プロジェクト実施終了をご報告いたします。
九州北部豪雨災害からの復興支援活動にご寄附くださった皆さま
こんにちは。ADRA Japan国内事業担当の牟田(むた)です。過日は九州北部豪雨災害への支援活動のためにご寄附を頂戴いたしまして誠にありがとうございました。改めまして、心より御礼申し上げます。
本日はこの場をお借りいたしまして、九州北部豪雨災害復興支援活動の活動報告ならびに会計報告をさせていただければと存じます。
****ADRA Japan九州北部豪雨活動報告****
ADRA Japanは2017年7月6日から約5か月間現地にスタッフを派遣し、九州北部豪雨により被災された方々への支援を行なってきました。
ご寄付をくださった皆さまに、改めて心より感謝を申し上げます。また、現地の住民の皆さまが、少しでも安心できる生活を取り戻せるよう、これからも力を尽くして、必要とされる支援を継続して参ります。
今回、皆さまからいただいたご寄付は、主に災害ボランティアセンターにおける緊急期の支援活動に活用させていただきました。
【九州北部豪雨災害 被災者支援活動概要】
2017年7月5日から6日にかけて九州北部で、線状降水帯により同じ場所に猛烈な雨が降り続いたことで、多いところで降雨量が500ミリを超え、24時間降水量が観測記録を更新するなどしました。この災害により、福岡県と大分県で死者37名、行方不明者4名の人的被害の他、多くの家屋の全半壊や床上浸水など、甚大な被害が発生しました。
こうした中でADRA Japanは、次の5つの活動を行いました。
- 初動対応(朝倉市)
- 災害ボランティアセンター運営支援(東峰村)
- 看護師派遣(日田市)
- 登録制社協ボランティアセンター立ち上げ支援(東峰村)
- 在宅被災者物資配(東峰村)
1.初動対応(避難所物資配布):7月6日~7月12日
まず被害状況を把握するため、朝倉市内の避難所を巡回して調査を始めました。一つの避難所だけを確認しても全体的な状況は把握できないため、朝倉市内に開設された全ての避難所を訪問して聞き取り調査を行いました。同時に、避難所で必要とされている物資をお届けする支援しました。
他方、東峰村からも情報が入り、7月10日からは東峰村災害ボランティアセンター開設前の支援を同時進行で行ないました。日中は東峰村、夕方からは東峰村に隣接する朝倉市へ、災害による道路封鎖のために山道を迂回して通いながら支援を続けました。
2.災害ボランティアセンター運営支援:7月11日~9月1日
発災当初、東峰村では道路が陥没し、橋が流され、流木や土石流で道が塞がるなどして孤立状態となりましたが、自衛隊などによる懸命な復旧作業により7月10日夜には孤立状態がすべて解消しました。
そうした中、東峰村では住民の方々の家屋の土砂撤去を行なう災害ボランティアセンターの開設が決まりました。東峰村社会福祉協議会(以下東峰村社協)からの要請を受けたことと、一方の朝倉市には多くの支援団体が駆けつけていたことから、東峰村災害ボランティアセンター開設の7月14日を境に、ADRA Japan は東峰村での支援に全力を尽くすことを決めました。
その後、東峰村社協から、支援期間延長の要請を複数回受け、結果的に災害ボランティアセンター開設準備から閉所までの期間、そして同センター終了後の新体制のサポートに至るまでの5か月間、ADRA Japan スタッフを常駐させ、支援を継続しました。こうして一貫した支援を行ったことで、東峰村社協をはじめとした関係者の皆さまとの信頼関係も深まり、現地の方々を主体として今後の方針をともに考え、行動に移していくことができました。
3.看護師派遣:7月27日~8月28日(週末のみ)
ADRA Japan の海外事業等にボランティアとして参加されたことのある看護師の方々にお願いし、災害ボランティアセンターへの専門職派遣を行ないました。全国災害ボランティア支援団体ネットワークの調整の元、日田市災害ボランティアセンターの救護班としての業務を担っていただきました。
看護師派遣は、主にボランティアの活動人数が多い週末に絞り、期間中の活動としては、災害ボランティアセンター内の救護室設置や、ボランティアの方々の怪我の処置、熱中症の対応などがありました。また、ボランティア活動現場を訪問し、冷タオルや冷水を提供する一方、住民の方々の健康状態の観察をし、医療の提供が必要と思われる方々についての情報共有を行ないました。
<看護師派遣の活動記録>
・活動日:13日間(7月~8月の週末)
・災害ボランティアセンター救護室での対応:10人(うち熱中症4人)
・戸別訪問(健康調査):延べ15人
日田市に派遣したADRA Japan スタッフが看護師資格を持っていたこともあり、少ない人数で効率的に住民の方々の健康管理サポートをすることができました。
4.登録制社協ボランティアセンター立ち上げ支援:9月4日~12月4日
東峰村では、災害ボランティアセンターが9月1日に閉所になった後も、まだまだ残されているニーズに地元の職員だけで対応する必要がありました。今後の活動をどうしたらよいかと相談受け、少人数の地元職員だけで運営できる登録制ボランティアセンターの仕組みをつくって対応を継続することを提案いたしました。そして、災害ボランティアセンター閉所作業と並行して、登録制社協ボランティアセンターの立ち上げもサポートすることになりました。
登録制社協ボランティアセンターの活動初日には、25名募集のところ、延べ30名のボランティアの方が集まってくださり、順調に活動を始めることができました。
11月以降は、登録制社協ボランティアセンターと村の有志の方々による農業ボランティアが協力することで、住民の皆さんの声により柔軟に対応できるようになり、活動の幅がさらに広がりました。
5.在宅被災者物資配付(東峰村 全壊・大規模半壊・半壊世帯):10月~12月
10月には東峰村からの要請を受け、在宅被災者(仮設住宅などに入居せず被災した自宅で生活をしておられる方々)向けの物資配付をADRA Japanで行ないました。「全壊・大規模半壊・半壊」の住家被害認定を受けた在宅被災者の全世帯を、物資配付の対象としました。
発災から3か月が経過し、被災された方の居住の状況は様々で、親族宅や知人宅に身を寄せておられる方のほか、何らかの事情により長期不在の方もおられました。また、生活再建のスピードも一様ではなく、そのため物資配付支援を行なうにあたっては、各世帯の状況を考慮しながらも全体に適用可能な支援メニューを検討する必要がありました。
世帯毎にニーズが個別化している状況の中、限られた物品メニューの安価から物資を選んでいただくよりも、各世帯のニーズに柔軟に対応するため、商品券(全国の多数の店舗で使用できるもの)を配布し、生活再建の一助としていただくことが適切と考えられました。
また、様々な状況に置かれている対象者全員に漏れなく商品券を配付できるよう、東峰村役場をはじめとした関係者の方々と共に、支援に必要な情報を十分精査しました。その上で、対象世帯へは地元の職員の方々と一緒に戸別訪問し、商品券を手渡しで配付しました。その際、支援の趣旨について説明を行ない、商品券が使える店舗に関する情報を提供し、ご自分に必要なものをできるだけ具体的にイメージしていただくなど、生活再建の一助として用いていただけるよう工夫しました。
ADRA Japanは今後も、現地の必要に応じた支援を継続して参ります。今後とも、皆さまのあたたかいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
最後に、この度の災害により被災された皆さまの生活再建が一日も早く進みますよう、心よりお祈りいたします。
この度の九州北部豪雨被災者支援へ、多くの個人の皆さま、企業・団体の皆さまからご支援・ご協力いただきましたことを心から感謝申し上げます。
あたたかなご支援、本当にありがとうございました。
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**ADRA Japan九州北部豪雨被災者支援事業 会計報告(2017/7/6~2017/12/31)**
<収入>
指定寄付金: 3,909,533円 ※Readyforからのご寄付1,428,000円含む
助成金: 3,009,033円
一般寄付金: 2,118,771円
収入合計: 9,037,337円
<支出>
資材費: 1,384,120円 ※避難所への支援物資、在宅被災者への支援物資購入等
通信費: 23,994円
保険料: 2,000円
荷造発送費: 60,291円
交通費: 1,978,265円 ※レンタカー代、航空券代等
消耗品費: 4,959円
滞在費: 1,498,960円 ※看護師、ボランティアセンター運営支援スタッフ等
人件費: 4,081,886円 ※看護師、ボランティアセンター運営支援スタッフ等
支払手数料: 2,862円
支出合計:9,037,337円
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ご報告は以上となります。皆さまの温かいご支援に心より御礼申し上げます。