれも育ちも添牛内地区だがやはり彼から見る添牛内と私から見る添牛内は違っているらしく、私ではスルーしてしまう事でも彼にしてはものすごく新鮮みたいだ。

 

違う角度から見る事ができ添牛内を勉強している彼はもしかしたら過疎化というものを止めることはできなくても維持することは出来る人間なのかもしれない。

 

2年か3年前だったか駅舎改修の相談をうけた。地域の活性、ふれあい交流の場所、鉄道ファンなど交流人口を増やす事を目標にやりたいとの事。こんなに添牛内を愛している彼をもともと住んでいる俺が断れるはずがなく、大変だけどやってみるかとお手伝いする決意に至る。

 

半端な事では出来ないのは彼もわかっているはずだが、地域を愛しすぎて気持ちが抑えきれなかったのだろう。

 

でも昭仁らしいと思った。仕方ない手伝ってやるか・・・

 

高騰する工事費に修繕をするかどうかを議論し、修繕決定をした日。